2019.03.21
【第15回】
佐々木希似の美人スタイリストが毒舌告白「美人は傲慢。通帳と鏡見てから来いって思うことも(笑)」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠されたプライベートに迫ってみる連載です。
- CREDIT :
構成/木村千鶴
スタイリストさんと言えばお洒落のプロ。自分もお洒落好きなら色々教えてもらって楽しいだろうし、そうじゃなくても素敵にコーディネートしてもらえそうで、なんかいいですよね。僕はお洒落がよくわからないんで、元アパレルの妻に全部見立ててもらってます。ありがたいです。
スタイリストはちょっと油断してたらすぐクビになる厳しい世界
「私は歴史が好きなので、最初は大学でそれが勉強できたらと思ってたんですが、親の反対や自分の心境の変化もあって、結局スタイリスト科のある専門学校に進学したんです。実はファッションも好きで、それも洋服をつくることより選ぶ方が好きだったので」
──スタイリストって、どんな勉強するんですか? たとえば洋服の流行の歴史とか……?
「ああ、そうですね、そもそも服装史も好きでそういった勉強もしてました。というか知識が売りの仕事でもあるので、知ってないとなれないですね(笑)」
「カラーの勉強、繊維や生地の勉強、デッサン、絵型の勉強も。専門学校なんで、インターンって形で、やる気のある子からどんどん現場に出ていくんですね。学校では基礎的な事を勉強して、あとは現場で身に付ける感じです」
── じゃあ在学中から現場に出るんだ。それで卒業したらすんなりスタイリストに? 簡単になれる気がしないんですが……。
「はじめは右も左もわからないんで、卒業する前から色んな人のところで修行させてもらいました。CMの現場ってどうなんだろう、雑誌は、ミュージシャンは、ファッションショーの現場はどんな感じなんだろうって。メンズもレディスも全部一通り、色々学ばせていただきましたね」
── じゃあその世界では、そうとう積極的じゃなきゃダメですよね。
「そうですね。やる気がなかったらできません。実力と、根性ですね。ちょっと油断してたらクビになる。厳しい世界です」
──大変な世界で頑張ってるんだなぁ。
口説かれて好きになることはほとんどないです
「20代前半かなあ、いや、ずっとモテてたかな(笑)」
──僕、このインタビューでそのセリフ聞くのが好きなんですよ。ずっとモテてましたって(笑)。
「なんかすみません~(笑)」
──自分はなんでモテると思います?
「モテの要素って、学生の頃は顔がかわいいってことだと思いますけど」
──じゃあ二十歳過ぎてからは違うモテ方になりました?
「もちろん見た目もありますが、それプラス、性格や趣味の合う合わない、この人といたら仕事上プラスに働きそうという相乗効果みたいなものも要素に入りますよね。それを感じてもらえたら勝ちかな(笑)」
──おお~、それでは、希さんは男性の何を重視してます? 条件みたいなものはあるんですか。
「特にないですね。基本的に口説かれて好きになることってほとんどないんです。最初に会った時に“この人とは付き合うだろうな”ってひらめきのようなものがない人のことは好きにならないし」
──じゃあ口説き落とされて、流されて……っていうのはナシ?
「一切ないです」
──え~、じゃあ、この人いいなって思ったらスキスキ光線出して、誘わせるみたいな?
「そうですね(笑)、でも絶対的な行動はせず、さらりと偶然を装います。自分の中でシナリオつくりますもん(笑)。書きはしないけどそれが頭の中にあるので、段取り組んでその通りに自分が動いて」
──なんか男の人みたいですね(笑)。
「そうかもしれません。言い方悪いんですけど、ゲームみたいな感覚。ロールプレイングゲームで『よし1面クリアした、2面苦戦してるな、どうしよう、助けを呼ぶか』とか」
──苦しい時は女友達に助っ人頼んだりもするんですか?
「いえ、女子は呼ばないです」
──お~っと、ここで大きくバツをつくりました(笑)。なぜ?
「女子は基本信用してないです。私を含めてですけど、女の子はやっぱり自分が一番で、お姫様なんです。脇役に回ると面白くなくなっちゃって……。あまりいいことないんですよ」
──ああ、そっか、なんかパシリにされてるみたいな感覚とかね。じゃあ自分の恋愛の中に女性は入れない、男性のみ?
「そうですね、子分みたいなのをつくって(笑)その子たちに、“やれ!”みたいな」
──ワハハ、そうなんだ~。使われるのが好きな男子っているんだ。やっぱりお姉ちゃん気質なのかな。
「あ~、あると思います。たまにはご飯作ってあげたり、『あんた○○紹介してほしいって言ってたよね』って人をつないだりとか。一応の取引はしていますよ」
スタイリストは裏方。女性タレントより美人なのは許されない
「26歳で独立して。今は広告関係が多いですが、わりと色んなことをしています」
──独立する時って、何かしらの見通しがついているものなんですか?
「いえまったくないです(笑)。本当に独立のタイミングも人それぞれなんですが、師匠に急に『今年いっぱいで』って言われる感じなので……」
──独立の時には師匠に突然言われるんですね?
「そうです、自分から独立します、は絶対にないです。言われなかったら永遠にアシスタントです」
──え~! そうなんですか。飲食店でもデザイナーでも、自分がもう全部学んだと思えば独立できるじゃないですか。スタイリストは徒弟制度というか、ちょっと特別ですね。
「なんか落語とか歌舞伎とか、そういう世界に似ていますね。基準がないし、どこまでできている人が独立なのか、ついたお師匠さんの性格や判断にもよって人それぞれなので」
──じゃあ嫌われたらアウトですね。
「それもありますね。師匠を変える選択をする人もいますし、10年でもアシスタント続ける人もいます」
「凄くたくさんいると思いますし、仕事は少ないので、取り合いですよ」
──そしたらやっぱりかわいいって大きいですか?
「大きくないです。仕事の面でいったら美人不美人関係ないですね。裏方の仕事なので逆にこの顔が邪魔な時もあります」
──でもスタイリストってお洒落じゃないと通用しないところもありますよね?
「これ、難しいところなんですけど、お洒落と顔がいいって全然別なんですよ。それに、メンズの仕事だと周りの方々から色々余計な心配されるんです。この子(美人)を自分の俳優やタレントにつけると、何かあったら困るって(笑)」
──あぁ、そうか。美人は警戒されちゃうんだ。
「女性のタレントさんとかでも、裏方が本人よりかわいかったらマズイじゃないですか(笑)。だからあえて目立たないようにしたりとか」
──なるほどなるほど! 逆に仕事減っちゃうんですね……。
「それに、仕事で関係者の方々と飲みに行って、そのままホテルに誘われたとしますよね? 断って仕事がなくなっても嫌だし、う~んって考えちゃいますね。そういうことも結構あるわけで。仕事の評価をされない場合もあるし、得していることばかりではないです」
お前ごときが私に声かけるな!って思うこともあります(笑)
「特にそういうわけじゃないですけど、自分の選んだ男はモテていてほしいです。浮気は嫌ですけどね。バレなければわからないですから」
──あ、浮気されても大丈夫な人ですか?
「いえいえ、バレたら重罪ですよ(笑)。男性って詰めが甘いの。だから“あなたの詰めが甘かったせいで、私はこんなに嫌な気持ちにさせられた、その罪をどうやって償うの?”って詰め寄ります」
──ハハハ、なるほど。じゃあ絶対に隠せと。
「そうですね、知らぬが仏で。知らなければ幸せなままですから」
──バレたら厳しそうですけど、優しさも感じるな。美人はコンプレックスがない分、心がきれいだって話を聞くんですが、どう思います?
「いや、それはないでしょう~。私も荒んでいます(笑)。美人って与えられるものが多い分、それを当たり前だと思っていることが多いと思うんです。嫌味とか僻み根性がなくても、気づかない傲慢さはあると思います」
──なるほど、気づかない傲慢か。じゃあ自分が高嶺の花だって気持ちもどこかにありますか?
「普段そんなこと思っていないですけどね。あ~でもあるのかな。言い寄られた時に『お前ごときが!』って思うことありますからね(笑)」
──おもしろ~い! なんか正直。お前ごときが私に声かけるな!って?
「うん~、通帳と鏡見てから来いって思うことはあります(笑)」
──やっぱり厳しいな(笑)。そしたら美人ってどう誘ったらいいんでしょうね。男性はその正解が欲しいんですが。
「会話からの自然の流れで“ご飯行こうよ”とか“じゃあ連絡先教えて”って誘ってほしいですね。その場でグイグイ来られるよりは、後日に“昨日ありがとう”とか。あとは、あの~、察してほしいんですよね(笑)」
──察する?
「ご飯行こうって言われたらその場の社交辞令で、“あ~是非是非”って言いますよね。でもそこで会話が終わってたら、もう誘わないでほしいんです」
──え~、是非是非って言ってるのに?
「はい。具体的な例が出なかったら。例えば仕事があってって断るじゃないですか。行く気があれば代案出します。本当に行けない日もありますから」
──では代案出さないとナシってことですね。心得ておきます。これは男子は覚えておかなくちゃ、ですね(笑)。
そんな希さんをワインに例えると
コトー・ブルギニオン
オーガニックで、品種はガメイ。赤ワインですが冷やして飲みます。彼女のオシャレでチャーミングなイメージにぴったりです。
■ Bar bossa
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
TEL/03-5458-4185
営業時間/18:00~24:00
定休日/日、祝
● 林 伸次
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷にbar bossaをオープンする。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSをオープン。選曲CD、CD ライナー執筆多数。「ワイングラスの向こう側」(cakes)で連載中。著書に『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)がある。