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2018.06.07

山下達郎からサチモス。いま聴くべきシティポップ10枚

シティポップという言葉を知っていますか? 1980年代に流行したソウルやR&Bに影響を受けながら、アーバンで都会的な香りの音楽。それが、ここ最近再び世界中の若者を中心にブームになっているという。

CREDIT :

選曲・文/クニモンド瀧口(プロデューサー、DJ) 編集/原 裕

世界的にも注目を集める、格好よさ

「シティ・ポップとは、日本のポピュラー音楽のジャンルのひとつ。 主に1980年代に流行した、都会的なイメージを前面に出したポップスを指す」。これはウィキペディアにあるシティポップの説明。このシティポップがここ10年で若者たちに、さらには世界的にも注目を集めている。

シティポップに同時代で親しんだ人ほど信じがたいことかもしれないが、シティポップのもつ格好よさが、主にダンス&クラブミュージックの分野で評価されているようだ。

シティポップの魅力のひとつに、歌詞の世界観がある。J-POPでは行動や感情などをダイレクトな表現で歌うのに対し、イマジネーションが膨らむような比喩や、「街」「ドライブ」「リゾート」などのキーワードを散りばめた、都会的な雰囲気を備えた歌詞が魅力だ。
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レコードについていた「帯」にも、キャッチコピーだけで夢を与えてくれるような、歌詞と同じくイマジネーションが膨らむようなものが多かった。

サウンドは、歌謡曲のような大衆性や、湿っぽいフォークソングとは異なり、爽快感のあるヴォーカルスタイルや、バンドサウンドを意識したものが多い。AORやブラコン、フュージョンに影響された音作りが、都会的かつ洗練された印象に一役買っている。
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「和モノ」と呼ばれ平成女子にも人気沸騰?

レコード屋では、若い女の子がシティポップなど「和モノ」のレコードを掘っている姿もよく見られる。昨今のレコードブームには、「和モノ」ブームの側面もある。

海外の有名DJやミュージシャンもシティポップに着目している。さらに親がシティポップを聴いてきた世代というミュージシャンも増えていて、現代のフィルターを通した音作りで、新たな解釈のシティポップが続々と誕生している。

『For You』山下達郎 (アリオラジャパン)

サントリービールのCMで使われた「Loveland Island」はキレのあるギターカッティングに、痛快なホーンセクション、グルーヴィなメロディはアーバンサウンドの極み。

海に行く際には、必ず持っていったリゾートミュージックの金字塔であり、シティポップを代表する完璧すぎる一枚。
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『Love Trip』間宮貴子 (タワーレコード)

山下達郎バンドでギターを担当していた椎名和夫がプロデュース。椎名は70年代後半から80年代にかけて、数々の名盤をプロデュースしていた事でも知られる。その中でも近年再評価されているのが本作。都会的で洗練されてサウンドに、アンニュイなヴォーカルが最高に心地よい。

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『awakening』佐藤博 (ソニーミュージックダイレクト)

鈴木茂&ハックルバックやティンパンアレーで活躍、数々の名演を残したキーボード奏者であり、シンガーソングライター、プロデューサー。近年では青山テルマの楽曲のプロデュースで話題となった。本作は、ほとんどを本人の打ち込みで作ったもの。ギターに山下達郎も参加。若い世代のトラックメーカーにも影響を与え、DJにも人気な傑作。

『Sunshower』大貫妙子 (日本クラウン)

収録曲「都会」に代表される、シティポップの名盤。山下達郎と結成したシュガーベイブを経て、当時、東京に住んでいた彼女の等身大の音楽が本作。坂本龍一をアレンジに迎え、若手の腕利きのスタジオミュージシャン(現在では一流)を起用して録音された。古さを感じさせない洗練されたサウンドが素晴らしい。

『Light'n Up』吉田美奈子(ソニーミュージックダイレクト)

都会のキラキラした風景が目に浮かぶサウンドを、まだ小さかった僕は、憧れを持って聴いていた。シティポップの魅力のひとつに大人への憧れ感や、都会への憧れ感も含まれるのかも知れない。

「頬に夜の灯」は、今やDJイベントでもラストを飾るような大トリの名曲として人気がある。ディスコやブギーといったキーワードから連想するような、グルーヴィな楽曲が並ぶ傑作。

『City Dive』一十三十一(ビルボードレコーズ)

手前味噌だが、2012年に発表した本作は、僕がプロデュース。それまで一部の大人のシティポップ好きが集まっていたこのシーンに、DJやダンス、そして若者を巻き込みたいと思って作ったのが本作。

DORIANやKASHIFをトラックメーカーに迎え、2010年代のシティポップの形を表現。一十三十一(ヒトミトイ)のスモーキーで艶のあるヴォーカルがキュート。
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『studio vacation』DORIAN(フェリシティ)

僕がもっとも注目しているトラックメーカー、DORIAN。親がシティポップをリアルタイムで聴いていた世代で、彼はその影響をかなり受けている。

アース・ウィンド&ファイヤーなどに代表されるカリンバ・プロダクションについてもよく理解していたり、意外と確信犯的に曲を作っている。この夏、一十三十一と再びタッグを組んだアルバムも楽しみだ。
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『Awesome City Tracks 3』Awesome City Club(ビクターエンターテインメント)

ギターのカッティングやディスコティークなアレンジ、男女混成ヴォーカルスタイルが爽快でグルーヴィなサウンド。MVなどのイメージにも都会感が散りばめられていて、2010年代のシティポップ感を盛り込みつつ、現在進行形のポップスの印象を受ける。時代を懐古するだけではなく、次の世代に受け継がれ、新しい解釈を取り入れる事が、音楽に限らず大事な事だと思う。

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『The Kids』Suchmos(スペースシャワーミュージック)

ジャミロクワイを彷彿とさせる音楽スタイルは懐かしくもあり、グルーヴィなそのサウンドは、20〜30代を中心に人気を集めている。シティポップのキーワードでもある「ドライブ」などを歌詞に織り込み、そこにヴォーカルYONCEのカリスマ性と、FUNKやジャズを融合させた疾走感あるサウンドが重なる。現在のシティポップを代表するバンドとして、これからの楽曲も楽しみ。

『Hello, future day』ナツ・サマー(Pヴァイン)

僕がプロデュースした最新作。昨年は、UKラヴァーズを下地に、シティポップ・レゲエとして活動してきたナツ・サマー。彼女の魅力をより開放して、メロディを大事に、イマジネーションが湧く歌詞の世界観、そしてブギーをベースにしたダンストラックなど、シティポップ・マナーで制作したのが本作。昔、今井美樹などに抱いていた、年上のお姉さん感や、女性が憧れる存在としてブランドイメージを作っている。これもまさにシティポップ・マナーのひとつ。

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● クニモンド瀧口

イベント企画会社、アパレル、レコード屋、ライブハウスを経て、2003年から音楽活動を開始。個人プロジェクト「流線形」でシティポップリバイバルに火をつけた。現在は楽曲提供、アレンジ、プロデュース、DJ、CM音楽制作、ディスクガイドの執筆など、音楽を中心に幅広く活動。

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