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2021.08.21

YouTuber中田敦彦は、リモート時代の「プレゼンエリート」だった

今やなりたい職業上位のYouTuber。星の数ほどいるYouTuberの一流と二流を分けるもの、それは「プレゼン能力」です。静岡県の総人口(約370万人)を超えるチャンネル登録者数を誇る中田敦彦ことあっちゃんの話し方の秘訣に迫ります。

CREDIT :

文/岡本純子(コミュニケーション・ストラテジスト)

記事提供/東洋経済ONLINE
日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。

たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれ、好評を博している。

その岡本氏が、全メソッドを初公開した『世界最高の話し方 1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』は発売後、たちまち12万部を突破するベストセラーになっている。

コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「人気YouTuberとして活躍する中田敦彦氏の話し方、3つの秘訣」について解説する。
▲ 人気YouTuberとして活躍する中田敦彦氏。彼の話し方、3つの秘訣について解説します(画像:『中田敦彦のYouTube大学』より/YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=ITHbu8p7N8Q

YouTuberの「コミュ力」には人生を生き抜く知恵がある

子どもが将来なりたい職業の上位に上がる「YouTuber」。子どもに「YouTuberになりたい!」と言われたら、親世代は当惑しそうですが、今やその社会的影響力は甚大です。

暗記だけの「日本型」学力より、一流のYouTuberの持つ「コミュ力」のほうが、将来的には役に立つ可能性は高いはず。なぜなら、そこには、「表現力」「思考力」「調査力」「質問力」「話力」「即応力」「対人力」「共感力」「決断力」「度胸」「機転」など、人生を生き抜く知恵が詰め込まれているからです。

YouTuberは星の数ほどいますが、リモート時代の「プレゼンエリート」といえる「一流」と、それ以外の力量には天と地ほどの違いがあります。なかでも、教育系YouTuberの代表格として抜きんでているのが、芸人の中田敦彦さんです。

彼の「YouTube大学」のチャンネル登録者数はなんと約402万人。 静岡県の総人口(約370万人)を超えるインパクトは推して知るべし!というメディアに、先日、光栄にも、拙著『世界最高の話し方』が取り上げられました。

1冊の本の「本質」をじっくり掘り下げ、魅力的に伝えることで知られる中田敦彦さんですが、その「超プレゼン力」の秘密を、今度は私が大解剖してみます。

まさに、YouTube界きっての話し方の達人が『世界最高の話し方』について解説するという「神回?」だったわけですが、本の魅力を何倍にも膨らませて伝える話法は脱帽ものでした。

何はともあれ、ぜひ彼のYouTubeチャンネルからご覧いただきたいのですが、ここでは、中田さんがYouTubeの達人たる「3つの理由」を分析しましょう。
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「アウトプット」の10倍以上「インプット」に時間をかける

【1】情報や知識の「超インプット力」

YouTuberの一流と二流を分けるもの。そのなかで最も重要な条件は、「超インプット力」です。

実は私は中田さんをお見かけしたことがあります。メディアの取材を受けるために、とあるカフェに行ったときのことでした。こちら側は私と記者、カメラマン、編集者の4人。少し離れたテーブルに座って、一心不乱に本を読み続けていたのが彼でした。

客はほかにはいません。お店の許可を得て、カシャカシャと撮影などもしていたのですが、そうした雑音やわれわれの気配にも一顧だにせず、1時間以上、まったく顔を上げることなく、ページをめくり続けていました。

そのすさまじい「集中力」が非常に印象的だったわけですが、優れたYouTuberのひとつめの条件がこの「超インプット力」です。

二流YouTuberはただ、思いつくままにだらだらと話をしたり、脈絡もなく荒唐無稽なことをしたりするだけですが、一流は、カメラに映る時間、つまりアウトプットする時間の10倍以上の時間を準備やインプットにかけています。

彼は毎回、解説する内容の要旨を手書きで白板に書いており、それらもすべて自分で考え、何回も推敲して仕上げています。

膨大な量の情報や知識などのインプットを「消化」し、その本質だけをアウトプットとして「昇華」する。これは、日ごろのプレゼンにおいても非常に重要なプロセスです。

スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスなどは、大切なプレゼンの前には何日もリハーサルをし、コンテンツを作り変え、完璧なアウトプットに仕上げました。

一流のプレゼンターは「超インプット」と「準備が9割」。これがまずひとつめの鉄則です。

2つめは、あっという間に聴衆を引き込む「超高速つかみ力」です。
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心に刺さるキーワードを「打ち上げ花火」のように連打する

【2】一気に人をひきつける「超高速つかみ力」

面白いプレゼンは「最初の1分」でその真価がわかります。

「ええ~、本日はありがとうございます」「〇〇についてお話します」「どうぞ、よろしくお願いします」なんて、月並みな文句は一切ありません。とにかく、冒頭から、「これは面白い!」と思わせ、聴衆を引き込むように、いきなり時速120キロでぶっ飛ばします。

人をひきつける話し方には2つのパターンがあります。音楽や演劇、落語などのように、「徐々に盛り上げていくタイプ」と「最初からテンションを上げ、それを維持していくタイプ」です。

実際に客が会場に来て、何時間もの時間そこに滞在し楽しむ前者であれば、最初のパターンでもいいわけですが、YouTubeのように、あっという間に聴衆が離脱してしまうメディアにおいては、冒頭から、聴衆の心をわしづかみにする必要があります。

そのために、がっしりと聞き手の心をとらえる「つかみ」が大切。大げさなアクションや表情、「はじける」テンションで、畳みかけるように話しかけていきます。

「話し方って覚えたくない人いませんからね」「恋愛も仕事もそのどっちにも必要なのが話し方」「恋も仕事も制するのはコミュニケーション!」「話し方さえ制すれば、人生が制圧できる!!」。こうした心に刺さるキーワードを、打ち上げ花火のように連打していきます。

まさに、冒頭のつかみで、「聞き手の心を制圧してしまう」わけです。
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【3】「話している」ようで「聞いている」

リモートでのプレゼンで、やりにくいと感じる人の多くが、「カメラの向こうの聞き手のリアクションが見えないこと」を理由に挙げます。聞き手の表情も見えず、面白いのか、聞いてくれるのかさえわからない。

実は一方的にまくしたてているようで、「あっちゃん」はよ~く、聴衆の心の声を聞いています。ここが、プレゼンの名手の名手たるゆえんなのです。

どういうことかというと、これは彼のYouTube特有の「仕組み」です。

カメラに向かって話している向こう側のスクリーンには、サポーターの人たちの顔がずらっと並んでいます。リアルでその人たちに向かって話しながら、その表情やリアクションを読み、「彼らと対話をする」ように動画を収録しているのです。

「みんなが笑ってくれるのがモチベーション」と語る彼が、リモートの難点を解消するために編み出したのが、今のスタイルだったようです。これなら、「聞き手がつまらなそうだ」「面白がっている」などの表情を読み取り、ギアを上げたり、下げたり調整ができます。

「受け取れないような剛速球を延々と投げ込んでくる人」と「取りやすい球を投げてくる人」。どちらとキャッチボールを続けたいですか? もちろん後者ですよね。

日本人がよくやりがちなのが、前者の話し方。自分が話したいことを一方的に話すだけの「モノローグ」プレゼンです。聞き手のことを置き去りにし、自分1人、好きなように好きな方向に投げ続け、相手がボールを受け取れなくてもお構いなし。一方、彼は徹底的に、相手が受け取りやすいボールを投げ、「キャッチボール」をし続けようとします。
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彼の話し方は、聞き手を置き去りにしません。「そうだよね」「なるほどね」「なんででしょうか」「そこ、教えて~」「聞きたくない? 聞きたいよね」「そういう人いるよね~」「しましょうよ」。徹底的に会話調で、問いかけを織り交ぜていく。

拙著『世界最高の話し方』で、池上彰さん、高田明さんの2人がよく使うテクニックとして「2人のあきらのカネの法則」と名付けて紹介しているのですが、ただ、「です」「ます」と言い切るのではなく、時折、「〇〇でしょうか?」「△△ですよね」など、語末を「か」か「ね」と問いかけ調にすることで、聞き手との間に共感を作り出すことができるのです。

これを彼は「『か』とか、『ね』とかでトスを上げる」とたとえていましたが、まさに、相手が打ちかえしやすい球を投げる工夫をつねにしています。だから聞いている人が、「あっちゃんは私に、僕に、話しかけてくれている!」という気持ちになるわけです。

一流のYouTuberには奥深い「話法」が詰まっている

というわけで、いかがでしょうか。「『あっちゃん流』心をつかむ話し方」。その魅力はまだまだここでは書ききれないほどあり、実に奥深いのですが、「リモート時代の話し方」は「一流YouTuber」に学ぶべし!

皆さんもぜひ、お気に入りのYouTuberのスキルを盗んでみませんか。

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当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です
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