2017.06.25

日本最高峰の花火は冬空に舞う

花火は夏の風物詩? いえいえ、じつは本当の花火好きが注目する花火大会は冬にあるのです。全国の花火師が見に行くというほど注目の「えびす講煙火大会」の魅力をご紹介いたします!

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監修・写真/冴木一馬(ハナビスト) 取材・文/岩佐史絵

空気の澄んだ冬こそ花火! 花火業界の川中島の戦いに熱狂

江戸の川開きのお知らせに花火を使ったことから、花火は夏の風物詩になったというのが定説。
ですが、実は年中いたるところで花火大会は開催されているんです。事実、花火通は冬こそ花火の季節というそうで、その理由は冬場は空気が澄んでいるうえに、風も出やすく煙がこもらないのでクリアかつ、隔たるものなく花火を鑑賞できるからだそう。
それを裏付けるかのように、冬の気配も濃厚になってくる11月、日本中の花火師たちが注目する、花火大会があるといいます。
それが、長野市で開催される「えびす講煙火大会」なのです。

日本のトップ花火師がガチンコ勝負!

「えびす講煙火大会」は、1899年から続く伝統ある花火大会。五穀豊穣や商売繁盛を祈願して、えびす様へ感謝の意を示すために花火大会を開催したのがはじまりだそう。ちょうど豊穣の秋には冬支度をはじめる人々で街は賑わいを見せていましたから、花火見物に足を止める人も少なくなかったのでしょう。

この大会のすごさ、花火通が注目するポイントは、そんな伝統もさることながら、大会のクオリティの高さにあります。

近年、大会を開催しているのが、花火大国日本のなかでも一、二を争う花火業者として知られる「紅屋青木煙火店」と「信州煙火工業」。といっても読者にはピンとこないかもしれませんので、両社のすごさをさらりと説明すると、「紅屋青木煙火店」は音楽に乗せたスピード感のあるスターマインで日本随一の技術を誇り、一方の「信州煙火工業」は計算しつくされた緻密な割物花火で超有名。
そんな甲乙つけがたい実力のある花火業者が、二社合同で開催するというのは、本当にすごいことなのだそう。

そんな二社の花火を一度に見られるとあって、「えびす講煙火大会」は“花火業界の川中島の戦い”とすら称され、花火ファンを魅了しているのです。
11月の長野市といえば最低気温が2度、3度と、一桁になるのは当たり前。しかしそんな寒さも吹き飛ばすかのように、全国から花火ファンが集まり、熱気に包まれるのです。

また、大正時代のころから大会で花火を揚げられる花火師は厳選され、未熟な者は揚げることができなかったそうで、この場所でデビューできることは熟練と認められた証だったのだそう。
1992年以降は全国から花火師を招いて新作を披露する場ともなっているので、今もそうした“出世煙火”の雰囲気があり、全国津々浦々のプロの花火師たちが熱い視線を注いでいるのだそう。

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ここでしか見られない、伝説の花火とは?

ここでしか見られない、伝説の花火があった

そんな花火大会ゆえに、見どころもたっぷり。まずは二社合同で揚げる、十号玉、八号玉、七号玉の111連発! さらに、長野の企業として有名なキノコの「ホクト」提供の、キノコを模した特大スターマインをはじめとした花火師たちの新作の数々。

あるときは紅屋青木煙火店の三代目、青木昭夫氏がなんの前触れもなく見事な五重芯割物を打ち上げ、人々の度肝をぬいたことも。
このときは全国で四重芯花火の腕を競っていたころで、五重芯は現在においてもこのときが最初で最後となっているそうです。

こうした花火は繁忙期である夏のシーズンが終了してからじっくりと仕上げられているため、粒ぞろい。とはいえ、古くから花火文化のあった長野県ですから、人々は花火を見る眼が非常に肥えていそうで、すこしでも花火の出来が悪いと、その花火の協賛スポンサーから値引きを要求されたりもするのだとか。

そんな、花火師のプライドと腕をかけた「えびす講煙火大会」。冬なのに花火? なんて訝しがられても強引にお連れしましょう!さすれば、必ずや感動して貰えること間違いナシです!
万が一、「寒いからイヤ」と言われたときのために、粋な防寒装備もお忘れ無く!

●冴木一馬

写真家。世界を股にかけ花火を撮り続けて30年。撮影だけでなく、花火の歴史や民俗文化をも調査・研究し、花火のことならなんでもござれ、花火師の資格まで有する日本唯一の“ハナビスト”。山形県出身。
http://www.saekikazuma.com/

写真集『花火』光村推古書院刊

A4判 オールカラー96頁
ソフトカバー 本体2400円

ワンシャッター、多重露出をおこなわず、花火本来の姿をとらえることにこだわりぬいたハナビスト冴木一馬による花火写真集。
サムネイル画像クレジット/写真:松本博/アフロ

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