2017.06.21
ライカのインスタントカメラ、ゾフォートで残すノスタルジックなふたりの思い出
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文・写真/大石智子
デジタルカメラが普及する前は、カメラは“現像”するのが当たり前で、写真屋さんに出してからプリントまで数日かかるものでした。そんな時代にインスタントカメラは撮ったその場で見られるのが刺激的で大人気だったのです。
その盛り上がりを表す商品のひとつが、「ライカ ゾフォート(LEICA SOFORT)」。実はあのライカまでも、初めてのインスタントカメラを2016年11月に発売させているのです。それは、首にかけても様になる秀逸デザインで、懐かしさを備えつつも機能は最先端。ではでは、その使用感をお伝えします!
花もさりげなく美しい、自動モード
「ライカ ゾフォート」のゾフォートとは、ドイツ語で"すぐに"という意味で、まさに商品機能をそのまま表した名前。フィルムはチェキのフィルムも使用する事ができ、ライカの専用フィルムにはカラーのほかモノクロもあります。
さっそく一番手頃な自動モードでアジサイの写真を撮影。自動モードは極力内蔵フラッシュを作動させない造りになっており、自然光ならではの趣が出て、何を撮ってもキメキメにならない。SNSなどで鮮やかに加工した写真を見慣れている昨今、この控えめな加減がなんとも新鮮です。
撮影モードが豊富だから、シーンごとに楽しめる!
自動モードのほか、パーティー&人物、接写、セルフィー、バルブ(長時間露光)、二重露光を装備します。
パーティー&人物モードで美女を撮ってみると、iPhoneの画質よりもクリアじゃない分、雰囲気のある仕上がりに。インスタのフィルターでも、こういう加工、ありますよね。それを素でできてしまうのです。
自然光のなか、0.3〜0.6mの距離に適した接写モードで撮影。料理を撮ると、色みは少し浅い印象。
インスタントカメラにしてセルフィーモードも搭載。といっても液晶モニターはないので、レンズの上にある小さな鏡に自分を写して撮るというアナログ感。鏡は親指の爪ほどの大きさなので、2名でセルフィーを撮る場合は密着が必要ですね。
バルブ(長時間露光)で撮影した東京タワーには、どこか切ない空気感が漂います。夜景の場合、手持ちではなく台の上などに固定して撮影した方がベター。
スタイルのいいふたご美女!?と思いきや、実は同一人物を1枚の写真におさめたもの。これは二重露光という撮影法で、2回シャッターをきると1回めと2回めの撮影が合体して1枚の写真が出来上がります。女性以外にも、例えばグラスと東京タワーを連続して撮り、グラスの中に東京タワーを入れることもできてしまう。まるでトリックアートのような写真も作れるのです。
そして何より一番の魅力は、何でも複写・転写できる現代のなかで、世界にたった一枚しかない写真を作れるということ。余白に日付やメッセージを書いてもいい。他人に見られることなく、まるで秘密ごとのように写真を所有できます。
SNSに載せるのとは対照的に、それは自分たちだけの思い出。ノスタルジックな画質に加え、その存在はちょっと甘酸っぱい。そんなロマンティックな瞬間をきりとった写真を、ためていきませんか?
■LEICA SOFORT
ライカ ゾフォート(LEICA SOFORT)
●サイズは124×94×58mm。カラーはオレンジ、ミント、ホワイトの3タイプ。3万2000円/ライカ