まずはダジャレを3連発。
「副操縦士は服装重視」
「デカいケツで解決」
スマイル、スマイル!
と、それはともかく。昭和は面白いダジャレが言えれば人気者になれた時代でした。
特にオヤジと子供たちは競ってダジャレを連発し、それが場の緊張をほぐし、職場でも学校でも人間関係が丸く収まるのに大いに役立ったものだったのです。
しかしそれも遠い昔。いつの頃からかダジャレは、ダサい、ウザい、サムいと酷評される存在になり、すっかり過去の遺物となり果ててしまいました。
ところがです。その遺物を掘り起こし、新たな価値を与えて蘇らせようとするプロジェクトが進行しているのです。まずはこの写真をご覧ください。
実はこの作品タイトルは
「電話に誰もでんわ」。
そう、この写真はダジャレをビジュアルで表現したアート作品なのです。
この作品を手掛けたのは「DAJAART」という男性ふたり組のユニット。写真家のRYO KATSUMURA氏は昭和62年、デザイナーのSHUN INANUMA氏は平成3年生まれで、ともに昭和の時代をリアルには知らない世代。このふたりが生み出す作品に、いま、内外から熱い視線が注がれているのです。
何故このような作品が生まれたのでしょう?
「僕らにとってダジャレって決してカッコいいものじゃなかった。でも世の中でダサい、サムいって言われてるものだからこそ、それをカッコよくしたら面白いんじゃないかと思いました。そしてダジャレは子供からお年寄りまで誰でも知っています。だから多くの人に関心を持ってもらえる。しかも今まで誰もダジャレをアートとしてビジュアル化した人はいなかった。それで挑戦することにしたんです」(INANUMA氏)
「世間の思うダジャレとはまったく違うイメージを提示できたからだと思います。くだらないと思われているものを、ひっくり返してアートだと言って世に出した。そのギャップに面白みを感じて頂いたのだと思います」(KATSUMURA氏)
例えばこちらの作品。
「ここで飛ばしたふとんは、あえて“実家”にありがちな昭和っぽいものを選びました。それをヤシの木の生えた海辺というありえない場所と組み合わせることで『非日常』感を際立たせてみました」(KATSUMURA氏)
このプロジェクトを始める前と後で、ふたりのダジャレに対するイメージもまったく変わったと言います。
「ダジャレの面白さって、韻を踏むという日本古来からの言葉遊びの延長線上にありながら、実際にはありえない情景を描写することができますよね。『ふとんが吹っ飛んだ』だって日常では起こりえないじゃないですか。そういう意外性の面白さがダジャレにはあると気づかされました」(INANUMA氏)
しかし、聞きなれたダジャレにもかかわらず、思わず見入ってしまうのは何故でしょう。その秘密は撮影の細部にまでおよぶ彼らのこだわりにあるようです。こちらの作品をご覧ください。
「路上にただ、アルミ缶とミカンを置くだけなら誰にでもできます。でも僕らは何時間もかけて山奥まで行って絵になるポイントを探してきた。僕らの作品が少しでも人々を引き付けるとしたら、それは僕らなりに伝えたいこと、意図を作品に強く込めるようにしているからだと思います」(INANUMA氏)
まさにダジャレのマイナスなイメージをガラリと変える挑戦。平成しか知らない彼らだからこそ、ダジャレを新鮮なものとしてとらえる発想の転換ができたのでしょう。そしてその感性は当然ながら女子でも同じかと。実際、彼らのダジャレアートは女性たちからも広く支持されているのです。
とすれば、最近のインスタグラムのブームも踏まえて、彼女とふたりでDAJAARTに挑戦! ダジャレのアート写真を自ら撮り下ろしてみるなんて遊びはいかがでしょう。
ダジャレをたくさん知っているのはオヤジ世代のアドバンテージ。お気に入りのダジャレを披露して、彼らの作品を参考に自分ならこう撮ってみたいと、ぜひ彼女と盛り上がってみてくださいませ。
URL/http://www.dajaart.com/
RYO KATSUMURA
スタジオ勤務を経て2016年に独立。フリーランスカメラマンとして、音楽やアパレルや企業など様々な撮影をこなす。2016年にDAJAARTをINAMURA氏と一緒に考案。新しく「No man is an island」と題して、様々な主人公たちにフォーカスしたポートレート作品も精力的に撮影中。
URL/https://www.ryokatsumura.com/
SHUN INANUMA
1991年東京都出身。フリーランスのデザイナーとしてグラフィックデザインなどを手掛ける。
また「着るだけでコミュ力UP!! 喋るTシャツ」や「ショートカットキーを覚える為のマンガ」などを考案。
URL/http://imamagininal.com