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2025.11.30

【第8回】

自分の生き方は自分で決める。バツ2美魔女の波瀾万丈人生とは

生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか、大人の女性たちは何を求めているのかを、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で深掘りします。

CREDIT :

取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)

生き方や恋愛の価値観が変わりつつある現在、恋愛も結婚もしなくたっていいこの時代に、大人の女性たちはどんな恋愛をしているのか。大人の女性たちは何を求めているのか。

本連載「林 伸次のLove la Bossa」では、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」のマスターにして作家の林 伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術で大人の女性の本音を深掘りします。第8回のゲストは、前回(こちら)に続いて羊さん(40代)です。

前編では、20代前半で結婚・出産を経験したこと、夫の浮気への不信などから人生をやりなおすために離婚を決めたことをお話しいただきました。後編では、その後の人生と恋愛についてお聞きします。
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『私は愛していない、そこまでの感情はない』と思った

── 離婚後はどんな生活でしたか。

「シングルマザーになってから転職して、マーケティング業界に入りました。今も同じ業界で働いています」

── おお、転職がうまくいった感じがしますね。その頃の恋愛事情はいかがでしょう。

「2〜3年は恋人を作らずに仕事に専念しました。ただ、よく一緒に仕事をしてた方と、打ち上げの後帰る方面が一緒ということでタクシーに乗ったら、そういう感じになって……。その人は既婚者だったので良くないんですけど、時々会ったりする関係になりました」

── まあそういうこともあるでしょうとは思いますが。その方とは続いたんですか。
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「あ〜、そうでもないかな。ある日、その彼に『愛してる』って言われたことがあったんです。でも私は『は? この人結婚してるのにどの口が言ってるの?』とすごく冷静になっちゃって。その時に心の中で『私は愛してない。そこまでの感情はない』と思ったので、そこからフェードアウトしましたね」

── なるほどそうか〜。既婚男性は家庭外で好きな人ができても『愛してる』って言わない方がいいですか?

「本気だったら言ってもいいと思うんですけどね。相手だけが勝手に盛り上がってる感じがして冷めました。まぁそもそもそんなに好きじゃなかったんでしょう(笑)。たぶん久しぶりの恋愛が楽しかっただけだと思います」

── すごく好きじゃなくても付き合ってみるのはなぜですか? 好き好きって言われると気分が上がるとか、時々恋愛っぽいことを挟みたいとか?
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恋愛は日常に“楽しみ”をもたらしてくれるもの

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「恋愛って平常運転とは違いますよね。ちょっとした楽しみみたいなものができることが、私は楽しいかな。普通に楽しくないですか? そういうの。私の場合は仕事関係の人がほとんどなので、職場で見せない『オトコです』みたいな部分を出されると『あ、なんかかわいい♡』ってなるかな。日常にそういう感情が生まれるのっていいですよね」

── 今日一番楽しいお話ですそれ(笑)。そうか、いい感じになりそうな男性がオトコを見せようとしている姿って、「かわいい〜」なんですね。
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「そうそう(笑)。でも、かわいいって思える人じゃないと恋愛には発展しませんよね。気持ち悪いって思ったら無理だし」

── そうか、気持ち悪いって思われることもあるんですね。そこの振り幅が大きいのか。

「その辺は相性とか相手の男性によると思います」

── 難しいですねえ。その後もう一度ご結婚されているんですよね。どんな人だったんですか。

「映像制作の仕事をしている人でした。接待の場で気があって付き合うようになったんです。彼は初婚だったのですが、2回目のデートで、当時小学生だった子供と一緒に行けるところを提案してくれるような人でした」
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2回目の『私の人生、これで終わるのは嫌だ』がやってきた

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── その時、お子さんは嫌がらなかったですか。

「はい。そのまま伝えたら『いいよ』って」

── すごい、とてもいい子に育ったんですね。

「はい。とてもいい子なんです。ただ私自身は再婚するつもりがなかったんですが、あちらのご家族がとにかく私を気に入ってくださって、猛プッシュされた形で結婚しました」

── 歓迎された形で再婚できたのはよかったですね。でもどうして離婚されたんですか?
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「彼はとにかく怠惰だったんです。仕事が激務で帰らないことがあるのは仕方ないですけど、家にいる時には大量にお酒を飲んで寝ているだけ。どんどん太ってきて、嫌だなと思いました。彼がマイホームを欲しがったのでお互いに頑張って働いていたんですが、仕事がキツかったようで彼が休職しちゃったんですね。私も仕事が忙しくピリピリして、徐々に関係が悪くなっていきました」

── お互いに余裕のない状態になってしまったんですね。

「するとまた1回目の時のように『私の人生、これで終わるのは嫌だ』という思いが湧いてきてしまい……。学生の時に親の都合で行けなかった留学に、3ヶ月だけ行かせてほしいと子どもと旦那さんに了解を得て、留学しました。それが40歳頃のことです」

── すごい! 努力家なんですね! お子さんも高校生になっていれば全然大丈夫ですもんね。
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「勉強して本当によかったし、留学でとてもいい経験を積めたと思っています。ただ、帰国したら余計に『私、なんでこの人と結婚しているんだろう』って思っちゃったんです。向こうで恋愛をしたとかじゃないですよ? でも、離れて冷静になってしまったのか、もう無理だってなってしまって」

「美人とヤれてうれしい」と言われて「浅いな」と思いました

── そうか、怠惰だし、家ではお酒ばかり飲んでいて、愛想が尽きても仕方ないですよね。お子さんは再婚相手の方をどう思っていたんだろう。

「後々聞いたら『もっと他にいたでしょ』と言われました。『別にこの人じゃなくていいんじゃない?』と思っていたらしいです。ただ当時は離婚と再婚を繰り返してしまったことについて『自分をこんな目に遭わせるなんて』と怒られました。私を気に入ってくださったご両親にも申し訳なく思います」
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── でもお子さんももう大きくなっているし、心残りがあったら挑戦したい、チャレンジしたいと思う気持ちはわかりますよ。その後、恋愛はありましたか。

「英語力をキープするために、気軽な気持ちでブリティッシュパブみたいなところに出入りしていた頃に知り合って仲良くなった、外国人の彼がいました。その人のことは本当に好きだったんですが、彼は既婚者でした」

── ある程度の年齢になると既婚者が増えるので、恋愛も難しいですよね。
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「そうですね。彼も私のことを好きでいてくれましたが、離婚する気はなかった。時々会うぐらいの方が良かったみたいなことを言われ、カチンと来たので別れたんですけど、結局くっついたり離れたりを繰り返してしまいましたね。今はちゃんとお別れしていて、恋人はいません」

── そうですか。でもこれからまだまだ恋愛もあるんじゃないですか?

「う〜ん、どうなんだろう。本当に最近恋愛したいと思わなくて。まぁ、いたらいたで楽しいのかもしれないですけど、自分の時間の方が大事。以前出会えたらラッキーだなぁと思ってやってみたマッチングアプリで会った人は最悪でしたし」

── え〜、どんな最悪さだったんですか。
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「“うまくいかないのは全部人のせい”みたいな人でした。その人に『美人とヤれてうれしい』みたいに言われて『浅いな』と思いました」

── あはは! 自分の人生を切り開いてきた羊さんらしい言葉が出ましたね。お話とても楽しかったです。ありがとうございました!

【林さんから〆のひと言】

羊さんは、自分の人生を自分の力で切り拓いて、必ず新しい自分をつかんで、素晴らしい人生ですね。これからも幸せな人生を楽しんで下さい。
bar bossa(バール ボッサ) 林 伸次(はやし・しんじ)

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』(‎幻冬舎)、『恋愛は時代遅れだというけれど、それでも今日も悩みはつきない』(Pヴァイン)、最新刊は『30歳になってもお互い独身だったら結婚しようか』(三笠書房)。

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