2020.07.30
【第26回】
波瑠似の美人編集者「私にとって“美しさ”は“強さ"。整形して自信を持てるようになりました」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林伸次 写真・構成/木村千鶴

テーマは今どき美女たちの“悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。第26回のゲストは、元ご当地アイドルで現在はエロ漫画雑誌の編集者をしているという波瑠さん(23歳)です。
そのまんま言っていいのか、男性器って言い換えた方がいいのか
「私もドキドキです(笑)」
── とっても可愛らしい方ですが、事前情報ではいろんな経歴を持っていらっしゃると。どんなお話が飛び出てくるか楽しみです。今日はよろしくお願いします。
「こちらこそよろしくお願いします」
── えっと、ここではニックネームでお呼びすることになっているんですが、女優の波瑠さんに似てるので波瑠さんと呼ばせていただきますね。
「いいんですか?(笑) ありがとうござます」
── 波留さん、現在はどんな仕事をされているんですか。
「本業はエロ漫画雑誌の編集です」
── おっ! 初っ端からきましたね(笑)。それはどういった経緯で?
「新卒では人材派遣会社に就職したんですが、どうしても編集の仕事がしたくて転職したんです。受かったのがたまたまエロ漫画雑誌だったんですね」
── あ〜、たまたま(笑)。とはいえ普通はそっちに行かないかと(笑)。
「ですかね(笑)」
── 普段はどんなことをしているんですか。
「私はまだ新人なので、先輩が担当している作家さんの漫画の性器部分に修正入れたり、喘ぎ声などのフォントを考えたり」
── わわわ(笑)。するとエロいワードなんかも飛び交うわけですよね。
「そうではあるんですけど、仕事ですからみんな普通のテンションで話します。逆に私が『このお○○ちんの消しを何ミリにした方がいいですか』って質問する時に、男性器って言い換えた方がいいのかななんて躊躇することはあります(笑)」
── 微妙な気遣い!(笑) でも、若い女性としては、男性向けのエロ漫画だと、なんか納得いかない描写というか、女の子ってこんなことされても喜ばないしっていうのありますよね?
「あ! あります、あります。めちゃくちゃあります〜。でも勉強になりますね。こんなこと思ってるんだ、全然違うけど面白いなって。ただ鵜呑みにしないでほしいなって思います」
── ですよね。あれは妄想、ファンタジーであって、生身の女性とは違いますもんね。

ご当地アイドル時代、人気がないのは自分の顔のせいだと思って
「実は子どもの頃からAKB 48が好きで、住んでる地域の近くで新しいグループが発足するって聞いてオーディションを受けました」
── とっても行動的ですね!
「はい。でも落ちちゃったんですよ(笑)。だけど負けず嫌いなんで諦められなくて。その後、地元のご当地アイドルに合格したので、高校時代はご当地アイドルをやってました」
── やっぱりやってたんですね〜! 楽しく活動できましたか?
「もちろん楽しさはありますが、私、グループの中で人気が出なかったんです……」
── え~、なんでだろう?
「それまでは自分のことを“そこそこかわいい”って思ってたんですけど、ある時から、これは顔が原因かなって思い込んでしまい……そこからどんどん自分の顔の粗探しを始めちゃって」
── あらら。それは、大変でしたね。
「もう、完全に顔面コンプレックスでした。精神が不安定になってしまって、その頃は鏡を見てずっと泣いてましたし、歯並びも気にしていたので、笑う時にはずっと手で隠していたんです」
── アイドルなのに? それはつらい。
「はい。ご当地アイドルを卒業して、東京の大学に入学してからも、ちょっとグラビアの仕事はしてたんです。そしたら今度はツイッターのリプライとかで“かわいくない”とか誹謗中傷されて。そこからどんどん整形したい気持ちが大きくなって……。それで私、大学生時代に整形してるんです」
「はい! 今は鏡を見ても本当に何とも思わないし、メイクも買い物もしていて楽しいです」
── それは良かったですね。整形して幸せを感じた人って実はわりと多いってお話を聞いたことがあります。
「本当ですか」
── はい、でも一方で、精神的に不安定な人は大変なことになる事もあるらしいんですけど。波瑠さんは整形しても、まだあちこち気になるってことにはなりませんでした?
「もう一定以上、自分がやるって決めたところを満たしたら、気になることが特になくなりました」
── それは本当にうまくいっているパターンですね。すごくポジティブ!
「そこは、やって良かったなと思います」

「私にとって“美しさ”は“強さ"ですね」
── 強さ?
「はい。自分の強みって人により色々ですよね、知識とか、鍛え上げた筋肉とか学歴とか。美しさもそこに同列する価値のものだと思っていて。私はその中でも、美しさをすごく価値のあるものとして捉えています」
── へえ〜、面白い! それは他人から評価されたいものとして? それとも内に向けて?
「結局内側でしたね。人からの評価ももちろんありますが、美しいという強みがあることで自分に自信が持てるようになりました」
── メインは見せるためのものではないんだ。では、自信が持てるようになって、何か変わりましたか?
「自己主張する場面でのためらいがなくなりました。堂々と発言できるようになった。するとフィードバックしてもらえるので、学びの機会が増えましたね」
── わあ〜、それは本当にいいパターンだ〜。でも今は編集者っていうことは、もう芸能活動とかはしてないんですか?
「はい、母に反対されたというのもあるけど、やっていても気持ちが塞がっちゃうんですよ。美しさって主観で判断されるものだし、自分ではいいと思っても、万人にウケることなんて不可能ですから。それがわかったら興味もなくなってきて。今後やる予定もありません」
── それでいいんだと思います。
ルックスは全然気にならない。世間でいう“はみ出しもの”が好き
「いえ、彼氏はいました。15歳から大学3年生まで同じ人です」
── そんなに長く! じゃあ色んなことをわかり合った人ですね。
「そうでしたね。でも彼とは大学で離れ離れになってしまい、遠距離恋愛していました」
── でもそうすると、あれですよね。東京に来ていろいろお誘いがあるから、そっちが楽しくなっちゃいますよね。
「まあ、そうなりますね(笑)」
── 付き合っている最中か、別れた後かという野暮な質問は横に置くとして(笑)、いろんな人とデートしたり、あれこれ試したりしたと思うんですけど、どうでした?
「あ〜彼は下手だったんだなって思いました(笑)」
── あわわ(笑)。男性って下手かどうかすごく気にしてて、相手が気持ち良くなってくれたらうれしいけど。あの、本当にすごく頑張っているんですが、でも下手なのって嫌ですか?
「いや、下手なのは仕方ないけど、痛いのは嫌です。ガシガシ触られると痛いんですよ。『もうちょっと弱くして欲しいな』って言ってるのに『いやいやこれが気持ちいいんでしょ』って言われて、もう本当にやめて〜って。彼のことは好きでしたけど、セックスはしたくなくなりました」

「結構モラハラじみた人でした。他にも嫌なこと言われたりしていたし。でも初めて付き合った人だったのでこれが普通ってずっと思ってて」
── 男性ってそういうもんかって?
「そうなんですよ。今振り返ると、失敗したなって思ってます」
── そうか〜。今では経験値も上がって“男を見る目”も磨かれたんじゃないかと思いますが、波瑠さんが男性に求めることって何でしょう。性格の良し悪しとか、セックスの相性とか、ルックスとかお金とか色々あると思いますけど。
「やっぱり性格の良い人が良いですよね。でもセックスも大事だと思います」
── セックス、気になりますか。
「重要ですね、好きだし。ちゃんとしてると満たされてふわふわした気持ちになるし、ないとイライラしちゃう。逆にルックスはほとんど気にならないかな。私、好きになると誰でもカッコいいなって思うので(笑)」
── とはいえ、太ってたらイヤです〜とかあるんじゃないですか?(笑)
「いえ。私、基本的に世間で言う“はみ出しもの”が好きなので、本当に気にならないんですよ。お金も自分で稼げば良いから」
── すご〜い! では相手、自分含め浮気はどう思いますか。
「彼氏の浮気はバレなきゃいいなって思ってたんですけど、前に携帯見たらそれっぽいのがあって。その時に初めて『耐えられないかもな』って思いました」
── でも男性って浮気しがちですよね。
「ですけど、自分の彼は絶対ないって思ってたんですよ。でも、あ〜本当にあるんだ、嫌だなって」
── あ〜そうか。えっと波瑠さん自身、浮気したことは?
「これが、あるんですよ〜。でも、自分がされて、こんなに嫌な気持ちになるんだ、もう本当にやめようって思いました(笑)」
── 波瑠さんが浮気をした理由って何ですか。
「それは寂しいからだと思います。あとはセックスが少ないとか」
── あ〜、彼とのセックスや言葉が減って。
「そう! そうなんですよ。彼から『好き』とかも言われなくなっちゃって、あんまりセックスもしなくなって、魔がさした感じです」

ずっと同じ人とする方が安心感があって好き
「いや。後々面倒なことになるので行かないですね。というかご飯に行ってもヤラないなら行く必要ないなっていう(笑)」
── ワハハ! 凄い! 男性みたいですね。ご飯だけでは行かない、と。
「セックスできないのにわざわざ行かないですよ、めんどうくさいから」
── セックスが好きだったり性欲が強かったりする女性って、わりとそう言いますね。
「え〜そうなんだ、他にもいたんだ〜、うれしい!」
── 男性の場合はいろんな人とセックスしたいっていうのが初期設定になってるらしいんですけど、波瑠さんはそういうのではないですか。
「私は同じ人と回数できたらいいです。でもそれが減ってくると他の人が気になってきます(笑)」
── なるほど。じゃあ相手は一人でいいんですね。
「そう、私はずっと同じ人とする方が安心感があって好きですね」
── ああ、初めての人だとうまく行かない時もありますよね。でも、そういうのを話し合いながら、理想のセックスをつくっていくのがいいって人もいますよ。
「あ〜それも素敵ですね。でも私はフィーリングで楽しみたいんですよ。最中にお話すると雰囲気が壊れるかな〜って」
── 確かに、ムードはちょっと薄れますね。
「ね、そうですよね。私、ケモノみたいに夢中になってするセックスが好きなんです(笑)」
── ケモノ感がたまんないんですね(笑)。
「そうなんですよ、お話してる人たちは素敵だなって感じですけど」
── そうなのか〜! その辺の感覚も本当に人それぞれだな〜。僕も勉強になりました。今日は興味深いお話がたくさん聞けてありがとうございました。
「どういたしまして」

【林さんから〆のひと言】

■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。最新刊「なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか」(旭屋出版)は、林さんが「このお店はすごい! 」と感じた飲食店のオーナーに自らインタビュー取材。繁盛店の秘密に迫ったドラマティックなビジネス書です。