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2023.12.15

【大人のテーブルマナー】教養編

テーブルマナーもロクに知らないで、モテようと思っちゃいけません!

大人の男たるもの、例えグランメゾンであっても自信を持って彼女をエスコートできるぐらいじゃないと当然ながらモテません。食空間プロデューサーの山野舞由未さんに、オヤジの嗜みとして、知っておきたい西洋料理のテーブルマナーについて教えていただきました。

CREDIT :

文/長谷川あや 写真/椙本裕子 編集/森本 泉(LEON.JP)

テーブルマナー LEON.JP 山野舞由未 
下町のシブい赤のれんから、泣く子も黙るグランメゾンまで、時と場合に応じてどんな店にでも自信を持って彼女をエスコートできる幅広い経験知こそ、モテる大人の真骨頂。当然ながら下町には下町の、グランメゾンにはグランメゾンのマナーが存在し、その場に応じた振る舞いが要求されます。

「居酒屋は得意だけどフレンチはちょっと……」なんてことにならないよう、大人の男としては、最低限のマナーは押さえておきたいところです。今回は食空間プロデューサーの山野舞由未さんに、オヤジの嗜みとして、知っておきたい西洋料理のテーブルマナーについて教えていただきます。

テーブルマナーの知識があると、どんないいことがあるのか?

── 西洋料理のマナーって、「外側に置いてあるカトラリー(食卓用のナイフ・フォーク・スプーンなどの総称)から使っていくアレでしょ? なんとなくは知ってるよ」という人は多いと思いますが、やはりちゃんと勉強したほうがいいんでしょうか?

山野舞由未先生(以下、山野) 少し前、京都の割烹の方が、「教養は身に付けていることに意味がある。その教養を、一度、実践で使うことができれば、それで充分だ」とおっしゃっていて、本当にそうだなと思ったものです。教養は身に付けておいて損になることはありません。
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テーブルマナー LEON.JP 山野舞由未 
▲ 山野舞由未先生。
── 一度⁉ もう少し実践したいところではありますが(笑)、非常に含蓄のあるお言葉ですね。

山野 テーブルマナーの知識があると、いいレストランで食事をしていても余裕が持て、食事や会話に集中できます。そして、その余裕は一緒に食事をするお相手やお店の方にも思いやりにもつながっていくと思うのです。
── マナーを知っているとお相手ともより食事が楽しめるということですね。納得です!

山野 それにノーベル賞授賞式の晩餐会や、天皇陛下が開催される宮中晩餐会に招かれる可能性もゼロではないでしょう(笑)?

──  確かに(笑)。いつその日が来てもいいように、今のうちに知識を身に付けておかないと。

テーブルマナーには意外な歴史がある

──  まず、最初に伺いたいのですが、テーブルマナーって、誰がいつ作ったのでしょう?

山野 紀元前2500年頃の、古代エジプト・イセシ王時代の指導書には、「人々と一緒に食事をする場合には目上の人に従うこと」「みんなが笑ったら、あなたも笑うこと」といった趣旨のことが書かれていたそうです。
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テーブルマナー LEON.JP 山野舞由未 エジプト
▲ 古代エジプトの食事風景。
山野 テーブルマナーの最初の専門書が記されたのは16世紀。1533年にイタリアの名家・メディチ家のお姫様であるカトリーヌ・ド・メディシスがフランスの王家に嫁いだ後、付き添ってきたメディチ家付きのイタリア人シェフが『食事作法の50則』をまとめました。彼は、手づかみで食事をするフランス人を見て愕然とし、この書にカトラリーの使い方などを記したとそうです。スープは音を立てずに飲むというマナーも、イタリアからフランス伝えられ、定着したんですよ。

── 手づかみ! フランス人、けっこうワイルドだったんですね(笑)。

山野 古代ローマ時代の正式な会食では、うつぶせや横向きの状態で寝そべって食べるのがしきたりだったそうです。それが時代と共にスタイルを変えていくのですが、中世までは多くの国では主人(ホスト)がナイフで肉や魚を切り分け、ゲストはそれを手づかみで食べていたのだとか。汚れた手や口はテーブルクロスやナプキンで拭うのが一般的でした。
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テーブルマナー LEON.JP 山野舞由未 ローマ
▲ ローマの食堂。Illustration from ''Illustrated History of Furniture, From the Earliest to the Present Time'' from 1893 by Litchfield, Frederick, (1850-1930)
── むしろイタリアが進んでいたのですね。そんな時代に、メディチ家のお抱えシェフが書いた、このマナー本がヨーロッパ各地へと伝わり、現在のテーブルマナーに繋がっていった……。

山野 概ねそうなのですが、そうすんなりとはいきません(笑)。この『食事作法の50則』を基本形として、対立するイギリスとフランスでは、それぞれ別のアレンジが加えられました。その結果、大きくフランス式とイギリス式の2つの形式の西洋料理のテーブルマナーが存在することになり、現在の日本でも両者が混在しています。

同じヨーロッパでもフランスとイギリスではマナーが違う

── フランス式とイギリス式は、何がどう違うんですか。

山野 後編の実践編で改めて解説しますが、いちばんの違いは食事を終えた後のナイフとフォークの置き方です。フォークの使い方も違います。イギリスでは料理をナイフでカットした後、料理はフォークの背に乗せて食べます。一方、フランス式では、カットした料理はフォークに刺し、フォークで刺しづらい料理はフォークの腹(くぼんでいる側)に乗せていただきます。
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テーブルマナー LEON.JP 山野舞由未 
── そうなんですか。両方のマナーを覚えておかなきゃならないのは、正直、ちょっと面倒なような(笑)。

山野 マナーやしきたりは国や時代によって変化するもの。シチュエーションに合わせた柔軟な対応が求められます。異なるマナーが存在するのはややこしいですが、きちんとしたマナーを知っていると自信を持って堂々と振舞うことができすますし、お店の方からも一目置かれますよ。

それにあまり難しく考える必要はありません。食事がどのような意味を持つ時間かと考えれば、マナーは自然とついてくるものです。

西洋の食事は会話を楽しみ、日本では黙食が基本

── 哲学的な話になってきました。どういうことでしょう?

山野 例えば、西洋料理では食べる時に音を立てるのはマナー違反ですが、日本ではお蕎麦などは音を立てて食べたほうが美味しいとされていますよね。お茶漬けのCMなどはあえて音を立てて食べています。音を立てずにお茶漬けを食べているシーンを見せられても、あまり食欲をそそられないでしょうね。

── それはそうですね(笑)。

山野 欧米とアジアでは、もともと食事の時間に対する考え方が違うんです。欧米では、食事は会話を楽しむための時間であり、コミュニケーションの場です。例を挙げると、西洋料理では、肉料理は一度にすべて切ってしまわずに、口に運ぶごとにひと切れずつ切っていただくのがマナーです。

パンもがぶりつくのではなく、ちぎってバターを付けて口に運びます。がぶりついたら会話ができませんから。パンをちぎったり、バターを付けている間に会話を楽しむのです。
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テーブルマナー LEON.JP 山野舞由未 
▲ 欧米では、食事は会話を楽しむための時間という認識。
山野 一方、禅宗では、食事をすることは、坐禅などと同様に、大切な修行のひとつであると位置づけられています。黙食が基本とされ、同じ場所にいても個々が離れて食事をすることが多かった時代、汁物などをずずっと音を立ててすするのは、“美味しくいただいています”というサインでもあったのです。

── なるほど、マナーが気遣いであり、思いやりだという意味がなんとなくわかってきました。

山野 繰り返しになりますが、マナーの知識に裏付けされた余裕は、周囲への思いやりにもつながりますし、何より食事の時間がより楽しくなります。そして、これは私見ですが、マナーも大事ですが、男性の場合、いかに女性をエスコートできるかも大切だと思います。スマートのエスコートしてくれる男性はやはりカッコいい! 店に出入りする際、ドアを押さえてくれるだけでも、キュンとしてしまう女性はたくさんいるはずですよ(笑)。

── 確かにそうですね。

※後編(12/22公開予定)に続きます。
テーブルマナー LEON.JP 山野舞由未 

● 山野舞由未(やまの・まゆみ)

食空間プロデューサー/テーブルスタイリスト。2児の子供のイギリス留学に伴いイギリスに語学留学。その際、英国式紅茶と食卓芸術に興味を持ち、テーブルコーディネートを学んだ。現在、さまざまな百貨店や和洋食器ブランドのディスプレイや販促セミナーも数多く手がける、食空間全体を演出するプロフェッショナルとして活躍している。日本紅茶協会認定ティーインストラクター。福岡市内で紅茶とテーブルコーディネートの教室を主宰。

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