2022.12.08
【vol.13】和菓子を知る③手土産編・後編
贈る相手に格別の感銘を与えられる和菓子とは?
いい大人になってお付き合いの幅も広がると、意外と和の素養が試される機会が多くなるものです。モテる男には和のたしなみも大切だと、最近ひしひし感じることが多いという小誌・石井編集長(47歳)が、最高峰の和文化体験を提供する「和塾」田中康嗣代表のもと、モテる旦那を目指す連載です。
- CREDIT :
文/牛丸由紀子 写真/田中駿伍(maettico) 編集/森本 泉(LEON.JP) 撮影協力/躍金楼 取材協力/ダイナースクラブ(運営会社:三井住友トラストクラブ)
土産編の前編(こちら)では、世間的に名が通っているにもかかわらず、比較的入手しやすい銘菓をご紹介しましたが、後編はさらに特別感のある和菓子をチョイス。引き続きご指南いただくのは、ギフトコンシェルジュ・裏地桂子さん。特別の思いを伝えたいお相手に贈るべき絶品菓子を教えていただきます。
和菓子に詳しい“通の女子”もうならせる本格派の銘菓が登場
石井 男子たるものハードルの高い相手にも「わかってるわね」と言わせたいですからね(笑)。 奥の手となる和菓子もぜひ知りたいです!
裏地 まず和菓子の素晴らしさのひとつは長い歴史に支えられた「老舗感」があることですよね。だから伝統のものを知っているというだけでも「できる人!」と思わせることはできるかと。さらに前編でもお話しした季節感、例えば端午の節句や昔から続くお祭りなど、その時期にあわせた和菓子をお持ちすれば「さすが、わかってる!」と尊敬の眼差しも得られると思います。
田中 とりわけ知識や経験の豊富なお相手には、そういうところはすごく効くと思います。
川端道喜「水仙粽・羊羹粽」/京都で500年以上続く御所ゆかりの銘菓
石井 500年ですか!
田中 もともとは禁裏、いわゆる御所の御用達で、京都で粽(ちまき)と言えばここと言われるように、その知名度はすごい。当時は毎朝「御朝物(おあさもの)」という餅を届けていたので、京都御所には今も川端道喜が毎日使っていた「道喜門」が残っています。でもお店は京都の中心部から離れた場所にあり、佇まいも本当にここ? と思うぐらいひっそりとしてます。
裏地 本当に知る人ぞ知るお店ですよね。この粽は奈良吉野の葛粉を用いていて、京都洛北の笹でひとつひとつ丁寧に包んで蒸しあげているんです。
田中 巻き方にもこだわりがあって、吉野葛と砂糖だけのシンプルな水仙粽は笹の葉の表で巻いて、こしあんが入った羊羹粽は葉の裏で巻いているそうです。
石井 うわ~、開けるとほんのり笹の香りが! 500年前の人も同じものを食べていたと思うと、やっぱり美味しさも格別ですね。
田中 これは1月と8月以外は年中買えるんだけど、涼しげなお菓子だし、粽ですから端午の節句あたりから夏がおすすめです。
田中 そしてこの粽は事前予約して、お店に直接行かないと買えないと言うのもポイント。
石井 手に入れるにはひと手間もふた手間もかかるし、日持ちもあまりしない。でも逆にそんな手間をいとわず選んでくれたという、ありがたみがぐっと増しますね。ここぞという時にがんばって使いたいな(笑)。
川端道喜「水仙粽・羊羹粽」
川端道喜 | 京名物 百味會 (kyomeibutuhyakumikai.jp)
大和屋「越乃雪」/越路の山に降る雪を表現した繊細な砂糖菓子
石井 日本三大銘菓は知りませんでした。本当に雪みたいですね。
裏地 新潟の餅米の寒晒し粉に四国の和三盆を加えて、柔らかく押したものなんです。箱からの出し方の注意書きが入っているぐらい、すごく繊細な砂糖菓子です。
石井 本当に徹底的にそぎ落としたシンプルさは、日本ならでは。余計なことをしない美しさですね。
裏地 世界に通用するそのセンスは素晴らしいですが、これが何百年も前からあるというのがすごいですよね。安永7年(1778年)に長岡藩9代藩主に献上されたのが始まりなので、250年近く変わらないお菓子なんです。
石井 箱を開けた時に「これ、なんだろう⁉ という驚きもありますし、そうっと口に入れると、口の中にパ~っと溶けていく。よくこの形を保っていると思うぐらい、その食感も繊細です。この感じは洋菓子にはないですね。すぐにほろほろと崩れてしまうから、女性のようにそっと優しく扱わなくては(笑)。
森八「長生殿生〆」/加賀の大名町を象徴する干菓子
田中 加賀は古くから茶の湯文化が栄えた場所ということもあり、京都と並び銘菓がいろいろある。これも加賀の大名町を象徴するお菓子ですね。
裏地 そうですね。森八も寛永2年(1625年)創業の老舗で、この「長生殿生〆」も藩主・前田利家が豊臣秀吉に献上したお菓子が原型だそうです。いわゆる落雁なんですが、「生〆(なまじめ)」とあるように、半乾燥なので少ししっとり感が残っています。このピンクは紅花の天然色素を使った自然の色なんです。
石井 甘みもあるし表面に漢字も入っていて、これも外国の方に喜ばれそう。歴史を語ることもできますしね。でも手土産を渡す時に、いろいろうんちくを語ってもいいんでしょうか?
田中 う~ん、あまり語りすぎるのは野暮かな(笑)。
石井 確かに絶対調べますよね! 多くを語らず、でも実はすごいモノだった、という方がカッコいい(笑)。
森八「長生殿生〆」
加賀藩御用菓子司 森八 (morihachi.co.jp)
【ポイント】
■ ここぞの手土産には購入にもひと手間がかかるような逸品を
■ 通年入手可能なものも、一番ふさわしい季節や行事に合わせて渡す
■ シンプル&ミニマリズムなど、日本の美意識を感じる和菓子は外国の方にも
■ 渡す時は多くを語らず。ネット検索してびっくり! を狙う
松前屋「きうひ昆布」/南北朝時代から続く京都最古の御所御用達の進物
石井 昆布なんですか?
裏地 松前屋は京都で800年近く、現当主で32代目という昆布専門店です。日本随一ともいえる老舗が作る、ほのかに甘い昆布のお菓子です。
田中 京都で格のある進物といえばこれ。南北朝時代から続く京都最古の御所御用達のお店です。
田中 そうなんです。京都の方でも「松前屋の昆布」と聞けば、「おおっ」となるくらいですからね(笑)。本当にこれこそ知る人ぞ知る逸品です。
裏地 5年寝かせた極上昆布をやわらかくして砂糖をひいた生菓子で、10月~3月の冬季限定でしか買えないんですよ。
石井 さらにハードルが高い! でもそれだけの価値は伝わりますね。
石井 たしかに最初は「昆布? なぜこれを?」と思う方もいるかもしれませんが、それが逆にいい。これこそ、検索でびっくりさせるには最高なんじゃないかな。何も言わずに渡して、検索して「ええ!こんなすごいモノを♡」と驚かせたいですね(笑)。
松前屋「きうひ昆布」
比呂女 松前屋(@matsumaeya_kyoto) • Instagram
木挽町よしや「どらやき」/オリジナルの焼き印を入れてくれるどら焼き
田中 木挽町よしやはどら焼きにオリジナルの焼き印を入れてくれるんです。文字やロゴマークなどをプリントして持っていくと、鉄の焼き印を作ってくれて約2~3週間で完成。お店に行くと、いろんな焼き印がずらっと並んでいるのも壮観ですよ。
田中 最初に焼き印本体の制作料がかかりますが、その後ずっとキープしてくれるので、何度でもリピートして作ることができます。
木挽町よしや「どらやき」
木挽町よしや (kobikichoyoshiya.com)
一笑堂「鶏卵饅頭」/小さなお饅頭にオリジナルのロゴや文字・数字を入れて
石井 おっ、すごくいいですね! この小ささもひと口サイズで可愛いな。
裏地 今回はLEONのロゴを入れてもらいましたが、開けたらメッセージになっているというサプライズにもなりますよね。
石井 なるほど! ここなら毎回違うパターンで作れるわけか(笑)。
一笑堂「鶏卵饅頭」
鶏卵饅頭 | 一笑堂 (isshodo.co.jp)
石井 いやぁ、歴史も味も、和菓子にこんなにすごいドラマがあるとは知りませんでした。面白かったです。ところで今後、自分で手土産を選ぶ時の基準というか、どんなところに気を付けて選べばよいでしょうか?
裏地 まずは“予算”ですよね。本当にいろいろなものがあるので、予算がないと絞り込めないですから。ただ、相手の負担にならないことも考えると手土産は5000円以内ぐらいが適切ではないでしょうか。
そして、もしわかるようであれば、その方がひとり暮らしなのか、ご家族がいらっしゃるのか。それによって個数を考えたり、一人暮らしなら食べきれないでしょうから、日持ちしないものは避けた方がいいということもあります。
石井 確かに金額にかかわらず、「その人のために」ということが感じられるのは大切ですね。
裏地 でもやはり「直接差し上げる」ことが何より大事だと思います。特にここ3年、なかなかお会いできない方も多く、手渡しする機会も減っていましたから。直接会って手渡しでお渡しする、それが手土産が持つ一番大事な意味だと思います。
石井 前編でも教えていただきましたが、ただ有名な商品だからとかではなく、自分が好きなものを「お福分け」する気持ちで差し上げること、そして直接手渡しすることで、絶対気持ちは伝わりますよね。もちろん、後で調べてびっくりのサプライズもしかけつつ、選びたいと思います。かなり自信がついたので、これからは和菓子の手土産で“ギャップモテ“を狙ってみたいと思います。本当にありがとうございました!
【ポイント】
■300年、400年は当たり前。想像以上の老舗の逸品があるのが和菓子の世界
■まずは予算を設定し、渡すシーンや意味合いを考えて和菓子をセレクト
■直接差し上げる、手土産の意味を大切に。自分の気持ちを和菓子に託す
● 裏地桂子(うらじ・けいこ)
ギフトコンシュルジュ、文筆家、草月流師範。ハイエンドな女性誌のライターとして活躍後、雑誌や企画展などの商品セレクションをはじめ、ブランディング、ショップのプロデュースや商品企画、商品開発などを手がける。数社の企業の顧問アドバイザーを務めている。食通、きもの好き、としても知られ、個別指導の「草月流師範・裏地桂子のいけばな教室」を主宰。近著に『最上級のプチプラギフト100』(光文社)。ほかに、『ほめられきもの宣言』(小学館)、『もの、好き。』『贈る心得』(講談社)など著書多数。コロナ禍を機に東京・人形町と愛媛・道後温泉での遠隔2拠点生活をスタート。毎日、更新のインスタグラム @k.uraji が、好評。
HP/www.uraji-keiko.com
● 田中康嗣(たなか・こうじ)
「和塾」代表理事。大手広告代理店のコピーライターとして、数々の広告やブランディングに携わった後、和の魅力に目覚め、2004年にNPO法人「和塾」を設立。日本の伝統文化や芸術の発展的継承に寄与する様々な事業を行う。
和塾
豊穣で洗練された日本文化の中から、選りすぐりの最高峰の和文化体験を提供するのが和塾です。人間国宝など最高峰の講師陣を迎えた多様なお稽古を開催、また京都での国宝見学や四国での歌舞伎観劇などの塾生ツアー等、様々な催事を会員限定で実施しています。和塾でのブランド体験は、いかなるジャンルであれ、その位置づけは、常に「正統・本流・本格・本物」であり、そのレベルは、「高級で特別で一流」の存在。常に貴重で他に類のない得難い体験を提供します。
■ 和塾
HP/http://www.wajuku.jp/
■ 和塾が取り組む支援事業はこちら
HP/https://www.wajuku.jp/日本の芸術文化を支える社会貢献活動
長谷川博己さんがダイナースクラブの新しい顔に!
新広告キャンペーン開始 ~Welcome to Diners Club 「本物は、ずっと残る。」~
今秋からダイナースクラブの新動画広告キャンペーンに俳優の長谷川博己さんを起用。本広告のメッセージ「本物は、ずっと残る。」には、自分にとって、本当に価値のあるモノや体験は、いつまでも心に残り続けるものである、という思いが込められています。 これからも、お客様に質の高い商品・サービス・顧客対応を提供するハイクラスカードとして、「本物の価値」を提供し続けていきます。
今なら、初年度年会費無料キャンペーン実施中です。ぜひこの機会に入会をご検討ください。
● 新動画広告特設サイト
「本物は、ずっと残る。本物のステータス」篇 / メイキング映像
https://www.diners.co.jp/ja/cm/brandmovie.html
● 初年度年会費無料キャンペーン
https://www.diners.co.jp/ja/entry_form/lp/web/index.html
大人のあなたにふさわしいクレジットカードはダイナースクラブ
● 【ご招待制】ダイナースクラブ プレミアムカードの詳細はこちら
https://www.diners.co.jp/ja/cardlineup/dinersclub_premiumcard.html
● ダイナースクラブの詳細はこちら
https://www.diners.co.jp/ja/pvt.html