2022.04.10
【第61回】
「危ない橋を渡らせるのが好き」小悪魔美女が禁断の恋に走るワケ
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
写真/田中駿伍(MAETTICO) 取材/林 伸次 構成・文/木村千鶴
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第61回目のゲストは前回に引き続き、太鳳さん(28)です。前編では、クリスチャンの家庭で育った反動から、高校生から性に奔放になったお話をアレコレ伺いました。後編ではさらに小悪魔なエピソードを聞かせてもらいましょう。
理性に負けた男性の姿を見るのが好きなんです
「世間的な面を考えられる理性があるのに、その彼が良心とか理性に負けている姿を見るのが好きなんです」
── 理性がある男性が、自分の魅力に落ちる瞬間が好きなんですね。
「はい♡ ただ、向こうは私のこと『ちょろいな』って思っているかもしれないですよ。魅力に落ちたわけじゃなくて」
── でも、彼なりの葛藤はありますよね、危ない橋を渡っているから。
「そうそう、危ない橋を渡らせるのが好き(笑)」
── その後もその危ない橋を渡ってきた男性はいるんですか?
「大学生の時に留学した先で、外国から来ていた教授とちょっとありましたね(笑)」
── 教授と! なぜそういう関係になったんですか。
「私、勉強が好きなので、授業でも最前に座って質問するタイプなんです。それで仲良くなって、『今度美味しいものでも食べに行こうか』って話になって……」
── えっ、先生とそんな話になるんですか?
「なりました(笑)。私は最初、単純に“よその国にいる者同士、仲良くしようぜ”、という感覚でご飯に誘ってくれたんだろうと思っていたんですが、向こうは最初からそのつもりだったんでしょうね、結論から言うと」
── はいはいはい。
── 悪いな〜! 部屋でもう一杯飲み直そう、みたいな話ですね。教授と学生がそういうことになるって絶対に厳しくダメでしたよね?
「絶対にダメですね。既婚者だし」
── 彼とはそれで続いたんですか。
「いえ、その1回でおしまいです。私の中でその時に達成感が生まれたのか、何だか興味がなくなってしまったんですよね」
── あ〜。太鳳さんって、ちょっと男性みたいですね。
「その辺は本当に、ちょっと男性っぽいんだと思います」
男性への許容範囲は広いかも
「20歳頃に付き合っていた人は、独占欲が強くて嫉妬深かったですね。私の誕生日にふたりで旅行に行ったら、偶然、現地で知人と遭遇して、立ち話で盛り上がっちゃったんですよ。そうしたら、そこから機嫌が悪くなっちゃって……。一緒に買い物をした袋を投げ捨ててタバコを吸いに行ってしまったので、追いかけて行って喫煙所で涙を流す、みたいなことがありました。誕生日なのに(笑)」
── わ〜、それは凄くダメな人! 元々そういう人なんでしょうか。それとも太鳳さんに男を嫉妬深くさせる何かがある?
「う〜ん、そうかもしれないし、私がそういう人を選んでしまうのかもしれない」
── なるほど。そうすると、これまでお付き合いしてきた男性はそんな感じの人が多いですか?
「あ、そんなことないです(笑)、みんなそれぞれ良かったです。私は基本的に人が好きなんですが、どちらかというと男の人の方が許容できるように思います。同性には多くを求めてしまうかもしれない。
めっちゃ仲良くなるか、全く興味が湧かないかのどちらかになりやすいですね。男性に対しては、“なんとなく好きな人”の括りが広いような気がします」
── 男性とは分かり合えない部分があるとわかっているからこそ、許容できるのかもしれませんね。太鳳さんはポジティブなんだと思います。これまで浮気の相手になったことはあるとのことでしたが、自分自身は浮気をしますか?
「恋人がいる時には浮気はしなかったですね。私、相手のこと大好きになっちゃうんですよ。そうすると他の人に興味がなくなる」
── あ〜そういうことなんですか! 浮気しないようにするんじゃなくて、興味がなくなる。
「はい。だから他の人に気持ちが向いたら、気持ちが離れているんだなって思います」
私の知らない話を聞かせてくれる人に惹かれます
「倫理観が合うかどうかでしょうか。言葉の使い方とかが結構気になっちゃうんですよ。この場面でこんな言葉を使うんだ、とか、この人に対してこういう言葉使いなんだ、って。飲んでる場の馬鹿話だったらいいんですけどね。会話が合うかどうかは大事だと思います」
── 確かに、倫理観がずれていると関係を続けるのは難しいかもしれない。どんな時に「この人と会話していると楽しい」って思いますか。
「関係が長くなると、私、時々面倒臭いことを言い出すんですよね。仕事の話とかでも自分の意見があるので、それをちゃんと受け止めて、面倒くさがらずに対話してくれる人だとうれしいなって思います。あとは、人生経験を積んでいて、私の知らない話を聞かせてくれる人に惹かれがちです」
── 先生が好きですもんね(笑)。
「はい、大人が好きなんだと思います(笑)」
「全部です。政治でも歴史でも音楽でも、いいお店を教えてくれるってことでも。唯一、プロ野球の話をされても私には響かないです(笑)。そもそもスポーツに興味がないので」
── じゃあ俺自慢はどうですか? 若い頃の武勇伝とか。
「3回目まではギリギリ大丈夫です(笑)。いろんなことに興味があるから、1回目はワクワクして聞けます。でも2回目に同じ話をされたら、“あれ聞いたなこれ”って思って、あ〜、3回同じ話が出たら、やっぱり無理ですね(笑)」
── まあ、そうなりますよね(笑)。年収にはこだわりませんか?
「年収は、自分のことを自分で賄えるくらいだったらいくらでもいいです。ただ、好きでもない仕事をしていて、そんなに稼げてもいないのにそこで安住している人だったら、そもそも私とは合わないと思います」
── あ〜なるほど、仕事が好きでちゃんと自分を持っている人じゃないと、太鳳さんとは合わない気がします。これからいい人と巡り合える気がします。今日はありがとうございました。
【林さんから〆のひと言】
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。近著に小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)など。最新刊はcakesの連載から大人論を抜粋してまとめた『大人の条件』(産業編集センター)。