【解説】ロレックス他、傑作ダイバーズウォッチ５選。プロが認めたその価値とは？

腕時計が懐中時計から進化したときに問題となったのが、腕に着けられることで激しい衝撃を受けるようになったこと。それまで文字どおり懐中に大切にしまわれていた時計が、身につけている間ずっと晒されるようになったわけですから。雨や埃も大きな問題でした。

その問題を克服したのがダイバーズウォッチ。深海という過酷な環境にも耐えうる性能を持ち、腕時計の完成形といえるでしょう。さらに、その機能に裏付けられたデザインは、水辺のみならず街使いにも馴染むため、ダイバーズにはファンが多いのです。そんなダイバーズの中から名作を厳選してご紹介します。

「フィフティ ファゾムス」は1953年に誕生した世界初のモダンダイバーズ。「フィフティ ファゾムス」とは50ファゾムス＝約91mの水深に耐えることから付けられた名前で、それは当時の時計の防水性能の世界記録でした。また、潜水開始時間などを簡単にマークでき、しかし不用意に動かないようにした、ロック機構付きの回転ベゼルが考案され装備されたのも「フィフティ ファゾムス」が最初。そしてその高性能と高機能ゆえ、フランス海軍にも採用されました。

潜水用の呼吸装置＝アクアラングの発明者でもある海洋学者のジャック＝イヴ・クストーも映画『沈黙の世界』で使用するなど、「フィフティ ファゾムス」の名はダイバーズの歴史に深く刻まれています。

「ロレックス」は世界初の完全防水ケース「オイスターケース」を発明した、つまり腕時計の進化に大きく寄与した功労者。そしてその防水性能を進化させ、1953年に誕生したのが、世界初のダイバーズのひとつである「サブマリーナー」です。このモデルが世界一有名なダイバーズであることに異論はないでしょう。潜水開始時間などをマークできる逆回転防止ベゼルや、暗い深海でも時間の見やすい夜光の針やインデックスは、その後のダイバーズの基本となりました。

映画『007』シリーズの最初のボンドウォッチであり、その最初期のデザインをほぼそのままにつくられ続けているのも魅力。「サブマリーナー」は男の永遠の憧れ。男の腕時計の永世定番です。

「シーマスター」の誕生は1948年。イギリス軍が第二次世界大戦時に開発を依頼した高防水の軍用時計を、民生用に改良して「シーマスター」と名付けたのがその最初です。そして1957年、さらに防水性能を向上させたオメガ初のダイバーズ「シーマスター 300」が誕生。モデル名のとおりに300mの防水性能を備えた高性能ダイバーズでした。

この「シーマスター ダイバー 300M」は、1993年に生まれた、さらなる進化版。1995年からジェームズ・ボンドが長年愛用していることでも有名です。こちらはその誕生25周年となる2018年に発表されたモデルで、スイス連邦計量・認定局（METAS）の定めた8つの厳格な検査に合格し「マスター クロノメーター」と認定されています。

「メモボックス・ポラリス」は1968年に誕生した「ジャガー・ルクルト」初のダイバーズ。1956年に開発された「メモボックス」の革新的アラーム機構を備えていたことは、他のダイバーズにはない魅力であり特徴でした。そしてそのため「メモボックス・ポラリス」はデザインにも、独特の格好よさがあります。そのひとつが3つのリュウズ。時間合わせのほか、ダイヤル中央のアラーム設定用ディスク、ダイヤル外周のインナーベゼルをそれぞれ操作します。

これはそんな「メモボックス・ポラリス」の誕生50周年を記念し、オリジナルのデザインをほぼそのままに再現した2018年のモデル。世界中の時計ファンが待ち望んでいた、歴史的名作の復刻モデルです。

イタリア・フィレンツェの時計店であった「パネライ」が時計づくりを始めたのは1930年代の中頃のこと。イタリア海軍から特殊潜水部隊用の軍用時計の開発を依頼されたのがきっかけです。つまりパネライは、およそ考えられるなかでも最も過酷な環境である深海での戦闘のために開発された、きわめて特別なダイバーズウォッチでした。

戦後も長らく軍用モデルのみで、東西冷戦の終結した1990年代にようやく民生用がつくられたのも、その特別さの表れのひとつでしょう。そして「サブマーシブル」はそんな特別なダイバーズに逆回転防止ベゼルを装備するなどで、より性能と機能を進化させたもの。特別なパネライのなかでもさらに特別な、ダイバーズの名作なのです。

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