2025.07.02
【Q3】SPFってなんですか? オヤジに日焼け止めの選び方を教えてください
照りつける太陽の下、紫外線対策もそこそこに日焼けを謳歌してきたオヤジ世代。最近気になっているその頬のシミは、そんな長年のツケかもしれませんよ。そこで、日焼けとシミに関する疑問を掲げ、ウォブクリニック中目黒の髙瀬聡子先生を訪ねました。
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イラスト/STOMACHACHE. 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)
A.日焼け止めは塗り直しが大切。スティックやスプレーなど使いやすいタイプを選ぶべき

髙瀬聡子先生(以下先生) SPF(Sun Protection Factor)は肌に赤みや炎症を起こしシミに一番影響を及ぼす紫外線B波のUVBを、PA(Protection Grade of UVA)は肌の弾力を失わせてシワやたるみを引き起こす紫外線A波のUVAを防ぐ指標です。
例えば通常10分で肌に赤みが出てしまう人の場合、SPF15の日焼け止めを塗ると、その炎症が起きる時間を15倍の150分まで遅らせることができます。とはいえ、日焼け止めはパックのように厚く肌にのせるのではなく伸ばしながら塗るはずで“1cm四方に2mg”は難しいと思いますので、時間はあくまでも目安です。
UVAは波長が長いぶん、肌の深くまで届きやすく、シワやたるみを引き起こす原因になります。すぐに赤みになるUVBと違って、ジワジワと影響が出てきて、気づいたらシワが増えていることもあるんですよ。
── 日常の街歩きとアウトドアでのレジャーで、日焼け止めをSPF値で使い分けたほうがいいですか?
先生 SPFの数値が高いほど白浮きしやすく、肌への負担も大きいので、日常生活ではできるだけ低刺激のものを選びたいところですが、日本のメーカーの日焼け止めはとても優秀で、最近はSPF50でも白浮きせず塗り心地もいいものが多い。おそらく日本の日焼け止めは世界で一番優秀だと思います。
── 日本のものが世界一なら使わないと損ですね。日焼け止めの成分表示にある「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」の違いはなんですか?
先生 「紫外線散乱剤」は肌の上に乗せて、紫外線を物理的に反射、散乱させて肌を守る、いわゆる「ノンケミカル処方」。肌には優しいのですが、やや白浮きしやすい傾向にあります。
一方「紫外線吸収剤」は紫外線を一旦吸収して化学変化を起こし、熱などのエネルギーに変えます。透明な成分が多いので、白浮きしにくいのですが、散乱剤に比べると少し肌に負担があります。
稀にアレルギー症状が出る方もいるので、肌トラブルに見舞われたら、ノンケミカル処方を選ぶといいですね。日焼け止めもどんどん進化していて、ノンケミカル処方でも白浮きしにくく、伸びがいいものも増えていますよ。
先生 日光浴には、体内でビタミンDがつくられてカルシウムが吸収しやすくなったり、メラトニンが分泌されて夜よく眠れるなどメリットも多くありますが、現代の日本皮膚科学会の見解ではメリット1割、デメリット9割と言われています。
どんなに完璧な日焼け対策の装備をしても、紫外線を100%ブロックすることは不可能なので、あえて日光浴をする必要はありません。
今懸念されているのは、シミよりも皮膚ガンです。近年の気候変動で地球全体はもちろん、日本でも確実に紫外線量が増えているので、皮膚ガンのリスクは高まっています。皮膚ガンは骨や脳に転移しやすく、気づくと全身に広がっていることも。10年後くらいには、皮膚ガンがガンの死亡率の3位に入るのではという試算も出ています。やっぱり紫外線対策は必須ですね。

● 髙瀬聡子(たかせ・あきこ)
1995年東京慈恵会医科大学を卒業。同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、2007年美容皮膚科クリニック「ウォブクリニック中目黒」を開院し、総院長を務める。日本美容皮膚科学会会員、日本皮膚科学会正会員。著書に「いちばんわかるスキンケアの教科書」(講談社)、「ゆる美容事典」(講談社)、「気になるパーツのスキンケア2週間速効メソッド」(宝島社)、近著に「お肌は最強の『バリア』です!美容皮膚科医が伝える、<病気>と<老化>を防ぐ肌を育てる方法」(晶文社)。

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