2024.09.26
【モテるヒゲ】オヤジになるほど「ヒゲ」は武器になる!
ヒゲのお洒落はいわば大人の男の特権。そんなヒゲの醍醐味を味わい尽くしてないとすれば、もったいない話かも。そこでヒゲのスペシャリストたちとトーク。ヒゲスタイルのメリットについて語っていただきました。
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写真/トヨダリョウ 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)
ヒゲは一番安価なモテツール♡
そこで、ヒゲスタイルの正解を教えていただいた前回に続き、ヒゲデザインに特化したバーニーズ バーバーショップの皆さんとヒゲ談義。ヒゲスタイルのメリット満載なので、読めばきっとヒゲ愛が高まるはず。
丸山尊人さん(以下、丸山) 実は横浜は西洋理容発祥の地なんです。1870年、居留地148番地(現在の中華街の一角)に小倉虎吉が開業したのが日本で最初の理髪店。だから、横浜の山下町にあるバーニーズ ニューヨークでバーバーを始めるにあたって、ここからまた新しいストーリーが始まるという思いと、先人への敬意を込めて148とつけました。
── なるほど、深いですね。LEONとして気になるのが「ヒゲはモテる?」なんですが、皆さんいかがですか?
関 邦彦さん(以下、関) 若い頃は「ヒゲ、カッコいいよね」と言われるのと「おじさんっぽい」と言われるのが半々で、意見が割れていましたね。でも、年齢を重ねてきちんとヒゲを整えるようになって、特にスーツを着ているとヒゲを褒められることが増えました。
丸山 そうなんですよ。僕も「一見怖そうだけど、全然違うんですね」とよく言われます。ギャップをもたせるなら、ヒゲは一番手っ取り早いアイテムかもしれません。ちなみに、口ヒゲの両端がクルッと跳ねた、この「カイゼル」は珍しがられて、よく女性から「触っていいですか?」と言われるのが、ちょっとうれしいんですよね(笑)。
丸山 もう「どうぞどうぞ」って(笑)。顔の半分を覆うような「フルビアード」も会話のきっかけになるし、ヒゲはコミュニケーションツールですね。
関 一番安価なモテツールだと思います。
ラーメンにヒゲが入っちゃうのは、口角を薄くトリミングすればOK
丸山 一時期、みんなで「カイゼル」にしていた時は、スタイリング剤をつけていないと口角のヒゲが下がってきちゃって。ラーメンを食べようとすると、ヒゲが入っちゃうんです。
お客さんからも、食べ物がつくんじゃないかという相談は多いのですが、口角のあたりを薄くトリミングすると解消するので大丈夫です。「フルビアード」は、知らないうちにゴミや虫が紛れ込んじゃっているなんてこともありますが(笑)。
── えっ、では花粉症の人はその時期は剃ったほうがよさそうですね。
長山昌靖さん(以下、長山) 濃くて長い方は、そう言いますよね。でも、僕も花粉症なんですけれど、口ヒゲにヒゲ用のワックスをつけると、花粉がヒゲで留まるみたいで鼻から吸い込まずに済んで楽だなと感じたりもします。
他人からは正面より横や斜めから見られるので、横顔のヒゲデザインは大事
丸山 接客業や堅い職業の方は、なかなか伸ばせませんよね。ただ、そういった人でもヒゲを楽しめる世の中に変えていきたいというのが、我々の思いであり使命なんです。これまでは明確にされていなかったスタイルの定義からトリミングのやり方まで、長年研究をしてテクニックを磨き、独自のスタイルを作り上げてきました。
── 前回のヒゲスタイルの正解は、口ヒゲと錨(いかり)型に整えたあごヒゲが繋がった、皆さんの「アンカー」ですよね。その理由を教えてください。
丸山 やっぱり日本人に一番「アンカー」が似合うんですよ。眉毛、口ヒゲ、あごヒゲと黒いラインが3つできると、顔が分割されてバランスよく見えるし、初めてヒゲを伸ばす方でも挑戦しやすい基本のスタイルなんです。
関 お客さんのオーダーもほとんどが「アンカー」です。
丸山 言葉で伝えるよりも、自分たちがモデルになったほうがイメージが伝わりやすいので、僕らもこのスタイルにすることが多いですね。正面だけでなく、横顔も実際に見ていただくとよくわかるので。
関 自分の顔ってほぼ正面しか見ませんが、他人からはむしろ横や斜めから見られることのほうが多いので、横顔は大事なんです。
ヒゲのトリミングをしただけで「整形した?」と言われたことも
── 骨格までヒゲで補整できるなんて驚きです!
長山 20年ぶりに会った友人に「整形した?」って言われるくらい、顔の印象が違うみたいなんです。トリミング効果はかなりあると思います。
丸山 そうです! 電気シェーバーだけで剃ると、ヘアスタイルでいう丸坊主なんですよね。それはそれで楽しめばいいんですけれど、輪郭をシュッと見せるためにグラデーションをつけたりといったボリューム調整できるのが、トリミングの醍醐味。トリミングのテクニックを使うと、顔立ちがぐっと変わりますよ。
── モテるのに清潔感はマストだと思いますが、清潔感を出すコツはありますか?
丸山 伸ばしっぱなしのヒゲはワイルドに見えるけれど、どうしても不潔に見えるんですよね。カッコいいヒゲはトリミングあってこそ。ヒゲが生えている部分と生えていない部分をはっきり分けて、メリハリをつけるのが清潔感を引き出す秘訣です。
関 初めて担当するお客さんには、誰の目線を意識したいかをうかがいます。同性から見てカッコいいヒゲと女性にウケるヒゲはやっぱり違うので、女性からの好感度を狙いたい方には、清潔感を重視して「アンカー」の薄めバージョンにしたり、あごヒゲを小さくトリミングしたり。個性をアピールしたい方やちょっとワイルドに見せたい方には、ボリュームのあるヒゲをオススメしています。
男性ホルモンの影響で、20代後半や30代前半にヒゲが濃くなることも
丸山 よく20代のお客さんから「どうすればヒゲが濃くなりますか?」と質問されるのですが、「まだ可能性はあります。年齢を重ねてください」とお伝えしています。20代後半や30代前半になると、男性ホルモンの影響で体毛と一緒にヒゲも濃くなりやすいんですよ。
長山 僕も20代の頃と比べてヒゲが太くなってきたので、より濃く見えるようになりましたね。年齢とともにできるスタイルが増えてきたので、今後も濃くなってくれれば、囲みスタイルにも挑戦してみたいんですが、僕の場合はちょっと難しいかな。
薄いヒゲを濃く見せるテクニックもあって。同じ人のヒゲでも1〜2年かけてゆっくりと伸びる毛と2日で2〜3mm伸びる成長の早い毛があるので、剃らずに短めにカットし続けて、ゆっくり伸びる毛と長さが揃うのを待つんです。
── 期間はどのくらいですか?
丸山 個人差はありますが、年単位になることもありますね。あとは、産毛を利用する方法も。産毛が生えていると影っぽく見えるので、ヒゲに見せたくない部分はきれいに剃って、ヒゲに見せたい部分は産毛を残すとか。長山のヒゲは、そのやり方だし。
部分的にヒゲが足りない時は、ウォータープルーフのアイブロウペンシルで描いちゃうこともありますよ。ご希望があれば、描き方をお教えしています。
── いろいろな方法があるんですね。髪の毛を全剃りすると、濃くなるとか直毛がクセ毛に変わると言う人もいますが、ヒゲも頻繁に剃ると濃くなるんですか?
坊主にするのはほとんどが中高生の時ですよね。ちょうどそのタイミングが、大人の毛に生え変わる時期なんです。だから坊主頭から伸ばし始めると、突然髪質が変わったように感じるんじゃないかな。
長山 せっかくあるなら「フルビアード」をオススメしますね。剃る部分も少なくて済むので、お手入れも楽です。
髪の毛が寂しくなっても、ヒゲがあると視線が誘導されるので気にならない
丸山 ジェントルマンと聞くとスーツにヒゲをイメージするように、やっぱりヒゲがあると断然スーツがダンディに見えます。かと言って、カジュアルが似合わないってこともないですね。
関 Tシャツにデニムの何気ない格好も、ヒゲがあるだけでぐっと雰囲気が出ますよ。シンプルな服装のほうが、ヒゲが引き立つと思います。
長山 トラッドなスタイルにも合うので、カジュアル全般オススメです。
── ヒゲはシェーディングになるから小顔効果もありますよね?
丸山 若い時には大人っぽく見せられて、大人になるとシワやほうれい線も隠せます。髪の毛が寂しくなってきても、ヒゲがあると視線が誘導されるので、気にならないんですよ。
── (LEONを見せながら)海外スナップに登場するオヤジさんはヒゲスタイルが多いんですが、日本人とはヒゲのタイプが違いますよね?
そういった理由もあって、日本人の毛質には「アンカー」がちょうどいい。それと骨格の違いもあって、彫りが深いと無精ヒゲでもカッコよく見えるってことはありますね。
ヒゲは自分で手入れできる。一度来店して形が決まれば、通う必要なし
丸山 ヒゲの濃さにもよりますが、髪型と違ってヒゲはある程度自分で手入れができるので、一度来店していただいて形が決まってしまえば、頻繁に通う必要はないんです。自宅でのケア方法も、きちんとお教えしますし。
関 僕らとしてはお客さんには独り立ちしていただきたいんですよ。最初の形作りは並走するので、ゆくゆくはご自分でできるようになってくださいねって言う……。
── とっても良心的ですね。では、セルフケアのコツを教えてください。
関 ヒゲデザインのキープに余分なヒゲや産毛を剃るのはマストですが、週に1回、週末など時間がある時にはウェットシェービングを取り入れてほしいです。
── 今、脱毛ブームと言われていますが、ヒゲ脱毛をどう思いますか?
関 実は僕は自分の店で、ヒゲの光脱毛をやっています。トリミングでヒゲの形を作ってから、いらない部分を脱毛するお客さんは結構いらっしゃいます。
丸山 僕もいいと思います。正直言うと、最初はちょっと否定もしていたんです。でも、関と話していて、これも時代の流れなんだなと。脱毛も否定せず、いいものは取り入れていきたいので、もっとヒゲ脱毛について勉強しようと思っています。
── 耳毛や鼻毛の脱毛も増えているみたいです。
丸山 プロとして知らないのは損ですよね。僕もヒゲは生やしていますけれど、体毛は全部剃っていますからね。
関 脱毛がブームだからといって誰もが飛びつく必要はないので、後悔をしないようによく考えてほしいですけれど。
── 最後に、ヒゲスタイルで憧れの人はいますか?
丸山 僕が14歳でヒゲを伸ばし始めたきっかけは忌野清志郎さんですが、本格的にヒゲのトリミングを研究しようと思ったのは、高橋幸宏さんのヒゲに憧れたからなんです。幸宏さんの「アンカー」は、本当に知的でお洒落で、清潔感があってカッコいい。永遠の憧れです。
丸山 あ、ショーン・コネリー出ちゃったね、長山。さあ、どうする?
丸山 カッコいいもんね。『用心棒』の時の無精ヒゲとか、侍って感じで本当にいい!
長山 歳をとったら、夏目漱石みたいな口ヒゲだけのスタイルにもチャレンジしてみたい。スーツにカンカン帽をかぶって、ステッキを持った、大きなヒゲのおじいちゃんになりたいですね。
丸山 いいね。歳をとればとるほど、ヒゲは武器になるからね。
■ BARNEYS BARBER’S SHOP by KAMISORI CLUB 148
ヘアカット&シャンプー&ヒゲデザイン&シェービング(初回カウンセリング付き)1万1800〜1万3300円(80〜100分)、ヒゲデザインシェービング初回(カウンセリング・眉サービス付き)6000〜8000円(30〜45分)など
TEL/045-681-8890(要予約)
住所/神奈川県横浜市中区山下町36-1 バーニーズ ニューヨーク横浜店4F
営業時間/14:00〜19:00
休/月・火曜 ※臨時休業あり
HP/https://www.kamisoriclub.co.jp/pages/barber-shop-info
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