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2021.10.23

極上のおいしさを実現! 5つ星ホテルのバーがモクテルにこだわる理由とは?

いまやバーにおけるひとつの選択肢として市民権を得た感のあるモクテル(ノンアルコールカクテル)。東京のホテルバーを代表する一軒、「ザ・ペニンシュラ東京」の「Peterバー」でも20種類のモクテルセレクション「ザ・ゼロプルーフ」を提供して話題です。

CREDIT :

文/小野アムスデン道子 写真/トヨダリョウ

▲ 2007年の ザ・ペニンシュラ東京のオープン時よりPeterバーでカクテルを創ってきた鎌田真理さん。
以前ならノンアルコールカクテルをバーでオーダーするのにはちょっとした気恥ずかしさが伴ったかもしれません。でもコロナ禍でお酒が提供できない期間が長かった影響もあって、ノンアルコールドリンク市場はむしろ急拡大。5つ星ラグジュアリーな「ザ・ペニンシュラ東京」24階にある「Peterバー」でも新たなノンアルコールドリンクのセレクション「ザ・ゼロプルーフ」をメニューにラインナップするなど、力を入れています。その味わいの秘密とモクテルに込めた思いを開発者の鎌田真理さんに伺いました。

繊細にして複雑な味わいの約20種類のノンアルコールカクテル

「ザ・ペニンシュラ東京」は、2021年2月にも米国の権威ある雑誌『フォーブス・トラベルガイド2021』で、ホテル部門において6年連続の5つ星評価を獲得しているラグジュアリーなホテル。その24階には、日比谷公園や皇居外苑を見晴らす素晴らしい眺めが自慢のステーキ&グリル「Peter」とスタイリッシュな「Peterバー」があります。
▲ 「ザ・ペニンシュラ東京」24階の「Peterバー」。
鎌田真理さんは「ザ・ペニンシュラ東京」のオープン時から「Peterバー」のシニアバーテンダーとして活躍し、現在は料飲部ビバレッジマネージャーとして全体を統括しています。今回の「ザ・ゼロプルーフ」(ゼロプルーフはノンアルコールと同義)は、その鎌田さんが率いるチームが作り上げた繊細にして複雑な味わいの約20種類のモクテルなのです。まずは、一杯いただいてみましょう。
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ノンアルコールでも飲んだ後に余韻や、複雑さを感じさせる味わいが

── 代表的な“ゼロプルーフ”の「エピス ルージュ」と「ベビー東京ジョー」をいただきたいと思いますが、この2つはどんなモクテルですか?


鎌田真理さん(以下、鎌田) まず、「エピス ルージュ」は、2017年に私が国内初のモクテルコンペティションで優勝した時の作品です。審査員に加えて一般のお客様の審査もあったので、お子様が好む親しみやすい乳酸飲料に大人の味である苦味や酸味を加えているのが特徴です。

── 甘みもあって飲み口はよいのに、いろんな複雑な味が広がって、ものすごく余韻を感じます。この苦味や酸味はどうやって出しているのですか?
▲ どちらもモクテルです。左「エピス ルージュ」、右「ベビー東京ジョー」。
鎌田 酸味は赤ワインの原料になる葡萄品種からできた葡萄ジュース、苦味はトニックウォーター。そして乳酸飲料にカルダモン、ピンクペッパー、コリアンダーシードなどをインフューズ(漬け込み)して、複雑な味わいを出しているんです。酸味のあるものはこの漬け込みで味の抽出がしやすいのです。

もうひとつの「ベビー東京ジョー」は「Peterバー」のシグネチャーカクテルである「東京ジョー」が元。こちらは、日比谷交差点も登場する1949年のハンフリー・ボガード主演の映画『東京ジョー』に由来して、ボンベイサフィア、梅酒にハンフリー・ボガードが好んだドランブイ、それにクランベリージュースとレモンジュースで作られたカクテルです。それをゼロプルーフで作ってみました。
── 特徴的なグラスもオリジナルと同じですね。ひと口含んだ後に何かが残る感じは、アルコールを飲んだ後の酔いにも似た感じすらします。

鎌田 ゼロプルーフにするのに、ノンアルコールの梅酒をベースにしていますが、ジンもノンアルコールを使うだけでは面白くない。カルダモンをすりこぎで潰して、ジュース類をくぐらせるというやり方で、どこか引っかかるような余韻として残るフレッシュな苦味を出しています。
▲ すりこぎで出したスパイスの香りや味をジュース類にくぐらせる。
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アルコールを飲めないけどバーを心から愛するバーテンダーの思い入れ

── ソムリエと唎酒師の資格もお持ちの鎌田さんですが、アルコールを飲めないとお聞きして驚きました。だからこそゼロプルーフへの想いも強かったのかもしれませんね。

鎌田 バー業界で、実はお酒をそれほど飲めないというバーテンダーは多いんですよ。飲み込まずに口に含んで味を感じるのですが、飲めないからこそ味や余韻は敏感に感じるんです。「Peterバー」をオープンした時は、まだモクテルという言葉も普及してなかったのですが、海外のバーでもモクテルを飲み歩いて研究し、いろいろとモクテルを提供してきました。お酒が飲めない人でもバーの雰囲気を楽しんでもらいたいという気持ちはとても強かったんです。

そこで、コロナでお酒が提供できないなか、カクテルを真似るのではなく、独自のノンアルコールドリンクを作りたいという気持ちを込めて作ったのが「ザ・ゼロプルーフ」で、12種のオリジナル・ゼロプルーフセレクションを出しています。さらに、香りや味わいはそのままに、馴染みのある8種のクラシックカクテルもゼロプルーフコレクションに加えました。
▲ ザ・ゼロプルーフの「ネグローニ」。美しい赤、口に含んだ時の余韻はモクテルとは思えない。
── 確かにクラシックカクテルのゼロプルーフは、オリジナルの味に馴染みがあるだけにチャレンジだと思いますが、一つ味わってみたいです。

鎌田 では、カクテル「ネグローニ」のゼロプルーフをどうぞ。オリジナルはドライジン、ベルモット、カンパリで、ベルモットはワインにハーブを漬け込んだもの。カンパリも苦味、甘味、スパイシーなハーブを使ったリキュールです。ゼロプルーフでは、ノンアルコールジン、ノンアルコール赤ワインのメルロー、ビターシロップを混ぜたものにゲンチアナを加えています。

── きれいな赤ですね。苦味と甘みのバランスとハーブの香りに、オリジナルのネグロー二を飲んだ気分になります。
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バーの楽しみ方が広がるゼロプルーフ。フードも一緒に昼から楽しんで

── ゼロ・プルーフは、アルコールが入ってないので、昼間からでもバーで楽しめますね。

鎌田 はい。アルコールが飲めない人だけではなく、仕事中だからアルコールはダメとか昼間の明るいうちからはちょっと……というかたでも、ゼロ・プルーフならバーで楽しむことができます。

そして「Peterバー」では、ステーキ&グリル「Peter」のフードも味わえます。ブリオッシュバンズに和牛の首元の肉を使ったジューシーなパテ、黒ビールを練り込んだチーズ 、オニオン、マッシュルームを挟んだ「Peter和牛バーガー」は、しっかりと食べたい方におすすめです。
▲ 和牛の味をしっかり楽しめる「Peter和牛バーガー」など充実のフードが楽しめる。
── これだけ食べ物が充実しているとバーの使い方の用途も広がりますね。他におすすめはありますか?

鎌田 はい。ゼロプルーフを楽しみながら、手が止まらないおつまみとして好評なのが、枡に入ってたっぷり出てくる「Peterスタイルフライドポテト」です。スパイシーなケイジャンが効いて、柔らかで奥深いゼロプルーフの「エピス ルージュ」とは相性ぴったりです。バーは、いろんな時間帯で楽しみ方もいろいろ。ぜひ多くの方にグラスを片手にした時間を楽しんでいただきたいです。
▲ 「Peterスタイルフライドポテト」は「エピス ルージュ」と相性ぴったり。

●鎌田真理(かまた・まり)

ザ・ペニンシュラ東京 料飲部ビバレッジマネジャー。都内のホテルラウンジ、バーで約10年間バーテンダーとして経験を積んだ後、2007年の ザ・ペニンシュラ東京のオープン時よりPeter バーにてシニアバーテンダーとして勤務。これまで国内外の様々なカクテルコンペティションにて受賞。2009年ディアジオ社主催ワールドクラスカクテルコンペティション日本大会優勝、日本代表としてロンドンで開催された世界大会に出場。サービスシアターチャレンジにて1位、総合2位となる。2017年6月より館内すべての直営レストランと宴会のドリンクを統括するビバレッジマネージャーに就任。ソムリエ・唎酒師の資格保有。

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