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2021.08.15

本気デートの決定版。「帝国ホテル 東京」料理長による、1日1組のためのプライベートダイニングとは?

2019年、38歳の若さで「帝国ホテル 東京」の料理長になった杉本 雄シェフが1日1組のゲストのためだけに催す超スペシャルなプライベートダイニング。体験した女性ライター曰く「こんなシチュエーションでプロポーズされたら、とりあえず『はい』って言っちゃいます!」。

CREDIT :

文・写真/長谷川あや 写真協力/帝国ホテル 東京

▲若き帝国ホテル 東京料理長、杉本雄さん。ここ1年でかなりお痩せになられたので心配して聞いたところ、「出勤前に走っています!」とのこと。しゅっとしています(笑)。

この価格帯のものを提供していると思うと身が引き締まります

これぞ、超本命級というデート飯をご紹介いたしましょう。2019年4月、「帝国ホテル 東京」の料理長に、38歳(当時)の杉本 雄さんが就任し、大きな話題になったのを覚えていらっしゃいますか? LEONでも、就任当時、インタビューを行っています(こちら)。その杉本さんが、1日1組のためだけに、料理を作り、サーブしてくれる「ル サロン アンティミテ」(以下、「アンティミテ」)というプランがあるというじゃないですか。これは一度は体験してご紹介せねばと、いそいそと出かけてみた次第です。
「帝国ホテル 東京」には8つの直営レストラン・バーラウンジがありますが、これほどの規模のホテルですと、料理長の仕事はホテル内のレストランを統括すること。フェアなどでもない限り、料理長が手がけた料理をいただくのは難しかったりするわけで。が、話題の若き東京料理長、杉本さんの料理はどこで食べられるのかという問い合わせも多く、この「アンティミテ」をスタートさせることになったのだそうです。
▲ 「帝国ホテル 東京」のメインダイニング「レ セゾン」の個室が会場です。
会場となるのはミシュラン一つ星を獲得し続けている、メインダイニング「レ セゾン」の個室。お値段は、2人で12万円(個室料・税込、サ別)也。飲み物代は別になります。

「この価格帯のものを提供していると思うと身が引き締まります」と杉本さん。その時々で、「これぞ!」と思う食材を厳選し、それらを使って、五感で楽しむことができる時間を演出したいと言います。

そんなとびきりスペシャルなコースは、杉本さん本人のご挨拶からスタートします。こういうシチュエーションに慣れていないとなんだかこそばゆい感じもしますが、この非日常感もまた良いんです!
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食材の調達から構成、演出、調理まで、すべてがオートクチュール

では、とある1日のコースの流れを、杉本さんの話を交えながらご紹介しましょう。あ、でも、杉本さん、「アンティミテ」においてはサプライズ感も大切にしているとのこと。完全なるオートクチュールのコースとはいえ、皆さんの楽しみを奪わないように気を付けつつ、話を進めていきましょう。
まず、最初に大事なことを。「アンティミテ」は、10日前までの予約が必要。体験してみて、その理由がよくわかりました。食材の調達から構成、演出、調理まで、すべてがオートクチュールですもんね……。完全におまかせという人もいれば、事細かにリクエストをする人など、ゲストの要望はそれぞれだとか。

「ヴィーガンのコースを作ってほしい、フランスで食べたあのひと皿が忘れられないといったご要望をいただいています。最近は、私が『ル・ムーリス』(パリの三つ星レストラン)でお出ししていた料理を食べたいというリクエストをいただきました。どんなお客様に召し上がっていただけるのだろうと考えながら、食材を仕入れ、料理を作るのはとても楽しいです」

そんな杉本さん自らの特別演出を楽しむためにも、予約の際にはスケジュールの確認が必要です。
▲ 私が選んだのはオレンジ色のマット。
さてさて、個室に入ると、テーブルの上には、端正な色のレザーマットとカトラリーケースが置かれていました。これは、「アンティミテ」のゲストのためだけに作られた特注品。パレット型のマットは、杉本さん自らがデッサンを描き、イタリアの家具メーカーに、リサイクルレザーで作ってもらっているそうで、茶、オレンジ、朱色、グレーの中から好きな色を選ぶことができます。

エンタテインメントの世界でいうと、作・演出・出演すべてを手がける野田秀樹さんのような感じ(ちょっと違うか)でしょうか? 食事のあと、次の予約を入れて帰るゲストも少なくないそうです。

メニューが入った封筒は、蝋で封がしてありました。行ったことないし、行く予定もありませんが、「晩餐会」という言葉が脳裏に浮かびます
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ボリュームや味付けまでゲストファーストの特別な晩餐

夢見心地でぼんやりしているうちに、アミューズがやってきました。鍋から恭しく登場した料理は真っ黒! 青のりとキャビアを混ぜ込んで揚げたニョッキの上に、きらきらとキャビアがブラックダイヤモンドのように輝いています。キャビアをほんのり温めることで磯の香りが際立たせているとのこと。特別な一夜の幕開けです
▲ 前菜。取り分ける前の状態を見せながら料理を説明してくれます。
アミューズをサーブした後、杉本さんから、「コースの中で、ボリュームや味付けの濃い薄いなど、気になるところがあればおっしゃってください」とのひと言が。適量や味付けの好みは人それぞれ。あくまでもゲストファースト、この特別の晩餐を、心から楽しんでほしいという心遣いです。
▲ 「ガンベローニ  海老の瞬間ポワレ、オシェトラキャヴィアとわさび菜のグリーンエッセンスオイル」。シチリア産のガンベローニ(大きな赤海老)を、ゲストの目の前で溶岩石の上で焼きあげて仕上げます。
続いて登場したのは、シチリアから空輸した瞬間冷凍のガンベローニ(大きな海老)。仕上げは個室で。溶岩石の上で焼かれる、じゅわっとした音、香りを心ゆくまで体感したいと思わず目を閉じました。きっと私、恥ずかしいくらいの、恍惚の表情を浮かべていたんじゃないでしょうか。

赤いパウダーは、海老の頭や殻、尾などをじっくりローストして粉末状にしたもの。ガンベローニ全体を味わい尽くすことができます。このあたりでようやく気付きました。「アンティミテ」は、音や香りも含めた食体験、いわば、「食」の総合エンタテインメントなのだと!
▲ ワカメで巻いて塩釜焼きにしたフォワグラとアワビはほんわかと潮の香りが漂ってきます。
「2つのキモをお楽しみください」と提供されたのは、「鴨フォワ・グラ / 蝦夷鮑 海草を練り込んだ塩釜焼き
アスペルジュソバージュを添えて」。どちらも主役を演じるにふさわしい、フォワグラと鮑という高級食材のそろい踏み。しかも山のモノと海のモノで相性悪そうですが、喧嘩しないどころか、ともに頂点を目指そうとばかりにお互いを高めあっています。
▲ 「フランス産平目 骨付きロースト 亀の手とモリーユ茸のフリカッセと一緒に」。そもそも、フレンチで亀の手がお出ましになるとは!
魚料理は、「フランス産平目 骨付きロースト 亀の手とモリーユ茸のフリカッセと一緒に」。こちらも両手鍋を使い、私たちの目の前で仕上げ、杉本さん自らが取り分けてくれます。主役のヒラメはもちろんですが、モリーユ茸や、愛知県産の亀の手(ご存知ない方のために、解説しておくと、亀さんの手ではなく、フジツボの仲間。エビやカニと同じく甲殻類です。お酒のツマミにもおすすめですよ)というバイプレーヤーも存在感たっぷり。そもそも、フレンチで亀の手がお出ましになるとは!
調味料にも圧倒されました。この日は、グリーンリーフ、赤ワイン、根菜、ケッパー、柑橘、いちご、アサツキと7種類から成るブレンド塩が用意されたのですが、これ、すべてホテル内でロスとなってしまう食材を用い、サステナブルの観点から作られたもの。紅茶に添えるレモンの皮や飲み頃を過ぎてしまった赤ワイン、じゃがいもの皮やいちごのヘタなどを使い、パウダーを作っているそうです。これを、杉本さんが目の前で調合してくれます。自分で調合するという選択肢もあるのですが、いやいや、ここは料理長にお任せしますって!
▲ 「仔鳩 黒トリュフを鋳込んだ淡路島フルーツ玉ねぎのコンフィと姫竹のグリルをあしらって」。
メインは仔鳩。絶妙に火入れされ、艶やかな色合いに輝く胸肉を、仔鳩のジュと赤ワインを合わせたソースでいただきます。そして、メインを食べ終わるか否かのタイミングで、仔鳩の他の部位を使って作った大麦のリゾットが登場するサプライズが! 高級食材総出演のコースでありながら、随所に「食材を無駄にしない」というサステナブル精神を感じます。
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このシチュエーションでプロポーズされたら、どんな女性も「はい」って言うレベル!?

デザートの「沖縄県産パッションフルーツ」は、その後、何日か夢に出てくるレベルの印象深さ(笑)。こちらも杉本さんが目の前のワゴンでソースを作り、サーブしてくれます。今回の食事のなかでも、かなりの盛り上がりを見せたのですが、ここはあまり語らないほうがいいかもしれませんね……。
パッションフルーツはもちろん、ローズマリーとオレンジ、ライムの皮、日向夏、さらに八丈島のフルーツレモンを使用した、彦摩呂さんだったら、きっと「柑橘の宝石箱や~」と言うような(知らんけど)、デザートです。そもそも杉本さんはフランス時代、ペストリー部門での経験もあるそうで、「デザートにもこだわりたいと思っています」とさわやかに笑います。そういえば、別の日に訪れた知人は、黒トリュフを模したチョコレートのデザートが出たって言っていましたっけ。

この日、もしかしたら、私は日本でいちばん幸せな人だったかもしれない。そんな自分勝手な感傷に浸りながら帰路につきました。食事のあと、杉本さんに感想を聞かれ、ため息まじりに「おいしかったです」としか言えなかったのは心残りですが……。それと、お酒。取材時は緊急事態宣言中でした。アルコールをサーブできるタイミングなら、ワインのペアリングもお願いできます。きっとまた、別の時空に飛び立てることでしょう。
満たされたお腹と心を抱えながらの、帰路、杉本さんの言葉がよみがえってきました。

「これだけの代金を頂戴し、最高級の食材を惜しみなく使うのですから美味しいのは当たり前。お客様の期待を超える演出をしたいですし、何が出てくるかわからないけれど、美味しくて非日常をご体感いただける、そんなコースをお届けします」

誰にも聞かれていませんが、私、このシチュエーションでプロポーズされたら、とりあえず、「はい」って言いますね。まあそんな予定もないので、季節ごとに、この美味しくて、楽しくて、驚きでいっぱいの、スペシャルな時空間に身を委ねることができる甲斐性を身に付けたいと思っております。

「ル サロン アンティミテ」

住所/東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル 東京 本館中2階 メインダイニング「レ セゾン」
営業時間/入店時間17:30〜20:00
定休日/ホテルに準ずる
HP/https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/les_saisons/plan/_le_salon_intimite.html
TEL/03-3539-8087
コース価格/1組2名12万円(個室料・税込、サ別、飲み物別)。予約は2名から受付、10日前までに電話で予約を
注意事項/子供は10歳より。男性はジャケット着用

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