2018.03.26
ここまで進化した! オトコも惚れるモダン和菓子店3選
目にも舌にも新鮮な創作系和菓子をご紹介。春の手土産にすればオトコの株があがること請けあいです!
- CREDIT :
写真/野頭 尚子 文/中島 由貴

で、平成も末の今。ミーハーさが身上ゆえ、SNSの普及を追い風にきっと面白いものがあるだろうと「こんなのはじめて〜♡」な逸品をリサーチ。ですが調査を進めるうちに、職人がそれぞれの考えに純粋無垢に従い、「美」と「味」を深化させた結果、現代的に進化したという、決して奇を衒うことなくむしろ原点回帰しているという、意外にも純度の高い作品ばかりでした。さてさて。
◆ wagashi asbobi
「ハーブらくがんとドライフルーツ羊羹」

「ただいま」と口走りそうになる優しい雰囲気の扉を開けると、すぐ目の前に商品が並んでいます。どれにしようかな…、と迷う必要はありません。実はこちらには、「ハーブのらくがん」と「ドライフルーツの羊羹」のふたつしかないんです。

らくがんといえば、米の粉などをつなぎにして型押しされた干菓子のひとつで、色形は違えど、どれも砂糖の味。ですが、稲葉さんは色素や合成香料は一切使用せずに、ハーブや果物といった自然素材の特徴を最大限に引き出すことで、「らくがん」に新しい個性を与えました。なので、そのどれも、色、味、香りがバラバラ。共通するのは、素材をそのまま口に入れたような、香りも味もフレッシュで美味しいという点です。

「パンなら、餡が合う。餡には、体にやさしい黒糖を使いたい。ならば、同じさとうきびから作られるラム酒も合うかも」という具合に、相性の良い食材を数珠つなぎの要領で今までにない羊羹が完成したんだそう。
さて、美味への誘いは封を切るところから始まります。すぐにほんのりとお酒のいい香りが鼻を刺激し、口に入れると、なめらかな餡と黒糖のほろ苦甘さにラム酒が効いて、なんともオトナな味。ラム酒漬けのドライフルーツはしっとりと、苺と無花果の種のプチプチ感がいいアクセントになっています。
稲葉基大さん。退職を考えていた時に通っていたカフェが空き家になることを知り、「会社やめてくるから」とそのままこの店でスタートしました。
浅野理生さん。それぞれ名刺の代わりに作っていたお菓子が、「どこで買えるんですか?」「価格はいくらでもいいから買いたい」の声に応えて商品に。2011年に、和菓子職人によるアトリエ兼ショップとして「wagashi asobi」として独立。
店内にはらくがん用の木型がおもちゃのように置かれています。店名兼チーム名の由来は、「和菓子で遊んでいる稲葉です」の自己紹介が「“和菓子遊び”の稲葉さんですね」と聞き間違われたことからだそう。
足踏みミシンを2台くっつけて陳列棚にしたという店頭。羊羹のおしゃれな包装は、合羽橋のパッケージ屋さんで見つけたパウンドケーキ型と魚屋さんの値札の手板を使った低コスト&高アイデアの賜物。
ニューヨークやパリで展覧会や茶会を開催するなど、「和」を広めるために海外へ行くこともあるそう。
稲葉基大さん。退職を考えていた時に通っていたカフェが空き家になることを知り、「会社やめてくるから」とそのままこの店でスタートしました。
浅野理生さん。それぞれ名刺の代わりに作っていたお菓子が、「どこで買えるんですか?」「価格はいくらでもいいから買いたい」の声に応えて商品に。2011年に、和菓子職人によるアトリエ兼ショップとして「wagashi asobi」として独立。
店内にはらくがん用の木型がおもちゃのように置かれています。店名兼チーム名の由来は、「和菓子で遊んでいる稲葉です」の自己紹介が「“和菓子遊び”の稲葉さんですね」と聞き間違われたことからだそう。
足踏みミシンを2台くっつけて陳列棚にしたという店頭。羊羹のおしゃれな包装は、合羽橋のパッケージ屋さんで見つけたパウンドケーキ型と魚屋さんの値札の手板を使った低コスト&高アイデアの賜物。
ニューヨークやパリで展覧会や茶会を開催するなど、「和」を広めるために海外へ行くこともあるそう。
「持っていった先で同じものが買えるのって、ちょっと気まずいですよね。ウチの和菓子は基本ここでしか手に入りません。だから、渡された人は“わざわざ私のために持ってきてくれた”と気づいてくれるはず。それが“こんなに美味しい! ”と喜んでいただけたら、それは手渡した人にとっても本当に嬉しいことですよね。和菓子ひとつがもつエネルギーを最大にするのが私たちの役目です」と稲葉さん。
こんなにも頼もしい手土産なら、こちら目当てにわざわざくる価値はありますね。

◆ wagashi asobi(ワガシ アソビ)
住所/東京都大田区上池台1-31-1-101
お問い合わせ/☎︎03-3748-3539
営業時間/10:00~17:00
定休日/不定休(イベント等で不在の場合あり)
◆ タケノとおはぎ
「おばあちゃんの味とフォトジェニックな新味」

この大人気店に並ぶのはおはぎのみ。つぶあんとこしあんに加えて、おはぎのイメージをはるかに超えたピンクやイエローの変わり種を日替わりで5種、の計7種類がラインナップします。おはぎ専門店を始めたきっかけは、意外にも家庭の味を守るためだったのだそう。
おばあちゃん直伝のレシピは、圧倒的に砂糖が少ないのだとか。また味を落ち着かせるために、一晩寝かせた餡を使うのもおばあちゃんのユニークなこだわりです。食べてみると、塩がほんのり効いたとても繊細な味で、ぱくぱくと何個でもいけそうな美味しさ。その絶品おはぎをたくさんの人に食べてもらいたいと思いついたのが、 “今”をうまく取り入れた“おはぎ映え”のアプローチでした。

どれも白餡と雑穀の餅米がベース。といえども、有機アーモンド、有機ウォールナッツ、有機カシューナッツ、有機ピスタチオをたっぷりまぶした「ナッツ」はチョコの“ロシェ”を食べているような気分だし、この時期にぴったりな「ミモザ」や「藻塩と八重桜」は老舗店顔負けのクオリリティで、全種類食べ比べしても決して飽きない個性豊かなバリエーション。早くも学芸大学に2店舗目をオープンさせたとあって、和菓子離れの救世主的1軒だとも言えるでしょう。
海外にあるカジュアルな総菜屋のように「これちょうだい」と、1個からほしいものをほしいだけどうぞ。ちなみにこちらの桜新町店は電話予約が可能(種類はおまかせのみ)。
包装がわっぱ(3個以上から)というのも気が利いています。最後に、お好みのマスキングテープをチョイス。このちょっとした心遣いも嬉しい。
この日は、つぶあんとこしあんの他の品揃えは、麻の実ときなこ/藻塩と八重桜/ミモザ/ココナッツとレモンピール/ナッツ(各250〜310円)。
海外にあるカジュアルな総菜屋のように「これちょうだい」と、1個からほしいものをほしいだけどうぞ。ちなみにこちらの桜新町店は電話予約が可能(種類はおまかせのみ)。
包装がわっぱ(3個以上から)というのも気が利いています。最後に、お好みのマスキングテープをチョイス。このちょっとした心遣いも嬉しい。
この日は、つぶあんとこしあんの他の品揃えは、麻の実ときなこ/藻塩と八重桜/ミモザ/ココナッツとレモンピール/ナッツ(各250〜310円)。

◆ タケノとおはぎ
住所/東京都世田谷区桜新町1丁目21-11
お問い合わせ/☎︎03-6413-1227
営業時間/12:00〜18:00(なくなり次第終了)
定休日/月曜日・火曜日
◆ 和のかし 巡
「栄養満点の和のマクロビ菓子」

美を追い求める乙女たちはもちろんですが、和菓子のプロから、食べたくても甘いものを食べられないとアレルギーに真剣に悩む人々まで多くの人が足を運ぶ、健康とお菓子が共存する希少なお店です。

では、このピンクの色は何かわかりますか?答えはビーツ。もちろん着色料は使いません。さらにスーパーフードとして有名になったキヌアは、最も栄養価の高い黒を選び、プチプチとした歯ごたえのある新しい桜餅に仕上げています。

驚くのはまだ早い。一般的に粒餡の皮をこして取り除けばこし餡になりますが、マクロビの観点からそれはNG。なので、炊いた水を捨てずに皮を柔らかく煮て、フードプロセッサーにかけ、またさらにアクまで丸ごと口当たりがなめらかになるまでひたすら丁寧に練り上げます。そうして完成するのが特製の「なめらか餡」なのだそう。
週替わりのお楽しみ「週末限定餡」も見逃せません。3月31日&4月1日を一足先に聞くと、白手亡豆で作る白なめらか餡に、有機アールグレイを濃く煮出し、豆乳を加えたミルクティーを加えたアールグレイ餡とのこと。好評メニューですので、お見逃しなく!
ここまでストイックなのは、黒岩さんご自身やご家族の体調の変化から健康について深く考え、血の巡りが健康に直結していると実感したからだそう。安心して食べられる和菓子がないなら自分で作ろうと、美容業界で培った知識を追い風に、開業前は和菓子店のアルバイトの後に製菓学校へ通い、夜には白砂糖を使わないお菓子づくりを研究。健康を想う=人を想う。そんな人想いの黒岩さんだからこそ完成した、「食べて良かったなぁ」と心から喜べる和のお菓子を一度味わって見てはいかがでしょう?

◆ 和のかし 巡(めぐり)
住所/東京都渋谷区上原 3-2-1
お問い合わせ/☎︎03-5738-8050
営業時間/10:30~18:00
定休日/月曜日