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2021.06.24

三浦彰の「ラーメンはファッションだ!」

サンフランシスコから逆輸入された西海岸インスパイアなラーメン

長年ファッション業界紙で編集長を務めてきた三浦彰さんが、ファッションと同じくらい、いや、ファッション以上に愛しているのがラーメン。その偏愛を語ります。

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文/三浦 彰  写真/秋山 都  

ウエストコーストファッションというジャンルは、実は比較的最近、2010年代に日本に導入されたものである。「GAP」や「リーバイス」がサンフランシスコを本拠にしているのはよく知られているが、トータルなウエストコーストファッションスタイルが日本に本格的に登場したのは、2009年。同年8月29日に「ロンハーマン」の日本第1号店が千駄ヶ谷にオープンしたのを嚆矢とすべきだろう。

リーマン・ショック(2008年9月)の冷めやらぬ東京で、しかも陸の孤島みたいな千駄ヶ谷の谷底にポツンとサザビーリーグ社の手によってオープンした。そのバカでかい店を見て、「こんな店が成功するわけない」と思ったのをハッキリ覚えている。結果はご存じの通りで、前回の日本人のハワイ好きと同じで、日本人はウエストコーストも大好きなのであった。

トラッドベースのちょっと几帳面なニューヨーク・ファッションに比べて、ジーニング・カジュアルをベースにして開放的でちょっとスノッブなファッション・テイストは、日本人のハートをつかんだのだった。「ロンハーマン」はその後多店舗展開に乗り出し、現在はセレクト業界の一大勢力になり、LAの本家をしのぐ存在になった。これに便乗して大ヒットした男性誌『サファリ』(日之出出版)なんていうのも登場した。
▲ 「MENSHO SAN FRANCISCO」(東京都新宿区西新宿1-1-3 新宿ミロード 7F、電話03-3349-5874)
こうした流れを知ってか知らずか、「MENSHO SAN FRANCISCO(メンショー サンフランシスコ)」なるラーメン店が、2018年7月13日に新宿の小田急系ファッションビルであるミロード7階のフードコートに登場した。
この「MENSHO SAN FRANCISCO」が、実は日本への逆輸入だと知って驚いた。異色のラーメンクリエーター庄野智治率いるMENSHO(株式会社麺庄)軍団がアメリカ上陸のポイントとして選んだのはニューヨークでもなければ、ロサンゼルスでもなくサンフランシスコ!

2016年2月にオープンした「MENSHO TOKYO SAN FRANCISCO」は瞬く間に大行列店になって、『ミシュランガイド』サンフランシスコ版のビブグルマンで取り上げられたという。

新宿ミロード店はそれに目を付けた逆輸入であった。同店の入り口にはいかにも和風の赤いすだれがかけられており、カウンターの中には観葉植物が置かれてウエストコースト気分を盛り上げている。
▲  赤いのれんから三浦氏が透けてみえる。
▲ ラーメン屋らしからぬ、おしゃれなカフェのような店内。
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オーナーの庄野氏は25歳で市ヶ谷に「麺や庄の」を2005年にオープンしたのがキャリアの始まりだ。いわゆるラーメンの求道者や和食、フレンチ、イタリアンなどからラーメン業界に入って来た人たちとは発想がかなり異なる。簡単に言うと、ラーメンに過剰なこだわりがなくて自由な発想でラーメンを作っているのだ。

微妙なスープの配合、小麦、ミリ単位の麺の幅、かえし(醬油)、茹で上げのタイミング、湯切りなど一流店なら尋常ならざるこだわりがある。もちろん、「MENSHO」のラーメンにもそうしたこだわりはあるが、もっと重要視しているのはラーメンという食べ物を楽しんでほしいという実にストレートなエンターテインメント性だ。
▲ 「A5黒毛和牛醤油らぁめん」2000円
たとえば、新宿ミロードの「MENSHO SAN FRANCISCO」の看板メニューになっている「A5黒毛和牛醤油らぁめん」(2000円)の最大のポイントは、7時間かけて低温調理されるという黒毛和牛である。丼を覆うローストビーフが圧倒的な主役で、魚介と野菜でとられたスープや国産小麦(ユキチカラとユメカオリ)による中太麺は、その引き立て役に過ぎない。しかし、邪道と言われようと、これは確かに旨いしバランスもいい一品だ。
▲ まずは大きなローストビーフにかぶりつく。
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▲ 「映え」する「抹茶鶏白湯らぁめん」920円
またいかにも「和」を感じさせる「抹茶鶏白湯らぁめん」(920円)は、鶏を丸ごと低温から煮出したスープと抹茶のバランスがなかなかいい。なによりこのヴィジュアルが息を飲むほど素晴らしいのだ。

バレンタイン週間には「チョコつけ麺」などという、ラーメン求道派が眉をひそめそうな一品も提供されるという。
こういう食のエンターテインメント性が米国ウエストコーストで人気を博した理由なのではないだろうか。それは、日本において自由で開放的なウエストコーストファッションが2010年代以降、急激に拡大したことと無関係ではないような気がする。異色のラーメンクリエイターの異名を持つ庄野智治オーナーの慧眼に脱帽である。

● 三浦 彰(みうら・あきら)

ジャーナリスト。福島市生まれ。慶應義塾大学卒業後、野村證券を経て、1982年WWDジャパンに入社。同紙編集長、編集委員を務めた後、2020年9月に退職。現在は和光大学で教鞭をとる。

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