2018.02.24
宮内庁御用達「東洋軒」での洋食デートは、フランス料理に負けずデートに向いてます
顔が隠れてしまいそうなメニューやぶ厚いワインリストと格闘するフォーマルディナーもたまにはいいけれど、いつもの自分を見せたいなら、ほっこりくつろげる洋食屋さんでのデート。ところどころウンチクをはさみながらお楽しみあれ。
- CREDIT :
写真/吉澤健太 文/秋山 都

宮内庁御用達にして、ニッポン洋食の最高峰
そんなアナタにおすすめしたいのが洋食屋でのデート。ハンバーグやメンチカツ、グラタンやカレー……メニューに並ぶは、お馴染みの料理ばかり。フォークやナイフ遣いに自信がないならお箸でいただくこともできます。
そしてこの洋食、本場フランスに負けず劣らず繊細で、ウンチクに満ちた深~いお料理なのでした。今回は、創業明治22年の「東洋軒」の料理とともに、洋食の魅力をご紹介します。
黒い! 1か月かけて煮込む秘伝の味
◆「ブラックカレー」


庶民の間でも牛鍋(現在のすき焼き)や、カレーライス、ポークカツレツ(現在のとんかつ)が徐々に広がり、明治中期には東京の洋食店が1000軒を超えたといわれています。
大正―昭和天皇の料理番として知られる秋山徳蔵(「東洋軒」三代目料理長)は、当時なかなか手にはいらなかったフォワグラを鶏レバーで代用し、何回も裏ごしすることですばらしくなめらかな舌触りのムースを編み出したと言われていますが、洋食の多くのメニューが、フランス料理をインスピレーション源として創られました。
このブラックカレーもそのひとつ。「東の魯山人、西の半泥子」と称された陶芸家にして食通、川喜田半泥子が「黒いカレーができないか」と提案(というか無理難題?)し、当時の料理長が応えたのがこちら。松阪牛と秘伝のスパイスをじっくり、ゆっくりと炒めたブラック・ルゥがこのこっくりとした味と色の秘密です。
肉汁がとめどなく流れ出す
◆「メンチカツ」

「東洋軒」のフライは、細かく繊細なパン粉が特長。このパン粉を作るため、まずパンを焼くところから始めるというから気合が入っています。ソースはもちろん自家製。トマト、玉ねぎなどの香味野菜にりんご、デーツなどで甘みを足した、深みのあるおいしさです。
ノスタルジックなデザートの王様
◆「プリン・ア・ラ・モード」

そんな紳士諸兄が、デザートに必ずオーダーするという一品、それが「プリン・ア・ラ・モード」であります。
「a la mode(ア・ラ・モード)」とフランス語がついているため、フランスのデザートなのかと思いきや、こちらも立派なジャパンメイド。戦後、GHQに接収されていたホテルで将校婦人たちのために考案されたデザートなのだそうです。
「東洋軒」のプリン・ア・ラ・モードは固めに焼いたクラシックなプリンにあっさりキャラメルソース、そして季節の2種アイスクリームとフルーツを舟盛りにした豪華版です。ときに強面の紳士おふたりがひとつのデザートをつつきあい、満面の笑顔になるといいますから、洋食の威力おそるべし。肩肘張らず、どこか懐かしい洋食は、どんな人のココロの武装も解いてしまうのかもしれません。

◆ 東洋軒
住所/東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー 1F
予約・お問い合わせ先/03-5786-0881
営業時間/11:30~15:00(L.O.14:00)、18:00~23:00(L.O. 21:00)
定休日/日曜(貸し切りのみ営業)