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2021.04.22

ワインリストの価格から、いいお店を見分ける方法

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多い時は月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

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文・写真/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

緊急事態宣言が解除されたのもつかの間、大阪府や東京23区などに蔓延防止等重点措置が適用されましたね。コロナ禍が一日でも早く収束することを願いながら、引き続き「お店でワインをセレクトする際のモテポイント」をお送りしたいと思います。今回はワインリストの分析、とりわけ「ベンチマーク方式」についてです。

モテるワイン道入門~お店でのモテポイント

前回のコラムではワインリストの値段の決まり方について考察し、通常のお店では小売価格の1.8~2.8倍程度に設定されていることが多いとご紹介しました。この価格帯って、けっこう幅があると思いませんか? たとえば小売価格1万円のワインであれば、良心的な価格設定の店だと1万8000円、強気の店だと2万8000円になります。

・前者の店で飲んだ帰り道に、同じものを酒屋さんで買って帰る(要するにお店で1本、お家で1本、合計2本飲める)。
・後者の店で飲む1本

同じ2万8000円の出費なら、どちらがいいですか? と聞かれたら、ほとんどのワイピは前者と言うはず。値付けが良心的なお店であれば「4名で3本の予定だったけど、お得だからもう1本追加しよう」とか、「ちょっと奮発して前から飲みたいと思っていた高級ワインをオーダーしてみよう」という気になる反面、強気のお店の場合にはお財布の紐を固くするのがワイピの習性です。
それでは、このワインリストの値付けの傾向をどうやって見抜けばよいのでしょうか? リストにあるワインを小売価格のみならず、他店でのリスト価格までデータベースのように頭に入っている上級ワイピであれば苦労はしませんが、普通の人だとそうはいきません。かと言って、片っ端からスマホに入力して値段を調べるのもスマートではありません。ソムリエに「このワインの小売価格はいくらですか?」と聞くのはほとんどコントの世界です。

でも、ご安心下さい。見極める良い方法があります。それが、今回ご紹介する「ベンチマーク方式」です。方法は至って簡単、ワインリストの中で一般性・汎用性の高いシャンパーニュの有名銘柄の価格をチェックすればよいのです。筆者の場合、よくベンチマークに使うのは下記のふたつのシャンパーニュです。

ドン ペリニヨン:現行ヴィンテージ 2010年、楽天市場の実勢価格で1万9500円(税込)程度
クリュッグ グランド・キュヴェ:現行エディション 168(*1)、楽天市場の実勢価格で2万2000円(税込)程度
この2アイテムは生産本数も多く、人気もあるため、高級レストランからカジュアルなお店まで、ワインリストに記載されている確率が高く、共通項となりやすいのです。

実際のワインリストを見てみましょう。まずは以前にも「ワインを楽しむべき店のお手本」としてご紹介した外苑前のモダン・ベトナミーズAのワインリスト(写真、2021年4月撮影)です。ドン ペリニヨン2008年が28,000円(税込。上記実勢価格の1.44倍)、クリュッグ グランド・キュヴェ エディション 166が34,000円(税込。同じく1.55倍)とお得感満載です(*2)。この店は「ミシュランガイド東京 2021」でもビブ・グルマンに掲載されるほどお料理も素晴らしいのですが、この良心的な値付けであれば人気が出るのもうなづけますね。
▲ 人気のモダンヴェトナミーズAのワインリスト(筆者撮影)。
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もうひとつ、実例を。ワインリストのミシュランと呼ばれる「世界のベストワインリスト2020」で3年連続3ツ星を受賞している東京・有楽町のフレンチレストラン「アピシウス」のワインリストです。ドン ペリニヨン2010が35,200円(税込。上記実勢価格の1.8倍)、クリュッグ グランド・キュヴェ (エディション不明)が39,600円(税込。同じく1.8倍)です。同レストランが豪奢な内装でドレスコード(ジャケット着用)ありのグランメゾンであることを考えると、この価格設定にはワイピとして嬉し涙が出ます。ワインリストが評価されるのも納得ですね。
▲ 「アピシウス」が公開しているワインリスト
このようにベンチマークをご自身で設定しておくと、お店の値付けの傾向が分かり、参考になります。何も考えずに「好きなものを飲めば良い」と言ってしまえばそれまでですが、多くのワイピは日々お財布との闘いでもありますからね(笑)。

なお、これらの銘柄がリストにないというケースもあると思います。そう言う場合には、もう少しカジュアルなシャンパーニュ、例えばモエ・エ・シャンドン モエ アンぺリアルやシャルル・エドシック ブリュット レゼルヴなどをベンチマークにすることをオススメします。

「ベンチマーク方式」による判定、いかがだったでしょうか?  ぜひ参考にしていただき、充実したワインライフに結びつけていただければ幸いです。

(*1)

クリュッグ グランド・キュヴェは複数の収穫年のブドウから造ったいわゆるノン・ヴィンテージシャンパーニュ(クリュッグ社はマルチ・ヴィンテージと言っている)だが、最近は主たるワインのブドウ収穫年ごとにエディションナンバーをつけている。現行エディション168は2012年主体。

(*2)

ドン ペリニヨンのヴィンテージについては2010年と2008年、クリュッグ  グラン キュヴェのエディションについては 168と166(2010年主体)と若干の違いはあるが、市場ではほぼ同価格で取引されることが多いのでそのまま比較した。

連載過去記事はコチラ

● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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