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2017.10.28

「これ知ってる?」で広がる鍋ごしの会話ネタ【江戸のねぎま鍋】

江戸の粋を今に伝える「ねぎま」「小鍋だて」に関するアレコレ

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文/秋山 都
写真/菅野 祐二、吉沢 健太
「あ、そこもう煮えてるんじゃない。はやく取って」「あ~、そこはまだまだ。何やってるんだよ」……何かと仕切りたがる鍋奉行は嫌われがちですが、一方で、鍋料理ってなぜか黙ってしまうのも真実。ふたりで黙って鍋を見つめるのではなく、さりげなくアナタの知識と経験をチラ見せして、鍋ごしの会話をより楽しんでください。「鍋って、コミュニケーション」なんですから、ね。

「ねぎま鍋」は江戸の粋を今に伝える伝統の料理

「鍋っていう調理器具自体は奈良時代からあるんだけどね。料理として確立されたのは江戸時代らしいよ」

「なぜって? 昔の長屋の台所ってかまどひとつしかないじゃない? コンロに大鍋をかけて煮物を作るのとは別に、食卓へ鍋を持ち出した料理が『小鍋だて』。あ、池波正太郎で読んだことある? そうそう、浅利のむき身と大根の鍋、とかでしょ。あれ、うまそうだったよね。それが江戸後期からだって」

「で、『ねぎま鍋』なんだな。いまは大トロって言ったら高級な刺身の代表だけど、昔は捨てていたんだってさ。冷蔵庫のない時代だからね、脂のある部位はすぐ腐るし、嫌われてたわけ」

「その大トロをね、かつお出汁でねぎと一緒に煮立ててフウフウ食うわけさ。またそのマグロの旨味を吸ったネギがさ、甘くてうまくて……。え、ペアリング? いやいや、こういう場合は『出会いもの』って言ってよ。和食の世界ではさ、旬の食材をこれ以上ないっていう最上の組み合わせで食べる時、『出会いもの』っていうの。まるでキミとボクでしょ♡」
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究極の「ねぎま鍋」を味わえる
◆ 山さき

江戸伝統の料理をいまに伝えていた大塚の名店「なべ家」(2016年に閉店)で修業した山崎美香さんが15年前にオープンした「山さき」。鍋一筋を志す山崎さんのスペシャリテは、やはり「ねぎま鍋」です。
「鍋にはあれもこれも、と入れずにすっきりシンプルにつくるのが江戸前の良さ。その分、素材のよさにはこだわっています」と語る山崎さんの「ねぎま鍋」には、まぐろ、クレソン、芹、ウド、ネギがスタンバイ。鍋にはかつお出汁に醤油、酒、塩で味付けた下地がたっぷりと張られています。
「江戸の料理は色が濃いからしょっぱいのではと言われることもありますが、そんなことはありません。素材の味を大切にした、まろやかな味。吉田健一さんは『江戸料理は親切な料理だ』と書いたそうですが、それは何も足さずにそのままでおいしいから。私のお鍋も、味を重ねるのではなく、引き算で考えています」

という「ねぎま鍋」には築地で仕入れる本マグロのトロから、腹の部分と背の部分を2種類使用。口に入れた瞬間にホロリと溶ける腹の部分と、肉の旨味を感じる背トロの両方が味わえます。その脂の口溶けと、肉のおいしさから、相当高級なマグロを仕入れていらっしゃると拝察いたしました。
こんなにいいマグロは半生で食べたい、とも思いますが、きっちり火を通すのがおいしさのヒミツ。お好みでふる黒胡椒のピリリとしたアクセントが、マグロの脂と好相性、まさに「出会いもの」です。
〆は汁かけごはん。硬めに炊いたごはんに、マグロや野菜の旨味が沁みたお出汁をたっぷりとかけて、黒胡椒をパラリ。味見した筆者もカメラマンも、いままでにさまざまな鍋の〆(雑炊やらうどんやらラーメンやら)を食べてきましたが、これが正直マイ・ベストの〆かも、と顔を見合わせる美味しさでした。何度でも食べたいと思わせる、上品で淡白な味わい。飯碗軽く1杯をさらりとかっこむ、江戸の粋な〆ですね。

◆ 山さき

住所/東京都新宿区神楽坂4-2 福井ビル 2階
営業時間/18:00~22:00(L.O.20:00)
定休日/日曜・祝日(12月21日~1月8日冬休み)
予約・お問い合わせ/☎03-3267-2310

●ねぎま鍋 1万800円、ほかにふくちり 1万7280円など

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「ねぎま鍋」を気軽に楽しむカウンター割烹
 ◆ ねぎま

東武東上線「北池袋」駅から徒歩3分ほど。
「ねぎま鍋」を手軽な価格で供するこの店は、その名も「ねぎま」。やはり大塚の名店「なべ家」出身の公代さんが2017年8月にオープンさせました。
「大塚の『なべ家』が閉店したので、使っていた看板や、皿小鉢をたくさんいただいて」
と語る公代さんの「ねぎま鍋」はマグロ、ネギ、芹、わかめから成るシンプルなもの。
「トロはそのまま値段に反映してしまうためカマトロを使っています」。
ほかにも砂糖を多めに使った江戸前の「玉子焼き」や、自家製の燻製が好評。「ねぎま鍋」をつまみに一杯飲みたいという地元の人たちから早くも愛されています。

◆ ねぎま

住所/東京都豊島区池袋本町4-3-17
営業時間/18:00~23:00
定休日/火曜・水曜
予約・お問い合わせ/☎080-8739-8566

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