白ごはんは料理を楽しむためのチェイサー
「たとえば春巻きならば、春は山菜の春巻き、夏はハモとトウモロコシの春巻き、秋は松茸の春巻きと、季節感を大事にした創作中華料理をお出ししています」
そうした日本的な趣向もあるこの店では、和食店さながらに炊きたての白ごはんが土鍋ごと登場します。お米は千葉県産コシヒカリ。山野辺氏みずから田植えと稲刈りに行っているそうです。料理は、全10品前後のおまかせコースのみ。
「ごはんは食べたい時にお声をかけていただければお好きなタイミングでお出しするスタイルです。料理は少量ずつですが、チャーシューや麻婆豆腐などには白ごはんがほしくなりますよね。そこで、チェイサー代わりにごはんをお出ししています」
なんと、チェイサーライス!この店では、白ごはんは「主食」ではなく「チェイサー」の存在なのです。たとえばトンポーローが出たらミニ角煮丼、フカヒレが出たらミニフカヒレ丼というふうに、セルフで料理と白ごはんのマリアージュを楽しむことができるのです。
のどぐろの蒸し煮と白ごはんの組み合わせは絶品!
この店では、紹興酒をはじめとした黄酒(ほあんちゅう)を常時8種類そろえています。定番人気は、糯米と小麦を使った「唐宗(タンソン)10年」。芳醇な香りと、まろやかな甘みとコク。ワイングラスに注いでくれるので、美しく澄んだ赤褐色の見た目も楽しめます。
そして、女性に人気なのは、「石庫門(シークーメン)12年」。糯米のほか、クコ、ハチミツ、干し梅、生姜を使っています。ハチミツの甘い香りがするものの、味わいは唐宗よりもさっぱり。料理の口直しに黄酒を飲むも良し、白いごはんをアテに黄酒を飲むも良し。お酒もごはんも進みすぎてしまいそうなお店です。
◆ 銀座やまの辺 江戸中華
住所/東京都中央区銀座8-4-21保坂ビルB1F
営業時間/16:30〜23:00
定休日/日・祝 他不定休
予約・問い合わせ/☎03-3569-2520
●夜は税・サービス料別で1万5000円から
元神奈川新聞記者。取材を通じてお米とお米文化に興味をもち、お米農家を経て、現在は「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに執筆活動を続けている。ちなみにお米でできた日本酒も大好き。