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2020.10.10

飲み好きだからこそ気になる!? “ソーバーキュリアス”って何のこと?

コロナ禍で刻々と変化するニューヨークの現状を元LEON編集部の菅 礼子がお届けする本シリーズ。ロックダウンによって健康志向に目覚めた方も多いと思いますが、飲み好きだからこそ、健康を考えた時にあえて飲まない選択をする“ソーバーキュリアス”という人たちをご存知でしょうか? カクテル先進都市のニューヨークではモクテル(ノンアルコールカクテル)のバリエーションも豊富です。そんなニューヨークのお酒事情に迫ります。

CREDIT :

文/菅 礼子

近頃肌寒さが増してきたニューヨークですが、10月1日からやっとレストランやバーでのインドアダイニングが再開されました!

アウトドアでの飲食もストーブを設置して無期限で延長されたのですが、寒さに弱い私にとってはちょっと限界です。インドアダイニングでの飲食は現状、通常の25%のお客さんの数に制限されているのですが、それでも徐々に元どおりに向かっていくとのことでひと安心!
▲ アウトドアシーティングは今のところ無期限で続行。ストーブをつけて今の季節は楽しめます。
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自粛生活で酒飲みも健康志向にシフト?

以前、プラントベースの需要拡大の記事でもご紹介しましたが、自宅から出られない生活を強いられたアメリカ住民の中には、健康志向に開眼した人たちも多いのです。かく云う私も今までずっと家にいるという生活をしていなかったので、毎晩家でお酒を飲んでいるとその消費量が可視化しやすくなり、自分の飲酒量にちょっとビックリ。「週に3日は禁酒デーを設ける!」といった決まりまで作ったほどです(現在も続行中!)。

アメリカでは2020年の時点で総消費量の40%を占めると言われるジェネレーションZ世代の飲酒量が、上の世代に比べて減少傾向にあることからも、若い世代のお酒離れ、健康志向への意識の高さがうかがえます。国税庁のデータによると、日本でも同様に、平成に入ってからの成人一人のアルコール消費量を見ると、平成4年(1992年)の101.8Lを最高に、平成28年(2016年)では80.9Lとピーク時よりも8割に減少しています。

こうした若い世代の中では“ソーバーキュリアス”と言って、飲めるけれどもあえて飲まない選択をする人たちが増えてきています。確かに、「若い子は飲まない、ノリが悪い」と言われたりしますが、無理に飲む必要はなく、自分の選択として飲み会でも堂々とお酒を飲まない選択をするのが今の時代です。

イギリスでは「Dry January」といって、慈善団体がアルコール依存症の人たちをサポートする目的で、1月の一カ月間アルコールを断つという運動を2014年からスタートさせました。最近ではその動きが活発になってきているようです。そういえばニューヨークにいるイギリス人の友人が、「1月は飲まない月なの」と言ってイベントでお酒を断っていたことを思い出しました。

一定期間断酒することで目覚めが良くなったり肌の調子が良くなったり、体調の変化に気づく人も多いと言います。「Dry January」はお酒をやめろという提案ではなく、あくまでお酒との関わりを見つめ直すいい機会なのかもしれません。

今回のパンデミックで健康志向に目覚め、お酒を減らしたり、一定期間断酒するソーバーキュリアスが増える予感です。ワークアウトにも積極的に励んだりしている方は多いと思いますが、お酒が好きな人は「楽しむ時は楽しむ」というメリハリをつけてアルコールを楽しむ人が増えたようです。私もそうしています!
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お酒が飲めても“モクテル”という選択も粋なんです

そこで、最低週3回は禁酒すると決めた私が気になりだしたのがモクテルです。モクテルはノンアルコールカクテルのことで、ニューヨークはカクテル先進都市と先述しましたが、ここではバーでもバーテンさんが本格的なモクテルを作ってくれます。

ニューヨークで一番長い歴史を誇るカクテルバーとして知られ、アメリカで権威のあるカクテルの祭典「2020 Spirited Award」でタイムレス・アメリカン・アワードを受賞した「エンジェル シェア」のヘッド・バーテンダーTakumaさんに最近のバー事情やモクテルについてお話を伺いました。
▲ レストランの店内の隠れ扉から入るスピークイージーの「エンジェルシェア」。デートにもってこいです。

モクテルがブームになり始めたのはいつ頃からですか?

Takumaさん 「5年ほど前からバー業界でちらほら話題に上がるようになり、実際には2〜3年前からモクテルをオーダーするお客さんが目立つようになりました。アメリカではハードリカーなど、度数の強いお酒を飲んでアルコール感を感じたいというお客様が多いんです。最初はモクテルをオーダーするお客様に違和感があったのですが、ノンアルコールのみで来る方も増えてきました。『エンジェル シェア』はスピークイージーで隠れ家的なバーなので、この雰囲気を楽しみたいというお客様も多く、アルコールは飲めなくても空間を共有したいということで来店いただいています」
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▲ 縁日で振舞われるバターコーンをイメージした新作カクテルをTakumaさんに作っていただきました。
▲ メーカーズマークと焦がしバターを混ぜ、1日寝かせ分離させたという新作カクテルの「ジャイアント ステップ」。コーン由来のメキシコのリキュールと醤油も加えて香ばしい香りが印象的です!
アメリカでは10年ぐらい前から健康への意識が高まってきたので、ここ2〜3年のモクテルブームとともに、ノンアルコールのジンなども出てきて、ノンアルコールのジントニックでもフレーバーを楽しめたりと、進化してきました。

「エンジェル シェア」でもイギリスの「SEEDLIP」というノンアルジンを使っています。最近ではノンアルコールのベルモットも発売され、ノンアルコールマティーニも作れるようになりました。
▲ これがノンアルジンの「SEEDLIP」。ハーブの香りは高いのですが、もちろんストレートで飲んでもアルコールの焼けるようなきつさはありません。
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バーテンダーさん的に、モクテルをオーダーされると複雑だったりしますか?

Takumaさん 「これは必然的だなと思いました。私も飲めない時期があったのですが、バーの雰囲気は楽しみたい、飲めないけどバーに行きたいといという葛藤がありました。モクテルがそういったバーを楽しむ入り口になればと思っています。ロックダウンが始まってから周りのバーテン仲間たちもエクササイズに目覚めて体を絞った人もいましたし、バーテンダーがSNSにエクササイズを投稿するのが流行ったんです。これはアルコールメーカーのキャンペーンの一環で、お酒のブランドが健康をうたって『飲む時は飲む、エクササイズをする時はする』というメッセージを発信していました」

モクテルは女性の方のオーダーが多いのでしょうか?

Takumaさん 「それがそんなことなくて、男女で来られて女性だけ飲んで男性はモクテルというのを良く見かけます。男性はクルマの運転があって飲めないなどの事情があるのでしょうが、“女性には好きなお酒を楽しんでね”という姿勢がとてもスマートに見えますね」
▲ 「ニューヨーク ニューヨーク」のモクテルがこちら。濃厚なりんごジュースにホームメイドのアップルシロップとスパイス、ライムジュースをプラス。
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▲ 華麗なるシェイクもバーの醍醐味。To goではこのパフォーマンスは見ることができませんから。
取材当日はウイスキーを使ったカクテル「ニューヨーク ニューヨーク」のモクテルを作っていただきました。アップルパイをイメージしたモクテルはコクがあり、ノンアルだと忘れてしまうほどで、目ウロコでした!

とても美味しく、ゆっくりと味わわせていただきました。モクテル専用メニューはないものの、メニューにあるカクテルに近いモクテルを作っていただけます。
▲ 最後はザラメをバーナーで焦がして完成!
日本でも六本木にモクテルバー「0% NON-ALCOHOL EXPERIENCE」やTakumaさんがレシピ提供もされたというノンアル&ローアルコール専門バー「Low-Non-Bar」がオープンするなど、モクテル人気は広がりそうです。

ノンアルでもバーテンダーのテクニックや創造力が活きたドリンクは楽しみ甲斐満点ですし、バーでもモクテルが楽しめるということを知っていれば、お酒の弱い女性とのデートやクルマでのデートでもバーで素敵な時間が過ごせるかと。

私は個人的にお酒が好きなので、メリハリつけてカクテルを楽しむ日とモクテルを楽しむ日を作りたいなと思います!

● 菅 礼子

LEON編集部で編集者として勤務後、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住。男性誌や女性誌、航空会社機内誌などにニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆する他、ニューヨークでクリエイティブエージェンシーのAYDEAを主催(www.aydea.co)。Instagram(@sugareiko)でニューヨークだけでなくアメリカ&世界の情報を発信中。

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