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2026.01.11

【第91回】 スープについて考える《2》

パリの俊英日本人シェフが作る絶品「鶏スープ」から、ラー博「ロックンスリー」の地鶏醤油ラーメンへ

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食リポートする連載です。今回のテーマはラーメンのスープについて考える、その2です。

ラーメンTRY大賞 ラーメン革命! 山本益博 LEON
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パリで出会った日本人シェフが作る衝撃の鶏スープ

もう何年も前からヨーロッパへ毎年2回出かけ、料理の最前線を探しまくっている。いったいこの先、料理はどこへ向かっていくのかと。スペインはカタルーニャ、カーラ・モンジョイにあった「エル・ブリ(エル・ブジ)」やデンマークはコペンハーゲンにある「ノーマ」、それにイギリスはロンドン郊外ブレイにある「ザ・ファットダック」などへしばしば足を運び、そのたび私の想像をはるかに超える料理で驚きと喜びを与えてくれ、楽しませてくれる。

スペインもデンマークもイギリスも、かつては美食とは無縁と言ってよい国だった。いまや、フランスもイタリアも「美食」の常連、最先端とは言えなくなった。

そんな状況の中で、昨年2025年秋、パリでかなり衝撃的な一品に出会った。それが、日本人シェフの創作した「スープ」だった。

第3位狛江「しば田」の塩そば。

▲ 「ブラン」でいただいた鶏のブイヨン。

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店の名は「ブラン(白)」、シェフの名前は佐藤伸一さん。かつて「パッサージュ53」で、日本人初の2つ星に輝き、いま、3つ星最前線にいると思える俊英である。

料理が始まって何皿目かに、白いボールに入った黄金色のスープがでてきた。スプーンですくうと、鶏の出汁であることは分かったのだが、そこに高貴な香りが漂っていて、私を陶然とさせたのだった。


最後にテーブルに現れた佐藤シェフが言うには「黄鶏とホロホロ鳥とヴォルヴィック(水)で摂ったフォン(出汁)に台湾の高山茶を加えました」とのこと。

 「新店大賞」の東中野「麺や晴心」の「中華そば・醤油」。

▲ 「ブラン」のアミューズ。

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魚の骨などから摂った出汁は「フュメ・ドゥ・ポワソン」と言うが、鶏から摂った出汁は「フォン・ドゥ・ヴォライユ」と呼ぶ。仔牛の骨などから摂った出汁は「フォン・ドゥ・ヴォー」で、これはフランス料理の核ともいうべきソースのベースになるもの。


牛すね肉などから作るブイヨン(スープ)が「コンソメ」と呼ばれる一品で、鶏の出汁をベースにブイヨン(スープ)仕立てで料理の一品として出すのは極めて珍しい。50年以上、フランスのレストランに通っているが初めての経験である。

ひと皿をじっくりと味わうと、日本人によるフランス料理の「伝統と革新」という感動が押し寄せてきた。

▲ 「ブラン」の牡蠣とほうれん草。

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さまざまな地鶏と水のみでスープを摂った「鶏による味の変化」を楽しむラーメン

この斬新なスープを飲んだ後、思いを馳せたのが、昨年秋、新横浜の「ラーメン博物館」に出店した「ロックンスリー」の「地鶏醤油ラーメン」だった。

店主の嶋崎順一さんは「ロックンスリー」の前は、尼崎市塚口で「ロックンビリーS1」の名で比内地鶏と水のみでスープを摂り、「醤油ラーメン」「塩ラーメン」を作っていた。

▲ ラーメン博物館の地階に向かう階段上に掲げられた「ロックンスリー」の告知ボード。

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「ロックンスリー」では、それをさらに進化させ、「比内地鶏」をはじめいろいろな鶏を使い、水だけで出汁を摂り、それをベースに「鶏による味の変化」を楽しむラーメンをつくるようになった。


これを嶋崎さん本人は「地鶏のカクテル」と呼んでいる。正直に言うと、お客さんが召し上がられて「地鶏のカクテルですね」と感想を言われ、それをそのまま頂戴させていただいたとのことである。

▲ ラーメン博物館「ロックンスリー」の地鶏醤油ラーメン。

ここまで進化してきたのであれば、また「地鶏のカクテル」を謳うのであれば、地鶏に華を添える何かを期待したいと思うのは、わたしだけだろうか? 嶋崎さん、ぜひお願いいたします!

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山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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