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2025.10.12

【第86回】 ロックンビリーが戻ってきた!

帰ってきた「ロックンビリー」を新横浜ラーメン博物館に訪ねた

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

BY :

文/山本益博
CREDIT :

写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食リポートする連載です。
ラーメン革命!  山本益博 WebLEON    ラーメン ロックンスリー 嶋崎順一 新横浜ラーメン博物館  
▲ 尼崎にあった「ロックンビリーS1」。

「比内地鶏と水」だけから生み出す香り高いシンプルなスープ

関西の「ラーメンの雄」、「ロックンビリーS1」が、関東に戻ってくるというニュースが伝わったのは、今年の春だった。

私は、関西へ進出以前の東京の「ロックンビリー」は知らない。私の視界に「ラーメン」が映り始めた頃には、兵庫県尼崎市塚口にあった。

その塚口の「ロックンビリーS1」へは、東京から4度通った。「比内地鶏と水」だけから生み出す香り高いシンプルなスープに魅かれたからだった。
初回は静かに食べて、静かに立ち去った。2度目に顔が割れて、食後に挨拶を交わした。店主の嶋崎さんから「いつか昔の東京のラーメンの話を聞きたいです」と言われた。TV朝日「愛川欽也の探検レストラン」で放映した「荻窪『佐久信』再建ものがたり」を興味津々で見ていたそうだ。
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▲  「ロックンビリーS1」の醤油らぁ麺冷や。
3度目は、ラーメンの話題そこそこに「落語」の話になり、互いの距離がグッと近くなった。何しろ、落語評論家、落語プロデューサーの肩書をもつ私より、「落語」にのめり込んでいる人だったのである。
関東へ戻ることが決まり、それを機に、私の主催する日本橋「COREDO落語会」へ足を運んでいただき、一層ご縁が深まった。

そんなことがあって、彼が新しい店を開く前まで、度々ラーメンをつくっていた千駄ヶ谷「豚一頭清湯麺」へ足を運ぶようになった。

嶋崎さんが店に出ている時には、店頭に「リーゼント本日います」の看板が出ていて、彼の名品といえる「鶏と水  醤油らぁ麺」をいただいた。塚口の味が楽しめるラーメンだった。
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▲ 千駄ヶ谷「豚一頭清湯麺」店頭に出ていた看板「本日リーゼントいます」。
2週間後、この時はお呼びがかかり、食べてもらいたいものがいくつかあると言われ、「豚一頭清湯麺」で「もりそば」と「鶏と水  醤油らぁ麺冷や」を作ってくださった。「もりそば」はほとんどラーメンの食材で作った日本そばのアレンジで、極辛いつゆに硬めに茹で上げた麺を手繰っていただいた。不思議な感覚に襲われたそばの傑作だった。そして、極めてシンプルな「素らぁ麺」。
さらに作ってくださったのが、「冷やし」ではない「鶏と水  醤油らぁ麺冷や」。真夏なので「冷製」と思いきや、熱くも温かくもない「らぁ麺」で、いわば常温の「らぁ麵」。清酒では、昔から「燗酒」と「冷や」があり、その「冷や」は冷たくした酒ではなく、常温の酒のことを言った。これが、すべての食材の香りと味わいを伝えて銘品と言って良い出来栄えだった。
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▲ 嶋崎さんがつくってくれた極めてシンプルな「素らぁ麺」。
この温度差の味わいについて話し合いをしている時、かつて一世を風靡したスペイン「エルブジ」の話になり、何度も出かけるほど魅了された「エルブジ」のアイデア満載の料理のエピソードを披露し、嶋崎さんはその話をとても興味深く聴いてくださった。

そして、ついに9月25日、新横浜「ラーメン博物館」に「ロックンスリー」として出店開店の運びとなった。
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▲ 地下階「ラーメンと夕焼けの街」への入り口には「ロックンスリー」の表示が。
命名した「ロックンスリー」は嶋崎順一さんの3期目という意味合いだそうである。

その「ラー博」でいただいたラーメンは「地鶏醤油」で、実にシンプルに鶏と水を生かしたスープで食べさせるラーメンだった。

嶋崎さんに曰く「比内地鶏を軸にいろいろな地鶏とのカップリング、組み合わせによるスープそのものの風味や味わいの違いを毎回感じていただくことがコンセプトですかね、言ってみれば『鶏のカクテル』!」
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▲ ラー博「ロックンスリー」の地鶏醤油。
「今までは、いかにいつもと寸分狂わぬ味を作りながら進化させてゆくかという考えだったのですが、これからは鶏による味の変化を楽しむ! それをラー博でできるなんて、自分は恵まれているなあと、幸せ者です」
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▲ ラーメンをつくる嶋崎さんを取材する筆者。
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山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博 YouTube  MASUHIROのうまいのなんの!

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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