2015.11.24
第5回:ニキータの味覚を楽しませる ほっこり鍋にバラエティ薬味
薬味上手はモテる鍋奉行の基本です
ズバリ結論から申し上げますと、この時季、鍋ほどのモテめしはないでしょう。料理の醍醐味はできたてを味わうことだと思いますが、鍋ならそれが難なく実行可能。熱々のスープ、湯気、香り、さまざまな食材、グツグツ煮える音。五感を刺激する要素がそろい踏みです。さらに、ひとつの鍋をつつくことで距離が縮まりますし、よそってあげればさりげなく優しさをアピールできる。「次は何を食べる?」なんて会話にも事欠きません。
しかしですね、裏を返せば、先に挙げたことは鍋さえあれば誰でもできるってこと。楽しませ上手を自認するオヤジさんなら、例えばさまざまな薬味を用意して、ニキータを飽きさせない演出をしていただきたい。何しろ料理は愛情ですからね。それに選択肢があればニキータの味の好みも理解できるでしょ?
というわけで、すっかり前置きが長くなってしまいましたが、今回は、ちょい足しするだけで鍋の味わいを七変化させる薬味の作り方をご紹介。なお、本誌では白身魚を使ったピリ辛鍋のレシピも取り上げています。諸兄の大切なニキータとフウフウしながら温まる一助にしていただけばと~!
今回のシェフはこちら

掛川哲司
予約が取れない代官山の魚ビストロ「Ata」のオーナーシェフ。箱根「オー・ミラドー」や青山「ナリサワ」といった名店で修業を積んだ腕利きにして、「レストランでおいしいのは当たり前。自分が目指すのは楽しくて使い勝手のいい店」と語るように、アノ手コノ手で“食べる楽しさ”を提案してくれる演出上手でもあります。

今回、掛川シェフが勧めてくれた薬味は7種。どれもこれもちょい足しするだけで鍋の味をがらりと変えてくれますから、料理を何品も作る必要なし。ダブル使いしたりして、好みの味を見つけるのも一興ですぞ。
●すだち
香りがよく、さっぱりとした味わい。キュッと絞ってお口直し的にどうぞ。疲労回復に利くクエン酸が豊富ゆえ、頑張りすぎのニキータにぜひ勧めてあげてくださいまし。
●実山椒
「山椒は小粒でピリリと辛い」と言います。舌がしびれるような刺激がほしい方は、この実山椒を。胃を健やかにし、消化を促進してくれるので、暴飲暴食が増えるこの時季にぴったりかと。
●柚子胡椒
九州発祥にして今や全国区に。さわやかでピリッとして、後を引くおいしさです。鍋はもちろん、豆腐、刺身、うどん、パスタ……なんにでも使えて個性を発揮してくれるので冷蔵庫に常備しておくと重宝します。
●パクチー
もともとタイやインド、ベトナム料理の薬味として使われていたパクチー。「パクチスト」なんて言葉もあるくらい熱狂的なファンを持っています。入れるだけで鍋がアジアンテイストに早変わりしますよ。
●バジル
イタリア料理に欠かせないハーブの王様は鍋をイタリア風にしてくれます。買ってきて使うのもいいですが、プランターで簡単に育てられるので自家栽培するのもよろしいかと。何しろフレッシュが一番ですし、パスタに使ったり、カクテルにしてみたりと、楽しみ甲斐がありますから。
●もみじおろし
鮮やかな紅色で胃袋を刺激してくれるコチラ。作り方は簡単で、大根に唐辛子を差し込んですりおろせばOK。すだちとダブル使いするのもいいですね。日本酒がクイクイ進みますよ~。
●チーズ
まさに入れるだけで鍋が激変。とろ~り、マイルドな味わいに早変わりします。〆にチーズを入れて雑炊仕立てにするのもおすすめ。優しい味わいに、身も心もほっこりするのは必至です。
写真/長谷川 潤 文/甘利美緒

魚介系ビストロブームの一翼を担う「Ata」
魚介系ビストロブームの一翼を担う「Ata」