味覚の繊細さに訴えかけてくる極みの甘さ
覚に敏感な諸兄にとって「甘さ」というものは本当に旨みを左右するものである、ということはご存知のことだと思います。工業的に作られた甘さというものは非常に雑味があって逆に苦味に感じることすらある、ということも。そこで今回は「酒がもつ本来の甘さ」を追求、こちらを改めて紹介することにいたしました。その名も「ロン サカパ23」。サトウキビを原料とするラム酒のなかでもキング・オブ・ラムと呼ばれているものです。そもそももっている甘さとアルコールのボリューム感がパーフェクトな逸品。それはグアテマラの海抜2300メートル、高山の冷えた環境の中で熟成させているためなのか、サトウキビのいちばん搾りを濃縮したバージン・シュガーケイン・ハニーだけを使用しているからなのか。さらに言えば、独自の熟成スタイル「ソレラ システム」が功をなしているのか。この旨みと香り、完成度の高さを考えるとほかとは何が違うのでしょうか! 楽しみ方は、そのままロック、トニック割りで楽しむもよし。モヒート好きな方なら「サカパモヒート」を。ポイントはシュガーシロップなどの甘みを足さないこと。「ロン サカパ 23」本来の甘さが非常にエレガントな存在であるため、ここでほかの甘さを加えるとばらついた味わいの印象になってしまいますから。少し甘さを加えたい方は、シャンパンでフロートするのがオススメ。熟成からくる酵母の甘さが生きてきます。そして自分では作れない領域がサカパカクテル。繊細な甘さがあるものに、上質な甘みをもつリキュールを合わせるのです。これは熟練したバーテンダーのテクニックが絶対必要。まずはご指名ラムとしていろいろ楽しんで。
藤崎聡子●ワインスタイリスト
2015年も残すところあと3カ月。ワールドツアーも終盤に入る。10月はアジア三昧。各国の調味料とどのようなワインが合うのか。フードの進化もすさまじいだけに考えるだけでも面白い。
写真/蜂谷哲実(FOREST)