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2023.09.24

【第40回】 東所沢「ラーメンWalkerキッチン」

埼玉「ラーメンWalkerキッチン」にやって来た仙台のレジェンドラーメン

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(LEON.JP)

ラーメン 五福星 山本益博 LEON.JP
2年ほど前、埼玉県東所沢に「角川武蔵野ミュージアム」が出来た。その一角に「ラーメンWalkerキッチン」と言う名のPOP UPレストランがある。ラーメンフリークならすでに訪れているはずだが、遅まきながら、今回ようやく出かけてみることができた。

仙台のラーメンの名店「五福星(うーふーしん)」が9月14日から18日までやってきたからだ。私は、いつも「本店第1主義」で、「五福星」も、今まで仙台の店まで出かけていなかったら、今回も足を運ばなかった。本店で食べる前に、出店の時に不幸な出会いをしてしまうと、その後わざわざ本店まで出かけようと思わなくなってしまうからだ。
幸い、私は2年前に仙台の「五福星」で「背脂生姜ワンタンメン」を食べている。仙台の店は、仙台の繁華街からはかなり遠く、車でなくては行きにくいラーメン店で、広い駐車場が用意されていた。その駐車場の車の差配を店主がされていた。
ラーメン 五福星 山本益博 LEON.JP
▲ 2年前に食べた仙台「五福星」の「背脂生姜ワンタンメン」。
ラーメン 五福星 山本益博 LEON.JP

五福星(うーふーしん)

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ラーメンの名店とは言え、私が宮城まで足を運ぶ気になったのは、いつも素敵な情報を届けて下さるIさんからのメッセージがあったからだった。今回も、そのIさんのお知らせがきっかけだった。

私は、今、Facebookで仲間二人と「東京とんかつ会議」という、東京のとんかつ屋さんを紹介する連載を続けている。Iさんは私の知らないとんかつ屋の情報もたくさんお持ちで、最新の「東京とんかつ会議」で公開した鶯谷「とん平」は、彼からのお薦めがあったからである。Iさんは東京にお住まいかとおもいきや、なんと群馬・舘林在住なのである。

指南書には「いただきます。美味しそう……と大きい声で言う!」と

武蔵野線「東所沢」駅でIさんと待ち合わせ、ミュージアムまで歩きながらの道のりで、四方山話に花が咲いた。
1980年代半ば、テレビ朝日系列で「愛川欽也の探検レストラン」という料理情報番組があった。荻窪の冴えないラーメン屋「佐久信」をみんなで寄ってたかって再建したり、山梨・小渕沢の「丸政」の駅弁を、これまた新しくプロデュースして、名物に仕立てあげるなど、とても人気があった番組だった。

キリンビールの提供だったところから、番組で「HEARTLAND」というビールも誕生させた。現在の六本木ヒルズができる直前、「たべたか楼」という期間限定のレストランも開いて、これなどPOP UPレストランの走りだったかもしれない。こんな話をしながら、10分ほどで「角川武蔵野ミュージアム」内にある「ラーメンWalkerキッチン」に着いた。
ラーメン 五福星 山本益博 LEON.JP
▲ 「ラーメンWalkerキッチン」はこの日も行列のできる人気ぶり。
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さて、なにを注文しようか? 券売機にあるのは「らーめん」と「昆布ざる中華」。Iさんが、「ざる」をそれぞれがいただいて、「らーめん」を半分に分けて食べましょう、ということになった。「ざる」が出てくる前にテーブル上にある「指南書」を読んでみる。「つけ麺のおいしい食し方」、その1を見ると、「いただきます。美味しそう……と大きい声で言う!」とある。私、こういうユーモアが大好き! わたしだったら「まず、上着を脱いで、シャツの腕まくりをして待つ!」と書くかな。
暫くして、「昆布ざる中華」が運ばれてきた。指南書にある通り、色合い、盛り付けが美しい。「美味しそう、いただきます!」と声を挙げた。
ラーメン 五福星 山本益博 LEON.JP
▲ 「五福星」の「昆布ざる中華」(1600円)。
「指南書」には、その2に「1口目は……つけ汁にドボン!たっぷりつけ汁絡めて食べる」とあるにもかかわらず、いつもするように麺のみ箸で摘まんで食べると、するすると口の中を通る。軽く嚙むと、うまいの、なんの!そして、スープを一口。昆布の香りがする、上品な味わい。あとは、一気に、スープの入った猪口をもって麺を手繰ってしまった。

合いの手で食べたチャーシューも豚肉の美味さに溢れたものだった。それに、梅干と生姜を和えた「自家製梅生姜」を、時々添えると、絶妙のアクセントになった。
ラーメン 五福星 山本益博 LEON.JP
▲ 「五福星らーめん」(1400円)。
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間髪を入れずに、「らーめん」が登場。まずは、スープをいただくと実に透明感と清潔感が溢れる出汁、これだけ品格のあるスープは久しぶりだ。艶やかな麺との一体感も素晴らしい。それに、添えてある海苔、いや、一見して海苔と思ったのだが、スープに溶け出すと、極細の昆布状になっていく。これまた、スープと麺と渾然一体になっていった。
ラーメン 五福星 山本益博 LEON.JP
▲ 「五福星」の早坂雅晶店主(中)、Iさん(右)と一緒に。
食べ終えて、2年前の記憶が戻りながら、スープが一段と美味しく感じられたのはなぜだろう、と考えた。早坂店主に「水」のことをお尋ねしたが、それだけでは謎は解けなかった。いつかまた、仙台の「五福星」に食べに出かけることにしよう。

ラーメンWalkerキッチン  HP/walkerplus.com

山本益博 LEON.JP  ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博 YouTube  MASUHIROのうまいのなんの!

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
YouTube/MASUHIROのうまいのなんの!

「山本益博のラーメン革命!」、他の記事はこちらから!
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