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2022.11.03

今、呑まないでいつ呑むの? ジンブームを牽引する「季の美」の魅力とは?

お酒の消費量が減り続ける中で、なぜか右肩上がりで出荷が増えているのがジンなのです。クラフトジンブームに始まって、大手も参入し今最も注目されるお酒となったジン。なかでも日本のジンブームを牽引してきた「季の美」は要注目。本拠地の京都を取材してきました。

CREDIT :

文/只野仁志 写真/Yuu Murata

季の美 LEON.JP 京都蒸留所

ジンしか勝たん、世界のお酒事情は日本でも

皆さん、美味しいお酒、呑んでいますか? 最近の若者はお酒を呑まない人も増えていると聞きます。健康志向の高まりや生活パターンの多様化など理由はさまざまですが、常に酒とともに青春があったオヤジ世代からするとちょっと切ないです。

国内の酒類消費量はここ10年近くずっと縮小傾向にあるのですが、そんななか、順調に消費量を伸ばすだけでなく、海外への輸出量も急激に増やしているお酒がジンなのをご存知でしょうか。本場のイギリスでは市場規模でウイスキーを抜いたなんて話もあるほど。

2010年頃からイギリスだけでなく、アメリカやスペイン、オーストラリアなど各国で、クラフトジン(小規模な蒸溜所で造られる個性の強いジン)のブームが始まり、次第に大手も巻き込みジンの人気はますます加速しているようです。
季の美 LEON.JP 京都蒸留所
▲ 中央の3本は「季の美 京都ドライジン」。まわりの6種類は原酒。この原酒のブレンドにさらに加水して「季の美」が造られる。
日本でそのブームのきっかけになったのが2014年に京都でジン専門蒸溜所として誕生した(発売開始は2016年10月)京都蒸溜所の「季の美 京都ドライジン」です。もちろんご存知だとは思いますが、お洒落なパッケージデザインや京都という街にこだわった酒造りなど、巧みなイメージ戦略も功を奏して「季の美」は一躍人気ブランドとなりました。
今や日本中のバーや飲食店で在庫必須のアイテムとなり、2018年と2021年の2度にわたりIWSC(※)の「インターナショナル ジン プロデューサー賞」で最高位の賞Trophyを受賞するなど世界的な評価も得ています。モテるオヤジとしては話題の酒に無関心ではいられませんよね。ということで、ブームに沸くジンと「季の美」についてお伝えしましょう。
※IWSC/インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション。世界三大酒類コンテストのひとつで、毎年ロンドンで開催。酒類の品質向上と市場拡大の寄与を目的に1969年に創設。世界のワイン、スピリッツ、ウイスキーなどを対象に審査。
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まずはジンってどんな酒?

ジンは穀物などを原料にした蒸溜酒(ニュートラル・スピリッツ)にボタニカル(香草・薬草類)を加え、再蒸溜して香りづけしたお酒。この時、ボタニカルとして「ジュニパーベリー(セイヨウネズ)」が必須で、この香りが主体であることがジンを名乗る条件となります。

逆に言えばジュニパーベリーさえ入っていれば、あとはどんなハーブやスパイスを入れても構わない、その自由さがあるからこそ、ジンは製造される土地土地に固有の素材を取り入れ生かすことでさまざまな個性的な味わいを実現できる可能性を持っているわけです。

この特性を生かして日本にこだわり、京都にこだわって唯一無二のジンを作り上げているのが「季の美」なのですね。
季の美 LEON.JP 京都蒸留所
▲ 京都蒸溜所のポットスチル(蒸溜機)。
まず「季の美 京都ドライジン」のベーススピリッツにはライススピリッツ、つまりお米由来の蒸溜酒が使用されています。通常は小麦やトウモロコシなどを原料にするメーカーが多いのですが、お米の国・日本ならではのセレクトが心憎いじゃありませんか。ちなみにフランス産のジンではブドウやリンゴを原料にしたベーススピリッツを用いているものもあるそうです。
このベーススピリッツに柚子、山椒、宇治の玉露など京都で栽培されるものを中心としたボタニカル11種を6つのエレメント(※)に分けて浸漬抽出し、6種類の蒸溜原酒を造ります。その際エレメントごとに抽出時間と蒸溜条件を個別に設定し、ベストな蒸溜品質を得られるように細かく調整しているそうです。
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季の美 LEON.JP 京都蒸留所

6つのエレメント

60種類以上に及ぶボタニカル/ハーブを事前に評価し、京都産を中心とした高品質な素材を11種類厳選。これを6つのエレメント(グループ)に分けている。
①礎(ベース)/ジュニパー、オリス、赤松 ②柑(シトラス)/柚子、レモン ③凛(ハーバル)/山椒、木の芽 ④辛(スパイス)/生姜 ⑤茶(ティー)/玉露 ⑥芳(フルーティ&フローラル)/笹、赤紫蘇

その後、この6種の原酒を理想の味わいになるようにブレンドし、日本酒の一大産地として知られる地元・伏見のクリーンな伏流水で割水。さらに微妙な香りをと味わいをマリッジさせる熟成を行います。ボタニカルは毎年わずかに違う香味に合わせて「ブレンドレシピ」を念入りに調整するなど味わいと品質の設計は繊細を究めます。

これらの緻密で丁寧な作業を続けてきたことで、「季の美 京都ドライジン」の市場評価は急速に高まり、今や世界的にもそのステイタスは確固たるものとなっています。
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「季の美 House」が京都の街中に誕生した意味とは 

創業者のひとり、イギリス人のデービッドさんは母国の街角によくあるパブのように、店の中に小規模な蒸溜機を設け、その場でできたジンが飲めるような場所が作りたいと、当初は京都の街中に蒸溜所を作りたかったのだといいます。
季の美 LEON.JP 京都蒸留所
▲ ポットスチル(蒸溜機)やタンクが所狭しと並ぶ京都蒸溜所の内部。すべてがピカピカに磨かれていて素晴らしく美しい。中央は蒸溜所を案内してくれたヘッドディスティラー・プロダクト マネージャーのリアム モリッシーさん。
しかし、当時の京都の条例ではそれが許されず、京都蒸溜所は街の中心からやや離れた住宅街の一角に出来ました。今回、その蒸溜所も見学させてもらいましたが、建物の中にはタンクやポットスチル(蒸溜機)、材料となるボタニカルが入った貯蔵庫などが所狭しと並んでいました。生産量の増加に伴い施設を拡大したそうですが、これが街中だったら簡単には土地も増やせないと思えば、今の場所は悪くない立地だったのかもしれません。
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そして「街中でジンを!」という当初の目論見は2020年6月、河原町御池に近い市の中心部に「季の美 House」というブランド発信店を作ったことで実現しました。築100年以上の京町家を改修した天井の高いゆったりとした店内は「季の美」のイメージにふさわしい風情のある上品な空間です。
ここでは「季の美」ブランドに関わるさまざまな展示や「季の美」製品の販売、そして「季の美」を使ったカクテルの提供も行われ、「季の美」のすべてが楽しめる場所となっています。店の奥には会員制のバー「ジンパレス」もあり、こちらは古き英国のラグジュアリーを体現した秘密基地のような実に魅力的な空間です。
季の美 LEON.JP 京都蒸留所
▲ 1階奥にある会員制バー「ジンパレス」。
コロナ禍のオープンとあって「季の美 House」の営業はオープン当初は思い通りにはいかなかったそうですが、街中に最前線基地を得たことで「季の美」は京都人にとっても京都を訪れる観光客にとっても、より身近でインパクトの強い存在になったことは間違いないでしょう。近々、店内に新たなバースペースも増設されるそうで、そちらはさらにマニアックなこだわりの強いバーになりそうとのこと。
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カクテルオンリーからジンそのものを味わう方向へ 

また京都蒸溜所では「季の美 House」以外にも京都市内の何軒かのバーとコラボして定期的に「季の美」を使ったカクテルを提供するほか、地元のバーが自主的に「季の美」を使ったカクテルを創出するなど、「季の美」は京都人のジンとしてすっかり定着しています。お話を伺った老舗のバー「K6」のマネジャー西尾博之さんも「地元のジンということで蒸溜所の創設当初から注目し、自分たちの街のジンとして応援を続けています」とのこと。いただいた「季の美 京都ドライジン」カクテルの何と美味しかったこと!
この春、大手メーカーから「ジンソーダ」が缶で売り出され大きな話題となったり、クラフトジンも次々と新規参入が増えて、今、国内にはジンを造る蒸溜所・製造所が80カ所以上あるなど、ジャパニーズジンの勢いはますます増しているようです。

その中でジンの楽しみ方もさまざまな広がりを見せています。オヤジさんにとってはジンフィズやジンバック、そしてドライマティーニなどカクテルでお馴染みのジンですが、カクテルベースとしての能力が高いのはもちろん、近年はストレートやロック、ソーダ割に水割りなど、ジンそのものの味わいを楽しむ傾向が強まってきたといいます。
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確かに「季の美」でも、樽やボタニカルの配合を変えるなどしてさまざまな種類の新製品が生まれ、いずれも好評を博しています。今回はブレンドする6種類の原酒を試飲させていただきましたが、いずれもそのままスピリッツとしていただいても美味しいものばかり。ジュニパーベリーが入らなければジンではありませんが、この原酒を欲しいという要望があるのも納得です。

ますます広がりを見せるジンの世界。ブームには軽やかに乗ってみるべし。ということでオヤジさんにはジンの個性を楽しむためにロックorソーダ割を、バーにご一緒した彼女さんには飲みやすい「季の美」カクテルを。そんな風に彼女とともに、ぜひジャパニーズジンを楽しんでいただければと思います。
季の美 LEON.JP 京都蒸留所

季の美 House

住所/京都市中京区河原町通二条上る清水町358
営業時間/水・木・日12:00~21:00(L.O 20:30)、金・土~22:00(L.O 21:30)
定休日/月曜・火曜
HP/京都のバーで楽しむクラフトジン|季の美 House
TEL/075-223-0457

京都蒸溜所HP/京都で生まれたジン蒸溜所 京都蒸溜所 

“京都に染まる”プロモーション

東京・横浜、大阪エリアでは、京都が美しく紅葉に染まる秋のシーズンに、“京都”と“季の美”をより身近に感じてもらう“京都に染まる”プロモーションを実施中。参加店舗では、京都らしさをより深く愉しめる飲み方で「季の美」カクテルを提供。
実施期間/~11月30日(水)
対象店舗/東京都内、横浜市、大阪府内のオーセンティックバーを中心とする飲食店
※対象店舗については「季の美 京都ドライジン」のInstagramをご覧ください。
Instagram/https://www.instagram.com/kinobi_jp/

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