ロースかつ、食べてますか?
若いころ、好きな男のタイプを聞かれるたびに「とんかつはヒレよりロースを選ぶひと、ステーキはフィレよりサーロインを選ぶひと」と答えてきました。つまり、肉は脂にこそウマさの醍醐味があるのだし、その脂をワシワシと平らげるような胃袋マッチョな男こそ私にふさわしいと考えてきたわけです。
ところが人生も後半にさしかかった今、当の私がそんじょそこらのロースカツではちょっと重たく感じるようになってしまいました。
2週に一度は食べていたステーキも、上質なフィレ肉を200g食べたらもう充分満足、なんて。
焼肉屋にいってもカルビよりロース、だなんて。
シミもしわもそんなに目立たないつもりですが、老化はまず内臓から忍び寄ってくるのですね。

脂の旨味と香りはもちろんのこと、さっくりとした歯切れの良さや、ロゼになりすぎていない揚げ具合(さいきん、ロゼ色のとんかつが流行っていますね。私の場合は、ロゼすぎないほうが好み)、そして、ここからがもっとも重要なのですが、脇役であるごはん、味噌汁、つけもののトリオがそれぞれ素晴らしいクオリティであること。
「とんかつ七井戸」のロースかつ定食は、とんかつとキャベツ、ごはん、味噌汁、つけものが、それぞれを引き立てあう、バランスのよい完全食(あくまで私にとって、ですよ)なのでした。もちろん食べ終わっても胃がもたれる、なんてことはありません。それどころか、もうちょっと食べたいな、と後をひく美味しさです。

そして脇を固めますのは・・・その日の朝市場に出た新鮮なキャベツのせん切り、一升ごと羽釜で炊いたものをお櫃で保存するからほどよく水気の飛んだごはん、京都「志ば久」の生しば漬け、三種のみそをブレンドして提供直前に温めるので味噌の香りが高い味噌汁・・・と、もう完璧な布陣なのであります。
その結果、「メインのとんかつだけが美味いんじゃなく、ごはん、味噌汁、キャベツ、つけもののすべてが丁寧でバランスがよいのが僕の理想」だと考えるようになり、この「とんかつ七井戸」のオープンを迎えたというわけです。ロケーションも「焼鳥 今井」のお隣ということで、細かいところまで今井さんの目が届くとんかつ店が生まれました。


私の理想の食べ方はまずチキンカツ(単品)で一杯飲んで、その後上ロースかつ定食で〆る、かな。
さらにお土産にパーラー江古田のパンを使用した「かつサンド」を持って帰る、なんてフルコースでのお楽しみも用意されています。


■ とんかつ七井戸
住所/東京都渋谷区神宮前3-42-11
予約・お問合せ/080-8190-1331
営業時間/11:30~15:30、火~金18:00~20:00(L.O.)20:30閉店
定休/日曜・月曜