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2019.01.10

日本酒で振り返る平成の30年、そして次なるXXの時代へ ──

平成の30年間を振り返る日本酒12種をお得に飲めるイベントと、新時代を予感させる日本酒の新しいカタチ「長谷川栄雅 六本木店」に注目!

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文/秋山 都 写真/吉澤健太

毎回、旬のレストランや話題の新店をご紹介していく連載「美食のネタ帖」。「なんか面白い店ないかなぁ」「最近どこか行った?」と聞かれることが多いLEON.JP食いしん坊担当がガチでおすすめなお店を紹介いたします。本連載ではお店を選ぶ際に、この3点をセレクトの条件としました。

1. 高くて美味いは当たり前。たまには贅沢できる適度な価格帯であるべし。

2. 予約がとれない名店は高嶺の花。会員制や紹介制ではなく、実際に電話が通じるお店であるべし。

3. 大通りの洒落たハコばかりではなく、路地裏のひっそりとした名店を探すべし。縄のれんや赤ちょうちんを嫌う女子はこちらから願い下げるべし。

つまりは、高すぎなくてコスパよく、居心地よくて実のあるお店、というわけ。当方、かなりお酒を“たしなむ”タチですので、どうしても酒飲みに寄りがちな内容となりますが、その点はご容赦のほど。

さて、その第3回は平成の30年間を振り返り、また次の時代へとつないでいく「日本酒」のお話。

平成の30年を日本酒で振り返ってみよう

年末年始……お酒を飲みすぎましたか? 「いや、意外にそうでもないんだよね」という方、多いかも。というのは、この30年間で、日本でお酒を飲む人は減少傾向にあるのです。平成4年に成人ひとりあたり年間101.8L消費していたお酒が、平成28年には80.9Lまで減っており(国税庁調べ=以下同)、母体となる成人自体も減少傾向にあることを考えれば、飲酒の習慣をもつ人が減っている……とはまぎれもない事実のよう。

そして、日本酒の国内市場自体も小さくなっています。たとえば平成10年に1,133KLだった国内出荷量は、平成27年には553KLとほぼ半減してしまいました。
「ほんとに~? ボク、こないだ『獺祭』飲んだのに」
というアナタ、はい、ナイスなツッコミです。

縮小傾向にある日本酒市場のなかで、特定名称酒、いわゆる吟醸酒、純米酒、本醸造酒は、生産量も売り上げも微増傾向。つまり、飲酒する人が減っていて、市場全体が小さくなっているのに、特定名称酒だけが成長している、とは、かなりコアな日本酒ファンは増えている、ということ。普通酒、いわゆるパック酒などの消費が激減している、ということなのですね。
つまり、この平成の30年は、日本酒が「とりあえず飲む」安価な酒から、「こだわって」「選んで」飲む「吟醸酒」や「純米酒」へとイメージを大きく変えた転換期だったというわけ。さらに平成の後半からは日本酒の海外進出が進み、世界に通用する「SAKE」としてのブランドを確立させた大事な時期でもありました。

そこで、この平成30年の日本酒ムーブメントを飲みながら振り返れるというユニークな企画が行われていると聞き、「日本の酒情報館」へ行ってまいりました!
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「日本の酒情報館」とは1,730もの日本酒・本格焼酎の蔵元が加盟する日本酒造組合が運営する、いわば日本酒のアンテナショップ。ここでは常時100種ほどの日本酒が試飲できるのですが、この1月18日までは「平成を彩った日本酒フェア」を開催中。この30年間を5年ごとに飲みながら振り返ることができるという、飲んべえにはたまらない試みです。

● 平成元年~平成5年(1989-1993)

左から、淡麗辛口の代表格「八海山 特別本醸造」/八海醸造(新潟県)、「開運 特別純米」/土井酒造場(静岡県)、長期熟成させた「木戸泉 秘蔵純米古酒 5 年」/木戸泉酒造 (千葉県)
東西ドイツが統一(平成2年)され、湾岸戦争が勃発(平成3年)。日本では、バブルが崩壊しましたが、まだまだ景気は悪くなく、浮かれた気分が続いていたっけ。日本酒の世界では平成元年に特級が、平成 4 年には級別が廃止され、級別に代わる指標として「特定名称」を導入。吟醸・純米などの名称が一般的に使われるようになりました。

久保田、越乃寒梅など新潟のお酒が人気だったこのころ。淡麗辛口が好まれ、「上善如水」を本当に水のようにガブガブ飲んでいたなぁ。テニス合宿の飲み会での思い出です。

● 平成6年~平成10年(1994―1998)

左から、地域の酵母を開発した「亀泉 純米吟醸原酒 CEL-24」/亀泉酒造(高知県)、女性杜氏を登用した「富久長 純米吟醸 八反草」/今田酒造本店(広島県)、生酛造りで名高い「☩旭日 生酛純米」/旭日酒造(島根県)
阪神淡路の大震災と地下鉄サリン事件で日本が大きく揺らいだ平成7年。新しい酒の模索はさまざまな地域の酵母開発につながり、びっくりするような華やかな香りの酵母が開発される一方で、生酛造りなど伝統的技術や燗酒の魅力も見直されるようになりました。また86年から施行された男女雇用機会均等法のおかげか、女性杜氏の活躍もこのころから盛んになってきました。
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● 平成11年~平成15年(1999-2003)

左から、自社田の米で一貫生産した「天の戸 美稲」/浅舞酒造(秋田県)、 無濾過生原酒の「会津中将 生純米原酒 無濾過初しぼり」/鶴乃江酒造(福島県)
前年に発売されたWindows98が大ヒット。2000年問題も取りざたされ、IT革命というキーワードに翻弄された21世紀のはじまりでした。平成11年にはNTT DOCOMOが「iモード」サービスを開始。このころ携帯を買ったという方も多いんじゃないでしょうか。

日本酒業界では、自社の田んぼで酒米を栽培して酒を造る一貫生産や、無濾過生原酒などさまざまなバラエティが登場。このころから蔵元や杜氏が自ら情報発信するスタイルが見られるようになりました。

● 平成16年~平成20年(2004-2008)

左から、世界に通用する酒を目指した「獺祭 磨き二割三分」/旭酒造(山口県)、外国人杜氏を誕生させた「玉川 純米吟醸 祝」/木下酒造(京都府)
「ヨンさま~♡」と世のお姉さま方が黄色い声を上げていた冬ソナ(冬のソナタ)ブーム到来。今に続く韓流人気はこのころ始まったのでした。韓国がスターやアイドルを海外へ輸出するのと時期を同じくして、日本酒の海外進出も本格的になったこのころ。世界的な権威あるワインコンテスト「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」に「SAKE部門」が新設(平成19年)され、海外市場を視野に入れた酒が造られるようになりました。
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● 平成21年~平成25年(2009-2013)

若手蔵元杜氏の活躍がめざましい「モダン仙禽 亀の尾」/仙禽(栃木県)
リーマンショック(平成21年)により日本経済も冷え込みました。そして東日本大震災(平成23年)……私はこのころ自身が編集長をしていた雑誌が休刊し、発行人が負債を抱えたまま行方をくらますという事件に見舞われ、大きな穴に落ちたような気分でした。その時からまだ10年も経っていないとは、なんだか信じられないような心持ち。「一陽来復」という言葉をこのときほど頼みにしたことはありません。

それはさておき、暗い社会背景の中で、日本酒業界で明るい話題を提供したのは、若手の蔵元や杜氏たちでした。平成19年に8蔵元でスタートした「若手の夜明け」など、若手蔵元たちが独自に開催するイベントが、新しい日本酒のファン層を拡大するきっかけとなりました。

● 平成26年~平成30年(2014~2018)

スパークリングの「天山Dosage Zero」/天山酒造(佐賀県)
東京オリンピック招致が決定し、和食が世界無形文化遺産登録されるなど、「日本」や「和」というキーワードに注目が集まりだしたころ。日本酒もシャンパンのようにスパークリングで、食中酒として用いるスタイルが流行しています。4合瓶で数万円するような高価格帯の商品が登場し、日本酒専用セラーや、リーデル社による純米酒専用グラスなど、日本酒まわりのアクセサリーも充実してきました。

さあ、日本酒で振り返る平成の30年はいかがでしたか?
この12種のお酒をすべて最大30mlずつ飲んで、なんと1500円という太っ腹な企画がこの「平成を彩った日本酒フェア」。スタンプラリー形式なので、1度で飲み切らずに何度も通う楽しみも残されており、これは行かずにはおけませんね。1月18日までなのでお早めに!

■ 平成を彩った日本酒フェア

日時:2018年12月18日(火)~2019年1月18日(金) 10:00~18:00 ※土日、祝日除く
場所:日本の酒情報館(東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル1F
料金:1500円
※1種類1杯(30ml )まで。全12種類の日本酒を試飲可能
URL:http://www.japansake.or.jp/sake/know/data

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◆ 長谷川栄雅 六本木店

さて、平成の30年を振り返りますと、では次代の日本酒がどうなっていくのか、おのずと見えてくるのではないでしょうか。
特定名称酒である吟醸酒や純米酒でありながら、ワインのようにテロワール(酒で言うなら田んぼや水)にこだわったり、瓶内熟成を考慮してヴィンテージを記載するボトルも増えてくることでしょう。そうそう、ボトルについては、外国人にもわかるよう、内容を漢字だけで表記するのではなく、アルファベットで表記するのも大切。また、日本酒を造って販売するだけではなく、料理とのペアリングを提案するなど、体験できる場も増えていくことでしょう。

……と、イメージがふくらんでいたところ、新時代の日本酒像を見事に具現化してくれているスポットがこのほどオープンしました。
六本木、新国立美術館からほど近く、スタイリッシュに佇む「長谷川栄雅 六本木」。
このアートギャラリーのような内装に驚きますが、こちらが兵庫県播州で寛文6年(1666年)創業と、350年もの歴史をもつヤヱガキ酒造のアンテナショップ。その最高級ラインである「長谷川」と「栄雅」を販売する専門店「長谷川栄雅 六本木」というわけです。
左から、「栄雅 純米大吟醸」30,000円(720ml)、「長谷川 純米大吟醸三割五分」15,000円(720ml) 、「長谷川 純米大吟醸 五割」10,000円(720ml)、「栄雅 特別純米」25,000円(720ml)、「長谷川」特別純米5,000円(720ml)/すべて長谷川栄雅 六本木(ヤヱガキ酒造)
4合瓶で3万円! もちろん最高級ラインたるもの、高価格にはそれなりの理由があります。「栄雅」は兵庫県の特A地区から小沢地区産の山田錦だけを厳選して100%使用。もろみを酒袋に詰めて自然な重力だけで絞る袋搾りなど伝統的な製法で造られています。まさにヤヱガキ酒造350年の粋を集めた渾身の1本と言えるでしょう。
白一色でアートギャラリーのようなスペースの奥に、茶室のような空間が。
それらのお酒を購入するだけではなく、きちんと試飲できるのがこのスペース。まるで茶室のように静謐な空間に、ここが六本木であることを一瞬忘れそうになります。
そしてこの5種のお酒を、なんとそれぞれ最高のペアリングを追及した酒肴とともに楽しめるんです!
試飲体験メニュー5000円は5種のお酒を各40mlずつ、酒肴とともに楽しめる。
左から、「八女茶の玉露のお浸し」「ポロネギとフランス産黒トリュフ」「わさびクッキー」「九州産トマトと柚子胡椒」「酒粕と熊本赤牛の生ハム最中」
「栄雅」「長谷川」にピタリとハマる酒肴を監修したのは福岡の名店〈La Maison de la Nature Goh〉の福山剛シェフ。今後は季節ごとに食材やシェフを変更していくというから、何度でも足を運びたくなる東京の新名所が誕生しました。

造り手がダイレクトに消費者とコミュニケーションを取る場を造るとは、なんと斬新な発想。まさに新時代の日本酒を味わえる「長谷川栄雅 六本木」でアぺ、なんて粋な使い方がおすすめです。今年はますます日本酒のおいしさに目覚めそうだなぁ。

◆ 長谷川栄雅 六本木

住所/東京都港区六本木7-6-20 1階
予約・問い合わせ/03-6804-1528
営業時間/12:00~20:00
定休日/火曜
試飲体験/¥5000(税別)(1名様)、1組4名まで、1日5組限定で前日までに要予約。所用時間:約40分

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