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2018.03.18

知らないと損!? 最新ランニングシューズは何がスゴいのか?

ナイキやアディダスといった著名スポーツブランドの名作ランニングシューズには、驚くべきソールのテクノロジーが搭載されています。それはいまどんな進化を遂げているのか? 興味深い歴史とともにお伝えします。

CREDIT :

写真/小林孝至(itaru studio) スタイリング/稲田一生 文/南井正弘 編集/長谷川茂雄

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ミッドソールの誕生から機能戦争の時代へ

ランニングシューズの履き心地を決定づけるのは甲を包むアッパー部分だとしたら、走り心地に大きな影響を与えるのはソール部分。特にアッパーと実際に地面に触れるアウトソールの間に配されるミッドソールと呼ばれるパーツの良し悪しで、走り心地のかなりの部分が決まるといっても過言ではありません。今回はそんなミッドソールの歴史を振り返りつつ、アディダスとナイキの話題の素材にも注目してみました。

アッパーとアウトソールの間にあるミッドソールと呼ばれる衝撃吸収性を確保するためのパーツは、現在のスポーツシューズでは当たり前の存在となっていますが、登場したのはそれほど昔のことではありません。かかとからつま先まで、このパーツが使用されるようになったのは、'60年代末期から'70年代初頭にかけてで、ひとつの完成形として最も有名なのはナイキのボストンというレーシングシューズ。

1972年に登場したこのモデルのフルレングスでミッドソールを採用するというアイディアは、ナイキの前身BRSの社員がビーチサンダルを見て、「スポーツシューズにもこんな感じのスポンジの層をアッパーとアウトソールの間に挟んだらクッション性が良くなるのでは?」という発想から。

このミッドソールというパーツが誕生してから、スポーツシューズのクッション性は飛躍的に向上することになりました。そして当初はゴムを発泡させたラバースポンジがミッドソール素材として広く使用されていましたが、のちにエチレンビニールアセテート(以下EVA)という、より軽量でクッション性に優れた合成樹脂が登場し、高機能シューズにはこちらが使用されるようになり、さらにはポリウレタンという合成樹脂も登場。
スポーツシューズのミッドソール素材は軽量なEVAミッドソールと、多少重くはなりますが、クッション性と耐久性に優れるポリウレタンミッドソールに二分されることになります。

1979年に正式発表されたテイルウインドに初搭載された"ナイキ エア"を始めとして、アシックスは"αゲル"、リーボックは"ERS"というように、各ブランドがクッション性向上のための独自のテクノロジーを次々と発表します。そして、'80年代から'90年代にかけては「クッショニング戦争」と呼ばれる時代が続きます。
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ナイキ エアが初搭載された"ナイキ テイルウインド"は、1979年に正式発表され、従来にない衝撃吸収反発性をランナーに提供しました。
ナイキ エアが初搭載された"ナイキ テイルウインド"は、1979年に正式発表され、従来にない衝撃吸収反発性をランナーに提供しました。
1986年にデビューしたアシックスのフリークスαは、衝撃吸収性を追求したマテリアルのαゲルを初めて採用。
1986年にデビューしたアシックスのフリークスαは、衝撃吸収性を追求したマテリアルのαゲルを初めて採用。
しかしながら、ミッドソール自体は、EVAかポリウレタンの素材という二択で、それになんらかの機能をプラスするという手法は、基本的に30年以上変化がありませんでした。

アディダスがミッドソール素材に革命を起こす

21世紀に入ると、2001年ナイキが"ナイキ ショックス"を、2009年にホカ オネオネがゆりかご状の極厚ミッドソールを、2010年にはOnが"クラウドテック"を発表するなど、スポーツシューズブランドは、エンジニアリング、すなわち工学技術を駆使したテクノロジーを発表しましたが、前述の通りミッドソール素材は大きく変化しませんでした。
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2009年に誕生したホカ オネオネは、独自の極厚ミッドソールでスポーツシューズ業界に大きなインパクトを与えました。写真は、2015年発表のクリフトン2。
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2010年創業のスイスのOnは、"クラウドテック"というスイスエンジニアリングで比類なきクッション性を実現。写真は創業モデルとなった初代クラウドサーファーです。
ところが、2013年にアディダスがミッドソールマテリアルに変革をもたらします。それがブーストフォームです。

発泡スチロールのような独特な凹凸のある外観で、ランニングシューズのエナジーブーストに初搭載されたこのマテリアルは、従来のEVAやポリウレタンを遥かに凌駕する衝撃吸収性と反発性を確保することに成功しており、登場以来数多くのアスリートを魅了。5周年を迎えた現在もアディダスを代表するクッショニングテクノロジーのポジショニングをしっかりとキープしています。
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2013年にリリースされたアディダス エナジーブーストのミッドソールには、高次元で衝撃吸収性と反発性を両立したブーストフォームを初搭載。
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アディダス オリジナルス(アディダスグループお客様窓口)
2万2000円/アディダス(アディダスグループお客様窓口)
ウルトラブーストのアウトソールには、自動車用タイヤでも有名なコンチネンタルラバーを使用しています。優れたグリップ性と耐久性はお墨付きです。
そんなブーストフォームをミッドソールに100%使用したウルトラブーストは、アディダスのみならずスポーツシューズ全体の歴史においても屈指のクッション性を誇るプロダクトであり、そのスタイリッシュなデザインからランナーだけでなく、ファッショニスタからも高い支持を得ることに成功しました。
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ナイキからも新感覚のミッドソール素材が誕生!

2018年2月22日、ナイキから新たなミッドソール素材を使用したランニングシューズがリリースされました。それがナイキ リアクト テクノロジーを採用した"ナイキ エピック リアクト フライニット"です。

2017年6月にバスケットボールシューズに初搭載され、多くのバスケットボールプレーヤーから高い評価を得たクッショニングテクノロジーが、ランニングカテゴリーでも採用されることになったのですが、このプロダクトはこれまでのランニングシューズが追求しつつ、なかなか実現することが困難であった「クッション性」「反発性」「軽量性」「耐久性」、この4つの機能性を同時に確保することを目指しています。
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ナイキ エピック リアクト フライニットは、つま先とかかとの本当に必要な部分のみにラバーアウトソールを使用することで、抜群の軽量性も実現しています。1万5000円/ナイキ スポーツウェア(ナイキ カスタマーサービス)
実際にこのシューズを履いた最初の感想は、軽いということ。そして走り始めると素材の柔らかさを足裏に感じ、次にストライドごとに押し返すような感覚を与えてくれます。

このナイキ リアクトは、その優れた機能性で世界中のランナーから愛されたナイキ ルナ エピック2よりも5%軽く、11%柔軟で、反発性能は10%向上しています。自分が日課としている6kmランを走り終えるころには「どのランニングシューズを履いているときより走っていて楽しいかも!?」という感覚を得ることができました。

ナイキ エピック リアクト フライニットは、シリアスランナーはもちろん、これまで「ランニングを始めても三日坊主で終わっていた……」「走っている途中で足裏やヒザが痛くなって走るのを止めた……」というランニング初級者にも試してほしい1足ですね。現状もっとも旬なテクノロジーは、走ることの楽しさを再確認させてくれるという意味でも、史上最高の機能を持っていると言えるかもしれません。

■ お問い合わせ

ナイキ カスタマーサービス 0120-6453-77
アディダスグループお客様窓口 0570-033-033

● 南井正弘(Masahiro Minai)/ フリーライター、ランナーズパルス編集長

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「ランニングスタイル」「スポーツナビDo」「「SHOES MASTER」「デジモノステーション」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナーで、ランニングギアマガジンとウェブサイトの「Runners Pulse」の編集長も務める。ベストタイムはフルマラソンが3時間56分09秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。

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