2017.10.19

日本の高級メガネは世界一? 鯖江の歴史

いまやラグジュアリーブランドのアイウェアをも手掛ける福井県鯖江市。世界に誇るメガネ産地の誕生には、一世紀以上に及ぶ切磋琢磨の歴史があったんです。

CREDIT :

文/竹石安宏(シティライツ)

いわゆるラグジュアリーブランドのメガネやサングラスを手にしたとき、テンプルの内側に“Made in Japan”という表記を見つけたこと、ありますよね? そう、我が国ニッポンは、なにを隠そうイタリア、中国に並ぶ世界三大メガネ生産国のひとつ。

なかでも少なくない数のラグジュアリーブランドが、ここ日本で高級アイウェアを生産しているという事実は、我々日本人としては誇らしいことかと。

で、そんな日本製のメガネのうち、実に95%以上を生産しているのが、福井県鯖江市です。つまり、ほとんどの日本製ラグジュアリーアイウェアは鯖江で作られているといっても過言ではなく、いまやSabaeは海外の業界人やメガネ好きにも知られる存在。

では、なぜゆえ鯖江は、そこまでの存在となり得たのか。その長い道のりを紐解いてみましょう。

日本のメガネ作りを導いた先人たち

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眼鏡フレームの製造風景/鯖江市
さて、鯖江の歴史を振り返る前に、まずは日本におけるメガネの歴史を軽〜く振り返ってみましょう。日本に初めてメガネがもたらされたのは戦国時代、かのフランシスコ・ザビエルによるといわれています。以降は長らく、ヨーロッパからの渡来品を幕府の役人や大名といった、特権階級の人々が身につける時代が続きました。
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国内で本格的なメガネ生産が始まったのは、明治に入ってからです。文明開化によって印刷技術が向上し、新聞や書籍が一般にも普及。それに伴ってメガネの需要も高まるわけですが、当時の日本にはまだ近代的なメガネ生産技術はなし。
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で、政府は1873年、技術者の朝倉松五郎(現・朝倉眼鏡の創業者)を欧州に派遣。彼は機械によるレンズ研磨技術を習得して帰国し、それまで江戸の職人が手で磨いていたレンズの大量生産が可能になります。これを機に東京や大阪などの都心近郊で、近代的なメガネ産業が興ったのです。
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増永五左衛門/提供:増永眼鏡株式会社
そんなメガネの隆盛にいち早く着目したのが、鯖江のメガネ産業の父といわれる増永五左衛門(現・増永眼鏡の創業者)。彼が生まれ育った生野(現・福井市生野町)は山間に位置し、冬になると雪に閉ざされる、貧しく小さな農村でした。

そんな生野を豊かにしたい。その一心で村会議員になった五左衛門は、1905年にメガネ工場を生野に建造。大阪からメガネ職人を技術指導員として招聘し、メガネ生産をスタートさせます。

比較的小さなスペースで事足りるメガネ製造は、山間で広い土地が少ない生野に合っており、農民たちの農閑期の副業にうってつけだったのです。
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高度な技術で鯖江からSabaeへと大躍進!

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鯖江市で眼鏡製造を行う女性たち/鯖江市
五左衛門のメガネ工場は技術向上に邁進しつつ、順調に規模を拡大。その成功の影響は隣町である鯖江にも波及し、分業制が発達したこともあり、近隣に次々とメガネ製造の関連工場が建つようになります。

そして1935年には、それまでメガネ製造の中心だった東京と大阪を抜き、ついに生産量日本一を達成。戦火を経てもその成長は止むことなく、1960年代の高度成長期にはMade in Japanのクルマやカメラととともに、鯖江のメガネは海外へ輸出されるほどの大躍進を遂げるのです。
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眼鏡フレームの製造風景/鯖江市
こうした鯖江の躍進の原動力は、規模だけにとらわれることなく、つねに技術向上や研究開発を怠らない姿勢に他なりません。その大きな成果といえるのが、1981年に世界で初めて開発に成功したチタン製メガネフレーム

現在ではメタルフレームの主流といっても過言ではないチタンですが、硬くねばりがあり、その加工には専門的かつ高度な技術が必要です。そんなチタンフレーム実用化の快挙は世界でも大きな話題となり、世界中のメガネメーカーや高級ブランドが鯖江の高いポテンシャルを知るキッカケになったというわけです。
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パートナーに選ばれ続けるにはワケがある

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フレームの鋳造/鯖江市
冒頭でお話しした世界三大メガネ生産国は、それぞれ“デザインのイタリア、コストパフォーマンスの中国、技術の日本”と、表現されます。鯖江が100年以上にわたって培ってきたメガネ作りの技術は、いまもって世界でもダントツの優位性を誇っており、自らが高いデザイン力を備えるラグジュアリーブランドがパートナーに指名するのもうなずけるでしょう。

今度、海外のブティックなどでMade in Japanと表記されたアイウェアを見つけたときは、ちょっとだけ鯖江の歴史に思いを馳せてみてください。手にしたアイウェアへの愛着がより増すこと、間違いなしですよ。

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