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2017.09.28

ヴィンテージデニムの市場価格はいま、どうなっているのか?

かつて日本中のオトコを虜にしたヴィンテージデニム。あの熱狂のブームから20年の時を経たいま、ヴィンテージデニムの最新事情を探ってみました。

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写真/八月朔日仁美 取材・文/竹石安宏(シティライツ) 編集/長谷川茂雄 取材協力/ベルベルジン

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いまから約20年前の1990年代中頃、日本中の若者を熱狂させたヴィンテージブーム。フライトジャケットやライダース、スウェットシャツ、スニーカーなどなど、さまざまなヴィンテージアイテムが驚くほどの高値で売買されていましたが、その中心的存在だったのがヴィンテージデニムです。あのなんとも美しいインディゴブルーに当時夢中になった方も少なからずいらっしゃるのでは。では、そんなヴィンテージデニムは現在、どうなっているのか。ブームのただ中から現在までヴィンテージデニムを見つめ続けてきた、原宿の世界的ヴィンテージショップ「ベルベルジン」の藤原裕さんに、市場価格や狙い目のモデルなどについて、現状をおうかがいしてきました。

買うならいま!な、適正価格で憧れの一本をゲット

「あのブームは本当にすごかったですね。アメリカの田舎の小屋で、20世紀初頭のデニムが断熱材代わりに大量に壁へ埋め込まれているのを発見したり、すべて買った日本のバイヤーが最高額1本500万円で売った、なんて逸話もありましたから。まさにアメリカンドリームですよね」
 
このように当時のブームを振り返る藤原さん。そうした“伝説”も当時の古着少年を熱くさせましたが、むろん若造にはとても買える値段ではありませんでした。そんなヴィンテージデニムの市場価格は現在、どうなっているかはやっぱり気になるところ。
 
「90年代の終わり頃にはブームも落ち着き、価格も下がりました。ですが、それはブーム時の価格があまりにも高すぎたためだと思います。たとえば1950年代の革パッチ付きのリーバイス501 XXは、状態がいいと100万円という価格も珍しくありませんでしたが、現在なら40万円くらいです。紙パッチ付きなら20万円台から、ある程度のものが手に入ります。ただし、必然的に当時より数が減っているデッドストックや状態が非常にいいものは、高くなっているものも少なくありません。いずれにしろ、異常なブームを経て、あらためてその価値が冷静に見直された現在は、ある意味“適正価格”になったといえるでしょう」
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お買い得な狙い目はダメージ&ビッグサイズ

一部の“お宝”は別として、ブーム時に比べると手が届くプライスになった感があるヴィンテージデニム。そう、当時は高嶺の花だった一本も、いまなら十分ワードローブに加えられるんです。さらに藤原さん曰く、現在ならではのお買い得なヴィンテージもあるそう。
 
「クラッシュデニムやダメージデニムという言葉すらなかった当時、ダメージがあるものは買い付けすらしないことが多かったのですが、ファッションとして認知されたいまは買い付けています。しかも現行品では加工代がプラスされて高額になるのが通常ですが、ヴィンテージは状態の良し悪しで価値が決まるので逆に安くなり、お手頃な価格で提案できるのです。また、ブーム時は“腰ばき”といって大きめのサイズを腰まで下げてはくのが流行したため、小さなサイズは比較的安かったのですが、ジャストサイズではくのが一般的になった現在は、大きめのサイズのほうが買いやすい価格になっています。このように、最新ファッションの流れが、ヴィンテージデニムの市場価格にも少なからなず影響を与えるのです」
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現在お買い得なプライスでありつつ、今の気分にも合うのがダメージ系のヴィンテージデニム。コチラは1960年代のいわゆるビッグEモデルのリーバイス 501ですが、膝のダメージ&リペアや“ヒゲ”と呼ばれる太もも周りのシワ状の色落ちが、なんともワイルドで男らしい雰囲気を醸し出しています。こんな雰囲気満点のリアルダメージデニムが、これほどのプライスで手に入るとは、実に嬉しいご時世じゃないですか。3万9800円(ベルベルジン)
改めていまワイルドに履きたい気分のダメージデニムや、いまどきなスタイルにドンピシャのゆったりサイズがお買い得とは、なんとも耳寄りな情報です。がしかし、あれから20年も経った現在、そもそも膨れ上がるニーズを満たすほどのデニムはいまの市場に残っているでしょうか。
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炭鉱系からモテるデニムまで深化したヴィンテージ

「クローゼットからお爺ちゃんの1920年代製デニムが出てきたなど、アメリカンドリームのような話はいまもありますね。それと、ここ7〜8年の傾向として、19世紀の炭鉱跡などを考古学的に調査する過程で“発掘”されたデニムが、市場に出回るようになりました。“炭鉱系”と呼ばれるそれらのデニムは、履けるかどうかは別ですが、1800年代のものなどかなり古いものもあり、かつてのブーム時には世に出てこなかったものです。それらの影響もあり、マニアの研究もブーム時より進み、年代やディテールがさらに細かく分類されるようにもなっています。それに70年代から現在まで、40年以上アメリカで古着を買い付け続けている日本には、世界の良質なヴィンテージデニムの半分以上があると思いますね。近年はタイや中国、香港、台湾などでもヴィンテージデニムへの関心が高まっており、徐々に流失していますが、まだまだ日本で素晴らしい一本と出合えるはずですよ」
比較的買いやすくなっただけではなく、より深化しているともいえるヴィンテージデニムの世界。藤原さんの話では、セレブ愛用者の影響から女性誌の取材が多くなり、近頃は女性のお客さんも増えているそう。ブーム時は冷ややかだったヴィンテージデニムへの女子目線も、いまや逆に熱視線、つまりヴィンテージがモテるデニムになった、ともいえるわけです。ブームに熱狂した方も当時を知らない方も、魅惑のヴィンテージデニムの扉を開けるならいまですよ。
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● 藤原 裕(ふじはらゆたか)

世界でも有数の品揃えを誇る、東京・原宿のヴィンテージショップ「ベルベルジン」の店長兼ディレクター。自身もヴィンテージウェアのコレクターであり、業界随一の知識を活かし、ヴィンテージデニムのコレクションブック『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』(ワールドフォトプレス)を2015年に出版。

◆ ベルベルジン

住所/東京都渋谷区神宮前3-26-11 原宿SHビル
営業時間/11:00~20:00
定休日/無休
URL/http://www.berberjin.com/
お問い合わせ/☎03-3401-4666

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