「パリ」にタイムレスのうねり、新旧交代劇に見えてくる本物志向
普遍的な価値を求める「リアルクロージングの波」
パリ・コレクションをLEON的な視点で言うならば、「実用性のある服」の提案でした。エルメスはデザイナーの退任という節目を迎えましたが、いつもと変わらぬ上質で普遍的なワードローブを提案。そこにカジュアルなデイリーウエアの要素を加えたのが、ディオールやドリス ヴァン ノッテンであり、セリーヌでした。

そんな実用性はタイムレスとの融合・両立が多く見られ、ルイ・ヴィトンは、会場内にドロップハウスを設営することで、新しいラグジュアリーの価値観をファッションだけでなくライフスタイルにも波及させることを提案しました。確かな価値に根差したリアルクローズの提案は、読者諸兄にとって日々楽しめるワードローブとなること間違いなし。次の秋冬が楽しみですね。
◆ エルメス
デザイナー・ヴェロニク退任で魅せた集大成
37年にわたりエルメスのメンズウエアを牽引してきたヴェロニク・ニシャニアン最後のショウは、細部へのこだわりと実用性が融合した彼女の変わらぬ信念が込められたものでした。ショー後はポール・ウェラーが登場するサプライズも。

時を経ても色褪せないタイムレスな魅力を証明
全58ルックのテーマは「タイムレス」。なかには1991年に発表したコレクションが再登場しており、いまの時代においても古く見えない、まさにタイムレスなものであることを表現。また、細部へのこだわりは健在で、例えばポケットの内側がレザー張りになっているなど着る者にしか分からない作り込みは、普遍的な価値を誇るものに。

ⒸFilippo Fior

ⒸZoe Joubert

ポール・ウェラー降臨
ⒸVincent Tullo
◆ ルイ・ヴィトン
進化するモダン・ダンディズム
メンズのクリエイティブ・ディレクターを務めるファレル・ウィリアムスが掲げる「ニューダンディ」は、新時代のラグジュアリーを知るうえで重要な示唆に富んでいます。会場の(プレハブ)ハウスは、ハイエンドな住宅の購入・シェア所有ができる「NOT A HOTEL」によるもの。

普遍的なスタイルを最新テキスタイルで刷新
テーマは「タイムレス」。クラシックなテーラーリングに機能性の高い素材を組み合わせることで、リアリティと新感覚が融合。レザーのように見えるシルクナイロンや、しずくのように見えるクリスタルの刺繍などを用いることで、視覚的にも楽しめる「フューチャー・ダンディ」なコレクションに。

◆ ディオール
レジェンドへのリスペクトを込めて
大注目の新生ディオールのアーティスティック・ディレクターであるジョナサン・アンダーソンはフランスのクチュリエ、ポール・ポワレに着想を得たコレクションを発表。歴史と豊かさにヒネリを加え、発展させることで、新たなインスピレーションとして取り込みました。

普遍的な価値を再解釈する試みが加速
ジョナサン・アンダーソンは着飾ることに思いもよらぬ要素を結びつけ、自由な気楽さとともに新旧を衝突させる連想ゲームを提案します。エディ・スリマンやジョン・ガリアーノなど、過去にディオールで活躍したレジェンドデザイナーを彷彿とさせるディテールも見ドコロに。

◆ セリーヌ
男のワードローブここに極まれり
昨年よりアーティスティック・ディレクターに就任したマイケル・ライダーは、メンズウエアを「必要不可欠でパーソナル」なものとしてとらえ、ベーシックなアイテムを上質な素材で仕上げました。「削ぎ落とされた」ワードローブは、まさにリアルクロージングの極み。

人生のあらゆる瞬間に合わせて選ぶ服
プレゼンテーション会場に積み上げられていたのは、色違いのデニムとニット。その周りにチェスターコートやドレスシューズなど、男性のベーシックなワードローブが展示されていました。「誰もが最高の品々を見つけ、それを自分の生活、リズム、スタイルに取り入れられることが大切」と語ります。
2026年4月号より
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