2026.03.10
2026トレンド・リポート【ミラノ編】
ミラノ・コレクションでは、新たな男性像“構築的エレガンス”を再定義
全世界のファッショニスタが注目するピッティ・ウオモ、ミラノ、パリファッションウィークが1月に開催されました。我らLEON編集部員も現場に参加、最新トレンドを調査してきたので、その様子をご紹介!
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文・編集/渡辺 豪(LEON)
「ミラノ」に改めて魅せるディテールが返ってきた
再定義したのは、声を荒らげぬ新たな男性像“構築的エレガンス”
今季のミラノ・メンズコレクションを貫いたのは、伝統的な形式美に現代の感覚を重ね合わせた“構築的エレガンス”の再定義。重厚な素材使いも見られるなか、それらは一見クラシックへの回帰を思わせますが、その本質は懐古にあらず。構築を知り尽くした先に到達した、余裕ある構築──威圧のためではなく、成熟を語るための構築なのです。
それはシルエットを見ても明快で、構築的なショルダーラインが生む“線の強さ”と、優雅に流れるワイドパンツが象徴的。上半身は強気な意志を宿し、下半身は流体のように軽やかに。引き締まったウエストと量感あるボトムスのスタイルが多くのショーで見られました。

しかし、シルエットだけでなく起きているのは、“男性性の再編集”ともいえるでしょう。構築的な服が象徴するのは権威や支配といった旧来的強さではなく、誇示しない強さ、威張らない存在感──言うなれば“静かなる権威”なのです。
ロゴや過剰な装飾、極端なオーバーサイズに代表されるストリートの時代がひとつの区切りを迎えたいま、ミラノが提示したのは若さではなく「重心の低さ」を肯定する男性像。これからのエレガンスとは、成熟したオトコの軌跡といえるものになるでしょう。
◆ ドルチェ&ガッバーナ
さまざまな強さをもつ男性像を再編集
90年代からいまにいたるまでに発表されたデザインコードを再編集した「The Portrait of Man」がテーマ。各ルックを心理的かつ服飾的な自画像として構成し、多面的な男性像をいまどきに再編集しました。ボリューミーなレザー&デニム、ワイドラペルのスーツなど、シルエットで魅せる強さは、さすが。


◆ ジョルジオ アルマーニ
光と風を味方につけた真エレガンス
ジョルジオ・アルマーニが逝去してから初のコレクションであり、レオ・デル・オルコが指揮を執った。光がを受けてその様子が変化する“カンジャンテ”効果からインスピレーションを受け、その素材感とシルエットの迫力を全面に感じさせる優雅なスタイリングが多数。ドレープの美しさはならではの魅力。


◆ ポール・スミス
若々しく教条主義的でない軽やかなオトコ
「宝物を集める喜び」を起点に、ブランドの55年にわたるアーカイブからコレクションを再編集。リラックスフィットのジャケットや、帽子、アクセサリーの合わせで個性を発揮し、らしさ溢れるスタイルを展開。今回新たにメンズデザインの責任者になったサム・コットンとの見事な共作でした。


◆ ゼニア
素材の強さを最大限に生かす現代の優雅さ
ゼニア家のクローゼットをメタファーに、世代を超えた記憶とクラフトマンシップを融合させたコレクションは、まさに構築的エレガンスを体現。アレッサンドロ・サルトリが4世代にわたるアイテムを再解釈し、カシミア、ウールなどのクラシックな最高級素材を用いて現代的なリラックスフィットで仕上げました。


◆ プラダ
線の強さと美しき経年変化で無二のスタイルに
ボリューミーなシルエットが大勢のなか、コンパクトなラインが線の強さを強烈に際立たせました。考古学的な手法を用いてミウッチャ・プラダとラフ・シモンズが手がけたのは、素材の経年変化のみならず、食べ残しや傷など日常生活の跡の美しき落とし込み。各ピースに哲学的なアプローチが光ります。


2026年4月号より
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