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2023.04.23

春夏にはきたい軽・薄靴のこなしをプロが指南【内田 光編】

大人のボートモカシンで整う軽快さと上品さ

春夏らしさを印象付けるアイテムとして重要なシューズ。着こなし達人は軽くて薄仕立て、そしてファッション感度の高い一足を抜からず選びます。そして、そんな注目シューズをどう生かすか? お洒落にキメる要点を伺ってみました。

CREDIT :

写真/多田 悟(Rooster) 編集・文/長谷川 剛(TRS)

トラッドな味わいにエレガントな要素をプラス

坂下康平
“お洒落は足元から”と言われるように、完成度のある服装を目指すなら靴選びは慎重に行うべきです。特に春夏シーズンは、装いが簡素になるぶん、靴や小物が大きな存在感を放ちます。そんなこれからの季節、達人たちはこぞって「ケーハクな(軽くて薄い)シューズ」を選んでセンス良く履きこなしているのです。

アパレル系インポート企業のエスディーアイに勤める内田 光さんも、こだわりを持つ洒落モノのひとり。今季はボートモカシンタイプのケーハク・シューズを軸に、軽やかな装いを楽しんでいると言います。

お洒落上手で評判の内田さんが今季選んだ一足は、イタリアはフェランテのボートモカシンタイプ。フェランテと言えばナポリの靴匠として、しなやかで上品なローファー等にて本誌でも高い人気を得ているブランドです。

今季はボートモカシンを巧みにアレンジしたモデルをリリースし、密かに話題となっているのです。
シューズ4万9500円/フェランテ(ユナイテッドアローズ)
▲ イタリアはナポリの実力派フェランテが、日本屈指のセレクトショップとタッグを組んで作りだした大人のボートモカシン。トラッドやアイビーアイテムとしても知られるボートモカシンを、高級靴の手法にて仕立てているところがポイント。4万9500円/フェランテ フォー ユナイテッドアローズ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
内田 実はこの一足、フェランテとユナイテッドアローズとのコラボモデルであり、非常に今季らしいポイントが込められた新作なんです。

トラッドな意匠を持つボートモカシンタイプでありつつ、高級な本格仕立てを貫いており、ドレッシーなエレガンスを兼備するところが特徴。カッチリ見える要素としてアッパーはフルレザーを奢りつつ、本格革靴風のヒールリフトを備えています。

ゆえにカジュアルな装いを大人っぽく、そしてテイラードジャケットとも合わせられる一足となっているんです。
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ソールはデッキシューズの定番であるラバーのホワイトソール。しかしこの新作にはドレスシューズのようにヒールリフトがプラスされています。ここが「大人モカシン」たるゆえんです。
▲ ソールはデッキシューズの定番であるラバーのホワイトソール。しかしこの新作にはドレスシューズのようにヒールリフトがプラスされています。ここが「大人モカシン」たるゆえんです。
たしかに履きつぶし系のアメリカンなボートモカシンやデッキシューズなどとは異なり、ラテンの色気と気品を感じさせる仕上りです。そんな一足を、まずはカジュアルに合わせたスタイルから披露していただきました。

トラッドなクリケットセーターを軸とした装いは、非常に知的で今っぽい雰囲気。しかもスッキリとした洒落感が目を引きます。
セーター4万4000円/グランサッソ(エスディーアイ)、他は内田さん私物
▲ モノトーンの色使いがモダンな雰囲気のクリケットセーターは、ニットの名手、グランサッソのもの。ホワイトジーンズはイザイア。挿し色をあえて排した装いが知的なエレガンスを感じさせます。セーター4万4000円/グランサッソ(フローエンス トーキョー)、他は内田さん私物
内田 ポイントのひとつは着こなしの色使いを抑えていること。カジュアルの場合、あれもこれもと気軽に要素を詰め込みがち。ですが、フェランテのシューズの持つダーク&ホワイトというトーンに則し、モノトーンにて着こなすと、スマートな印象に仕上るのです。
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セーターの素材はコットンリネン。ミドルゲージの編み目も加わり平板ではなく豊かな素材感を感じさせるポイントとなっています。また、インに着込んだシャツは普通のTシャツではなくニットT。こういったところも高級感を損なわない気遣いです。
▲ セーターの素材はコットンリネン。ミドルゲージの編み目も加わり、平板ではなく豊かな素材感を感じさせるポイントとなっています。また、インに着込んだシャツは普通のTシャツではなくニットT。こういったところも高級感を損なわない気遣いです。
ご覧のとおりセーターはグレー系でパンツはホワイトデニム。クラシック・スポーティなコーディネートがキマっています。要素としては白スニーカー等と置き換えられるスタイリングですが、レザーメイドのボートモカシン、しかもヒールリフト付きということで、大人っぽいパッケージとなっています。

もちろんこういった軽装を大人っぽく仕上げるために必須となる小物選びに関しても、流石はプロ。ブレスレットも時計も高級メゾンかつ装いのトーンと揃えたチョイスにはアタマが下がります。
バブアーといえばラギッドなワックスドコットン素材がつとに有名。着用しているうちに油分が抜けて、味わい深い表情を見せるのがポイントです。
▲ 時計は1960年代のジャガー・ルクルト。抑制が効きつつ洒落感も併せ持つデフォルメされたローマ数字インデックスがエレガント。ちなみに指輪は友人が手掛けるブランド、バケーションのものであり、反対の腕に付けたブレスレットはエルメスのシェーヌ ダンクル。
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内田 足元ですが、こういったボートモカシンなどのスリッポン系は、基本素足やヌードソックスにて履くのがお約束。そしてその場合、パンツの丈も留意すべきだと個人的には考えます。

細かく話すとパンツの裾幅も関係してくるのですが、通常よりも少しだけ短めに裾上げしています。くるぶしよりもやや上位置でしょうか。このくらいが軽快かつヌーディな雰囲気も引き立つように思っています。
ピッチの広い白ステッチや2穴の外バネ様式、足入れ口をシューレースがグルッと回ったデザインなど、往年のボートモカシンスタイルを踏襲したフェランテの一足。トラッドかつ高級レザーを用いスマートな木型にて作ったモカシンは実にエレガント。素足履きにより大人の色気も感じさせます。
▲ ピッチの広い白ステッチや2穴の外バネ様式、足入れ口をシューレースがグルッと回ったデザインなど、往年のボートモカシンスタイルを踏襲したフェランテの一足。トラッドかつ高級レザーを用いスマートな木型にて作ったモカシンは実にエレガント。素足履きにより大人の色気も感じさせます。
非常に大人が履きやすいポテンシャルを持つフェランテの新作ボートモカシン。お次にはドレッシーなオフスタイルの着こなしテクを見せていただきました。軸となるのは10年来愛用中のネイビージャケット。すっきりしつつ、大人のしっとりした洒落感を感じるルックです。
愛用のネイビージャケットをまとったリゾートスタイルに、スマートなボートモカシンが非常にマッチしています。中に着込んだスキッパーシャツはグランサッソ。そして2プリーツパンツはイガラシ トラウザーズ。いずれも内田さん私物
▲ 愛用のネイビージャケットをまとったリゾートスタイルに、スマートなボートモカシンが非常にマッチしています。中に着込んだスキッパーシャツはグランサッソ。そして2プリーツパンツは五十嵐 トラウザーズ。いずれも内田さん私物
内田 このジャケットはダルクオーレのもの。自分の体型にフィットしており、色々な装いに合わせられるので手放せません。ちょっと長く着すぎまして、ボタンホールの色だけ褪せてしまったり(笑)。でも、こんなネイビー×ホワイトな大人スタイルには、かなりマストな一着なんです。
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薄くて軽い靴を履いた「ケーハク」スタイルの妙味を生かすひとつのディテールであるベルトレスのパンツ。ビスポーク風の洒落感に加え、スッキリ軽やかな見た目となっています。
▲ 薄くて軽い靴を履いた「ケーハク」スタイルの妙味を生かす、ひとつのディテールであるベルトレスのパンツ。ビスポーク風の洒落感に加え、スッキリ軽やかな見た目となっています。
確かに非常にエレガント。新品のジャケットでななく、こなれきった一着というのが手だれを感じませます。また、パンツは今風のダブルプリーツでベルトレスのサイドアジャスター型。スキッパーシャツの衿の外出しと相まって、クラシックな美観がエッジとなるコーディネートに仕上っています。
グランサッソのスキッパーはリネン素材。コットンとは違うシャリ感が、春夏に適した着心地に加え、サラッとした季節感を引き立てる要素にも。ジャケットの上衿にスキッパーの衿を被せた着こなしがなんとも小粋です。
▲ グランサッソのスキッパーはリネン素材。コットンとは違うシャリ感が、春夏に適した着心地に加え、サラッとした季節感を引き立てる要素にも。ジャケットの上衿にスキッパーの衿を被せた着こなしがなんとも小粋です。
内田 この着こなしも大きなポイントとなるのは色を使いすぎないこと。特にネイビー×ホワイトの装いはスッキリ爽やかであり、落ち着いて見せる要素となっているように思います。

また、実はシルエットにも少々こだわりがあり、ジャケットはタイトに近いジャストめなので、パンツは少しゆとりあるものを選んでいます。逆に、先ほどのクリケットセーターのコーディネートの場合は、ニットがやや緩めゆえに、ホワイトジーンズはタイトな細身をチョイスしています。

上下でメリハリを持たせること。そういった着こなし配分が、スッキリしつつ緩急あるスタイルへのカギだと内田さんは説明します。
内田 光

● 内田 光 フローエンス トーキョー スタッフ

2019年、アパレル系インポート会社である株式会社エスディーアイに入社。同社が運営する公式オンラインストア「フローエンス トーキョー」のスタッフ。企画から製作、撮影などサイト運営に携わる。

■ お問い合わせ

フローエンス トーキョー 050-5433-3616
ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 03-5772-5501

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