バブアーで作る存在感ある大人の春スタイル

クラシコイタリア系のインポート会社やヨーロッパのバッグブランド、革小物ブランドにてPRやコンサルティングを行ってきた坂下康平さん。ドレスからトラッド、モード系にまで精通したアパレル業界人です。長い服飾人生のなかで数々のアウターを着こなしてきた達人ですが、今季の春アウターは英国のバブアーにぞっこんだと語ります。

坂下　「バブアーはご存知のとおり英国を代表するアウトドアアウターを中心とするブランドです。特に著名であるのがコットン素材にワックスを含ませ防水性を高めたジャケットです。着ているうちに油分が抜けて、非常に味わいあるルックスになるのがひとつのポイント。僕はなかでも短丈タイプのトランスポートというモデルを愛用しています」

春アウターは軽快であることがポイントと語る坂下さん。ウエスト丈のトランスポートは見るからに軽い着心地が楽しめそうな一着です。

坂下　「バブアーのラインナップには味わいの濃いアイテムもありますが、いろいろな服装に合わせて楽しみたいので、僕はシンプルなタイプを選んでいます。このトランスポートは、ちょうどコーチジャケットのようなルックスで、比較的クセが少なめ。ポケットもスラッシュ型などすべてにおいてさっぱりしています。ですので今日のようにロングシャツに合わせたり、セーターやトレーナーなどに合わせてもほど良く馴染みます」

なかでも坂下さんは、あえて内側に着丈の長いアイテムを合わせて、裾をジャケットから露出させる着こなしが今の気分だと言います。

坂下　「従来はインナーの裾がアウターから飛び出してしまう着こなしは避けていました。しかしオーバーサイズスタイルが主流の昨今は、そういったレイヤードが逆に面白いように感じています。シャツもパンツもユルっとしているので、短丈のトランスポートでバランスを取っています」

確かにオーバーサイズスタイルはモードシーンでも大人気。しかし若者ならいざ知らず、LEON世代となるとルーズさが目立って少々キツい気もするのですが……。

坂下　「確かに肩の切替えなど極端に外側に落ちたデザインは、イイ歳の男子には無理があります。このシャツもダボッとしていますが、実は肩の位置はほぼレギュラー仕様であり、胸のプリーツにてゆったり感を持たせたデザインです」

そんな坂下さんは、昨今もうひとつ手に入れたバブアーがあると言います。より軽快感ある着心地で、一発で気に入ってしまったものだとか。

坂下　「実は昨今のバブアーには“裏メニュー”があるんです。いわゆる伝統的なワックスドコットンではなく、春夏などの温暖な季節に合わせた薄素材を使ったシリーズが存在し、これが非常に調子良いのです」

坂下　「コットンに化繊をブレンドした生地は薄手ゆえに、軽量で通気性も良くこれからの季節にピッタリ。暖かくなると薄着となるためスタイルに重厚感が欠けがちです。そこで薄手のロング丈コートが役に立つというワケ。この一着は乗馬用外套をイメージしたバーレーというモデル。ストンとしたストレートラインは長丈と相まって、羽織るだけで存在感あるルックスになるのです」

確かに風をはらんで裾が揺れる佇まいはなんとも小粋。そんな装いに坂下さんはクラークスの靴を合わせコーディネートを完成させました。

坂下　「英国つながりというコトでクラークスを合わせました(笑)。スニーカーではバブアーの持つ重厚さに釣り合いませんし、とは言えドレスシューズでは軽やかさが出せません。そういった場合にスエードのワラビーは非常に理想的」

確かにとてもウエルバランスなスタイリングとなっています。春らしい軽さがありながら、十分大人っぽい。これはぜひ参考にしたい着こなしテクニックです。

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