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2022.10.15

新作個展開催中! 現代アーティスト・TENGAoneさんが考える“続けることの大切さ”とは

ストリートアーティストとして活動を始め、近年は国内外のギャラリーやフェアへ発表の場を広げる現代アーティスト・TENGAoneさん。その活動に対する思いと、10月22日(土)まで開催中の新作個展「More Than Meets The Eye」についてのお話を伺いました。

CREDIT :

文/武田一希(LEON) 協力/Kaikai Kiki Gallery、©2022 TENGAone/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

米軍基地が身近にある環境で生まれ、駐在する兵士が日本に持ち込んだアメリカンスタイルのグラフィティを見ながら育ったという現代アーティストのTENGAoneさん。そんなルーツからストリートアーティストとして活動を始め、近年は国内外のギャラリーやフェアへ発表の場を広げます。

とりわけ、MDF木板を彫刻することで支持体をゼロから生み出して制作される“段ボール模刻”シリーズは唯一無二の作風であり、世界中から高い評価を得ているんですね。

で、そんな同氏による新作個展「More Than Meets The Eye」が、東京都港区の「カイカイキキギャラリー」にて、10月22日(土)まで開催中。ということで、その活動に対する思いと今回の展示についてお話を伺いました。

── まずはお名前が気になってしまいました(笑)

TENGAone いや〜、それは皆さんに言われます(笑)。でも実はあのブランドのことを意識したわけではなくて。この名前で活動を始めてしばらくして、友人と歩いていたら「TENGA」と書かれた自販機を見つけて、“えっ⁉︎”って(笑)。最初は驚きましたが、いまはお付き合いさせていただいて、使い切れないほどのアイテムを支援いただく関係でございます(笑)。

── そうだったんですね、一度聞いたら忘れられないお名前ですよね(笑)。さて、先日の「六本木アートナイト2022」に出展されていましたが、いかがでしたか?

TENGAone 思った以上にたくさんの方に見ていただいて、素直に嬉しかったです。Instagramのいいね数も驚くほど増えたんですよね。そうやって目に見える結果が出ると、多くの方に響いたのかなって実感が湧いてきます。とにかく、参加させていただけたことに感謝したいです。
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── 僕も伺いましたが、皆さんお祭りのような雰囲気で楽しんでいる光景が印象的でした。ところでTENGAoneさんといえば、木板を段ボールのように彫刻して、その上にキャラクターを描く独特の作風ですが、どういったインスピレーション源で作り始めたのでしょうか?
TENGAone 段ボール アート
▲ 今回の展示作品のなかでも特に思い入れが強いという、高さ2mを超える大作2点。
TENGAone 段ボール アート
▲ 木板を段ボールのように彫刻して、その上にキャラクターを描く作風が特徴。
TENGAone 段ボールってどこにでもあるじゃないですか。だから、わざわざ作ったら楽しんでもらえると思ったんです。絵についてはロボットをモチーフにすることが多いのですが、例えばガンダムは世代というわけではなくて、大人になってから見るようになりました。すごいファンというわけでもないんですが(笑)。

でも、ガンダムを始めとするロボットアニメというのは何十年経った今もなお人気があるわけで、日本のひとつの文化として世界に誇れるものだと思うんです。

だから自分としては、それを題材にするのは当たり前というか、ごく自然な流れだったんですよね。これって、超めんどくさいことをやっているんですが、それを感じさせないくらい自然なものを作りたいと思っています。

段ボールに派手な絵を描いていると、絵に注目するじゃないですか。その絵は支持体が木であることを忘れさせますが、鑑賞する方にはその支持体もしっかりと見て、ギャップを体感してほしいです。

そういった視点は、日々のちょっとしたことの見え方や世界観すらも変えると思っています。疑いの目ではないけれど、視点を変えることで、いつも見ているところも違って見えるはずですからね。
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── こうして説明していただくと、TENGAoneさんの作品はもちろん、アート作品全体、ひいては何気ない日常も違った見方ができる気がします。キャッチーな作風ですが、知れば知るほどその魅力が伝わってきますね。彫刻とペインティングを融合したような作風は超めんどくさいとのことですが、制作時間はどの程度なのでしょうか?
TENGAone 段ボール アート
▲ 一見、段ボールのようですが、支持体はすべて木。とてつもない作業から作品が生まれます。
TENGAone 段ボール アート
▲ 段ボール模刻シリーズには動物をモチーフにした作品も。
TENGAone 今回展示している大作だと、トータルで2カ月くらいかかりました。木材をノミで粗彫りするところから始めて、そこからは機械を使うのですが、もう手が痛くって(笑)。ロキソニンを大量に飲んで製作しています(笑)。

── 身を削って作品を作られているんですね。今回の個展のテーマは「兎に角、続ける。」ですが、体がボロボロになってもこの作風を続けるのは一体なぜでしょうか?

TENGAone 続けた先に何があるかはやってみないとわからないですが、それが楽しみだから続けられるんです。人って何かと理由や言い訳をつけて続けないことが多いじゃないですか。続けない理由を考えたらダメだと思っていて、やり続けなくちゃいけない。それが僕ができる最大の努力です。

親父に“とにかく続けろ”って言われてきましたし、村上隆さんにも“続けることは、才能を上回ることもある”とアドバイスいただいて。たしかに続けることで見えてきたものもあって、自分でも成長がわかるのが楽しいんですよね。だから、どんな人でも何かと向き合ってそれを続けていただきたいという思いでテーマにしました。本当は手が痛いから、すぐにでも辞めたいんですけど(笑)。
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── 続けることは本当に難しいので、それを実行されているTENGAoneさんのお話はとても参考になります。それでは最後に、初心者の方へ向けてアートの楽しみ方を教えてください。
TENGAone 段ボール アート
▲ キャンバス作品も多数展示します。
TENGAone 段ボール アート
▲ 段ボール模刻とは趣の異なるキャンバス作品も要注目。
TENGAone アートバブルの今、たくさんのアーティストが出てきています。そして、ある程度こんな作風が人気が出るというのはわかってしまうわけで、2〜3パターンのものが溢れている状況です。だからこそ見る側がしっかりとジャッジしなくてはいけないと思っていて、その作品がどういう意味を持つのかを考えて、自分がそれに対してどう感じたのかを大切にしていただきたいですね。

アートに触れ合うことはとても刺激的です。散歩のついででもいいので美術館やギャラリーに行って、好きなものを探してみるのはおもしろいのではないでしょうか。僕もそんな楽しみ方をしているので、皆さんにもオススメしたいです!

冗談も交えながら、終始気さくにお話しくださったTENGAoneさん。その熱い眼差しと逞しい手は、多くの人に“価値観を広げることで見える物事の本質”を伝えたいというエネルギーがみなぎっていました。開催中の個展をはじめ、今後の活動にも要注目ですよ。

● TENGAone

東京を拠点に活動するストリートアーティスト。アーティスト名は「画が天職(天画)」が由来。米軍基地のそばで生まれ、駐在する兵士が日本に持ち込んだ母国のアートムーヴメントであるタギングやスローアップなどのアメリカンスタイルのグラフィティを身近に見ながら育つ。生のグラフィティカルチャーに触れた経験に大きな影響を受け、14歳でスプレーペイントを使ったグラフィティを制作し始める。アパレルのグラフィックデザイナー、WEBデザイン会社での勤務を経て、2007年にアーティストとして正式に活動を開始。街中のグラフィティ、商業および公共施設の巨大ミューラル、スカルプチャー、グラフィックデザインなど、制作のジャンルは多岐に渡り、ギャラリーやアートフェアでもその作品を目にすることができる。

■ More Than Meets The Eye
場所/カイカイキキギャラリー(東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビルB1F
会期/9月30日(金)〜10月22日(土)11:00〜19:00、日・月・祝休
料金/無料
HP/http://gallery-kaikaikiki.com

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