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2018.09.08

色彩のない料理を食べながら、ロゼワインについて考えた。

壁もテーブルも、そしてお皿の中まで! グレーの一色に染められたレストランで、薔薇色のワインと味覚について思いを馳せました。

CREDIT :

文/秋山 都(LEON.JP)

話題のレストラン「ODE」(オード)へ。

1日の大半をおいしいものを夢みて過ごすLEON.JP 食いしん坊担当、秋山 都です。
先日、香道志野流若宗匠に出会い、香りは「嗅ぐ」のではなく「聞く」ものと教えていただいて以来、頭の中がモヤモヤしています。香りが「聞く」なら、味も「聞く」なんじゃないの?と。味は舌の味蕾がキャッチすると言われてきましたが、嗅覚も視覚も、ときには触覚すら使って「聞く」んじゃないかな、と。

というのも、昨年9月にオープン以来、話題のレストラン「ODE」へでかけたことがきっかけ。「シック・プッテートル」でミシュラン1ツ星を獲得した生井祐介シェフの世界は一見ストイックなモノトーンのように見えて、その実、カラフルな楽しい経験に満ちていたのです。
ODEのエントランス。グレーの壁に映る私と連れのシルエットロマンスby大橋純子。
ODEのエントランス。グレーの壁に映る私と連れのシルエットロマンスby大橋純子。
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ODEはエントランスから壁、カウンターに至るまでグレーの一色。とはいえ、木、ステンレス、モルタルなどさまざまな質感のグレーは決して無機質ではなく、あたたかみさえ感じさせるシックな空間です。そういえば、パリのアベニュー・モンターニュにあるディオールのメゾンは明るいグレーを基調としていたっけ。グレーは修道女の制服を思わせるストイックな色ですが、実は黒、茶、ネイビーなどとも合わせやすく、赤やピンク、水色を差し色にすれば非常にチャーミングな配色になる、おしゃれな色なのでありました。
ODEのスペシャリテ「グレー 2018」
ODEのスペシャリテ「グレー 2018」
とはいえお料理まで?! この外側のパリパリは青魚のアラをメレンゲとあわせて焼いたものだそう。これをサクサクかきわけてみるってぇと……
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中から現れますのは、稀少な尾崎牛のタルタルと軽く焼き目をつけた秋刀魚。ひと口含んで驚くのはその芳醇な旨みです。なにしろグレーなお皿からはどんな味だか想像がつかないので、ゼロ地点からのロケットスタート、みたいな。

そもそもお料理を目の前にしたとき、私たちはあらかじめ、その色や姿からこんな味だろうなと想定をしています。たとえば赤ならトマトやベリーのさわやかな味、茶色ならこっくりと濃厚、白なら軽い塩味、などなどなど。でもそんなイメトレがまったくできないのがこのひと皿。視覚的な思い込みを取り去られた上で、押し寄せる香りや旨みにぐぐっと持っていかれる経験はなかなかできるものではありません。
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ODEでは全13皿のお料理にプラス9000円でワインや酒のペアリングがオーダーできます。この日、このグレーなひと皿にソムリエさんが合わせてくれたのがこちら。
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ニュージーランド産のワイン「プロフェッツロック インフュージョン」。注目の醸造家ポール・プジョル氏がつくる、ピノ・ノワール100%ですが、普通の赤ワインではありません。発酵前に低温でスキンコンタクト(果皮と浸漬)させるため、色合いと風味は抽出してもタンニンがあまりないのが特徴。ロゼワイン的な赤ワインといいましょうか。飲み口が軽いので、重いボルドータイプの赤ワインが苦手な私も大好きなワインです。

そもそもこの薔薇色のワイン……やはり色がきれいで無条件に気分が高揚します。いま透明のコーヒーやコーラもありますが、ワインは色つきであって欲しいなぁ。ロゼは和食にも、中華にも、そしてエスニックにも合いますし、食事の間を1本のワインで通すなら前菜からメイン、デザートまでいけるオールマイティなワイン。最近、いろんなレストランのワインリストを見るたびに、ロゼやオレンジのワイン(自然派にありますね)を探すのですが、まだまだ種類が少ないですね。

と思っていたら、興味深いイベント発見! 昨年、ピノ・ノワールに特化したイベント「ピノ・パルーザ」で話題を呼んだ人たちが今年はロゼに特化したイベント「ROSE REVEL」を開催するんだそう。世界のロゼワインメーカーたちが集い、出展するロゼワインがなんと4,500円で飲み放題なんですと。これは行かなくちゃ!

◆ ROSE REVEL

日時/10月21日(日) 11時~15時、16時~20時の2部制
チケット/4,500円(全ワイン試飲し放題+ワイングラス)
URL/https://revel.global/

あ、ちょっと脱線してしまった。でも、グレーのモノトーンの世界で味わうロゼワインは、思いが千ゝに乱れるほど楽しかった、というお話でした。やはり味覚は舌だけで味わうものではなく、五感で「聞く」ものなんじゃないかしら。最後に、このオーストラリア、バロッサ・ヴァレーのオレンジワインも好みの味でした。いま、オレンジワインも本当キテますね。
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◆ ODE

住所/東京都渋谷区広尾5-1-32 ST広尾2F
予約・お問い合わせ/03-6447-7480
営業時間/12:00〜13:00(L.O.)、18:00〜21:00(L.O.)
定休日/日曜

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