2018.03.21
湘南の海がこんなに美しかったなんて! 知られざる絶景を集めた写真集とは?
湘南の海をこよなく愛する写真家の芝田満之さんが、7年ぶりに自らのライフワークでもある湘南の海の絶景を集めた写真集『Calling the Sea』を発表。よりパワーアップし深化した作品の見どころをご紹介。
- CREDIT :
文/森本 泉(LEON.JP)
以前、湘南の海の「絶景」を撮り続ける写真家、芝田満之さんの記事を掲載しました(こちら)。芝田さんは16歳から湘南の海でサーフィンを始め、以前はサーフ・フォトグラファーとして世界中でサーフィンの写真を撮っていたことも。その後も葉山に住み、40年以上にわたって地元湘南の海に入り、その写真を撮り続けてきたのです。
7年前には、湘南の海の写真集『SALT WATER SKY』を発表、各所で話題を呼びました。その彼が7年を経て再び湘南の海を撮った新たな写真集を発売することになったので、ご紹介いたします。
神の恵みによって呼び出され巡り合えた特別な景色!?
写真集のタイトルは『Calling the Sea』。これはなかなか意味深なタイトルです。直訳すれば「海を呼んでいる」ですが、呼んでいるのは誰なのでしょう。この「Calling」という英語は、ただ「呼ぶ」というだけでなく、神の恵みによって神から呼び出されるという意味を孕んでいます。
芝田さんは、この海の景色との出会いを、天恵として、神に呼ばれてここに立ち会っているという感覚があるのではないか。そんなことを想ってしまいます。
そこでは芝田さんの得た感動を追体験できるような気がします。しばし立ち止まって息をつめて見惚れてしまう。そんな強さが写真にはあります。
芝田さんの描く湘南、それは具象でありながら、非常に抽象度が高く、ゆえに人の心の奥深くに突き刺さるパワーを秘めているのだと思うのです。
「彼は誰時」と「黄昏時」。絶景と出会える特別な時間とは
芝田さんが、その一瞬を待ってカメラを構えていると、時には散歩中の老人が「富士山はあっちだよ」と声をかけてきたりする。そこで集中を切らされるのは辛いけれど、それもまた地元で生きる者のみに与えられる福音なのかもしれない。すべては神が与え給う偶然の賜物という思いが芝田さんにはあるのではないでしょうか。
日本では古来この時間帯を「彼は誰時(かわたれどき)」と「黄昏時(たそがれどき)」といい、人知の計り知れぬ逢魔が時とされています。やはりこの世のものならぬ時間帯を捉えた写真だからこそのパワーが、彼の写真には込められているのでしょう。
ちなみに「Calling」には「天職」の意味もあります。こんなすさまじくも美しい湘南を撮り続けることが、まさに芝田さんにとっての「天職」なのだろうと思います。
この『Calling the Sea』、皆さまにもぜひ、ご一読をオススメいたします。
●芝田満之(しばた・みつゆき)
写真家。1955年生まれ。葉山在住。ロマンティックで情緒的な写真はサーフィン界のみならず、様々な分野から支持され、広告を中心に雑誌のエディトリアルや映画・CMなどの映像も多数手掛けている。生活のベースはあくまでも海、そしてサーフィンであるという姿勢は変わらない。
URL/firstswell.com
『Calling the Sea』(BUENO! BOOKS刊)
152ページ/4C サイズ/236mm×197mm
価格/4860円(税込)
URL/http://buenobooks.shop.multilingualcart.com/goods_ja_jpy_181.html
写真集には作家・池澤夏樹氏の抒情的なエッセーも併録され、さらにその世界観を盛り上げている。
●作品展「Calling the Sea」はSlope Galeryにて2018年3月30日まで。
URL/www.buenobooks.com/slopegallery/