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2017.12.26

本を読む時間がない忙しい人にこそ、「名作短編」のすすめ

サマセット・モームが編纂した『世界100物語』、日本文学の100年をたどる『日本文学100年の名作』、作家らによる食べ物のエッセイ「おいしい文藝」シリーズをご紹介。

CREDIT :

文/LEON.jp 冨永麻由

本を読むにあたって「名作」や「名作家」と聞くと、やっぱりちょっと手が出しにくいというのが多くの人の本音ではないでしょうか。実際に、名作なんて読まなくても十分楽しく生きていけるから別にどうってことはないよ、という人も多いかとは思います。そして、それはたしかにそうだと思います。
まあしかし、ちょっとしたひとりの時間におもしろい話をしてくれる作家を何人か知っていると、煩わしくない友人がいるようで心強かったりするものです。

もちろんその友人が名作家であったり、おもしろい話が名作である必要はないのですが、普段あまり本を読む時間がない方ほど、まずは優れた作家の名作から読んでみるのもよいかと。なぜなら、名作というのは少なくない人がすでに面白いと思った話だからです。なので、ハズレの少ないくじ引きくらいに思って、ひとつひいてみる程度の気持ちで読み始めてはいかがでしょう。
年末ですし、私の今年の古本屋通いの総決算ではないですが、これはなかなか良い編纂だなあと思う名作短編シリーズを3つご紹介いたします。おもしろい作家たちの、おもしろい話(しかも長くない)がたくさん載っているので、気の合う作家との良き出会いがうまれると私としても嬉しいです。

●『世界100物語』(全8巻/河出書房新社)

19世紀〜20世紀の世界中の名作短編小説を集めたシリーズ。おもしろいポイントのひとつは、このシリーズを編纂したのがイギリスの名作家、サマセット・モームであること。全8巻それぞれに与えられたテーマもなかなかおもしろい。「おしゃべりな小説」、「奇妙なこぼれ話」、「ロシアの光と影」、「意外な結末」、「人生の観察」など、それぞれのテーマに沿って何篇かの短編小説が収められています。海外文学(翻訳小説)の入り口にもとても良いシリーズです。
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●『日本文学100年の名作』(全10巻、新潮社)

世界文学の次は、日本文学のアンソロジーです。こちらは、100の物語ではなく新潮文庫が創刊された1914年から2013年までの100年間に発表された日本の名作短編小説145篇を収録。森鴎外や谷崎潤一郎から現代作家まで、その幅の広さ、バラエティの豊かさは作家との出会いを求める読者にとってかなり魅力的です。一度読み出すと、あっという間に100年経ってしまいます。
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●『こぽこぽ、珈琲』(現在全11巻、河出書房新社)

「おいしい文藝」と名付けられたシリーズの第11巻目。このシリーズでは、小説ではなく作家らによる食べ物にまつわる短編エッセイを収録しています。各単行本にはテーマがあり、『こぽこぽ、珈琲』はコーヒーに関するエッセイのアンソロジーです。ほかには『うっとり、チョコレート』、『つやつや、ごはん』、『ずるずる、ラーメン』などがあります。コーヒーひとつをとっても、31人いれば31人それぞれにコーヒーにまつわる話があるもので、しかもそこはプロの語り手ですからどれもやっぱりおもしろい。何より、食べ物の話って楽しいですよね。

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