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2021.03.10

柳楽優弥・主演の映画「ターコイズの空の下で」が沁みる〜

都市生活が抱えていた問題がコロナによって顕在化し、人々の意識がリセットされているいま。この時代の空気にぴったりな映画が公開されています。柳楽優弥主演『ターコイズの空の下で』。監督は長編初というフランス在住のKENTARO氏。ちょっとユニーク!? でも、めちゃ心に残る、この映画を監督インタビューも交えてご紹介いたします。

CREDIT :

文/高橋大(LEON.JP)

こんにちは
LEON.JPのタカハシです。
みなさまいかがお過ごしでしょうか?

2月26日から公開されている柳楽優弥主演の『ターコイズの空の下で』という映画をご存知ですか?
日本とモンゴルで撮影されたこの映画、なんというか、いままでにない不思議な魅力のある映画なんです。

ストーリーはとても単純。
大会社を経営する男(麿赤兒)が、70年前にモンゴルで生き別れた娘探しを、放蕩三昧の孫(柳楽優弥)に頼み、柳楽優弥がモンゴルを旅する、というもの。
そこでパートナーとなるのは、その祖父の馬を盗み捕まったアムラというモンゴルの男。
と、文字で書けばそれだけ、なんです。

そして、この映画はとにかく台詞が少ない!
モンゴルの雄大な風景や、現代の都市部とはまったく違うモンゴルの人々と生活に触れたときに柳楽優弥演じるタケシが発することばは「おお〜」ぐらい。
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でも、それがなんだかめちゃリアルで、見ているとというより、一緒に体感しているような感じがするんです。
映画を見終わると、やっぱりタケシと同じようにモンゴルを旅したような、不思議な感覚が身体に残る、という。
ドキュメンタリーとも、いわゆるエンタメとも違う、でもアートフィルムでもない。
このバランスは今までに味わったことがないなぁ、と。

この味わいを生み出しているのが、今回初長編映画を手がけたKENTARO監督の個性ゆえ、なんじゃないかな、と。
というわけで、ご本人にお話を伺ってきたので、ちょこっとだけご紹介いたします。
──そもそもモンゴルで映画を撮ろうと思った理由はなんなのでしょう?
「いま多くの人がSNSに時間を取られていますよね。現代の多くの技術の進歩は素晴らしいのですが、人はそんなに早く変われない。私の目には、人々がいまの新しい技術にアジャストできずに、すごくストレスを感じているように映っていたんです。
それがモンゴルに行くと、素晴らしい自然と、動物しかいない、携帯の電波も繋がらない、現代の都市生活と正反対の人間の生活があるんですね。そんな場所で、自分もモンゴル人の友人とともに旅をした経験もあり、また、企業の社長たちがモンゴルを旅したときに涙している姿を見たりもしたんです。
つまり、モンゴルにいくと、現代社会でいろいろと溜め込んだものをリリースできるというのを体感したんです。
それを何かの形でかっこよく表現できないかと思っていたところにモンゴルのスター俳優アムラと出会い、映画を作ろうか、となったんです」

──リリースという感覚わかる気がします。それにしても、携帯の電波も入らない場所で撮影していたんですか?(笑)
「そうです(笑)私はもうどうでもいいと思って三週間半携帯を見てなかったんですが、スタッフは一生懸命電波を探してましたね(笑)。でも私も三週間半後に携帯を繋げたら400件もメッセージが入っていてましたが(笑)」
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──現実に引き戻される瞬間ですね(笑)ところで、この映画を撮るときに一番意識したことはなんですか?
「そうですね……、単なるコマーシャルな映画はやりたくないとは思っていましたね。かと言って、完全なアートフィルムにしようとも思っていなかったです。ある批評家がこの映画をモンゴルへのラブレターと書いていたんですが、まさにその通りで、すごく驚いたんですよね。私はそんなこと一言もいっていないんですが」

──やはり、インスピレーションのポイントはモンゴルでの体験ということなんですね。
「そうですね。この10年ほど、世界的にリアリズム重視というか、社会問題や性的アイデンティティとか、家族とかがテーマの映画が多いと思うのですが、モンゴルへ行くとそんなインスピレーションは湧かなかったんですよね。この映画はある意味パーソナルな旅の記録ということも言えるのかもしれないです」

──主演の柳楽優弥さんの演技はまさにそのパーソナルな旅を観客に追体験させてくれる素晴らしい演技だったと思います。柳楽さんの印象はどうでしたか?
「彼は本当にスペシャルな役者だとおもいます。この映画に出てもらえたのも本当にたまたま彼のスケジュールが空いたときに、私たちのオファーが届き、この構想に共感してくれたという奇跡のおかげなんですよね。柳楽さんが映画のプランを面白いと言ってくれたと聞いた翌日に飛行機に乗って会いにいきましたから。
実際に会って、いままで会った役者とはまったく違うと感じました。そして撮影を共にして、その印象は確信に変わりましたね。すごく野生的な部分を持っていて、すごくピュア。そのおかげでこの映画が魅力的になったんだと思います」

──共演のアムラさんもすごくいい演技でしたね
「アムラはモンゴルのスター俳優であり、世界的にも成功している役者なんですが、全然違うタイプなんですよね。映画役者としてのテクニックが完璧な人で、演技における時間とエネルギーのコントロールがパーフェクトにできる、それでいながら、野生的な部分をキープしている、ものすごい役者だと思います。でも柳楽さんも絶対に世界的にスケールしていく役者だと思います」
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──KENTARO監督はフランスで育った日本人ですが、そういう生い立ちが映画作りに影響していると思いますか?
「そうですね。やはりあると思います。きっと、自分じゃなきゃ作れないものをやろうとしたら、こういうものになるんじゃないかな、と思います」

KENTARO監督の言葉、いかがでしたでしょうか?
実は監督とは映画以外のふか〜いお話もたくさんさせて頂いたのですが、ここには載せきれないので、そちらはまた機会を見てご紹介したいと思います。

というわけで「ターコイズの空の下で」、絶賛上映中ですので、未見の方はぜひ!
こんどの土日には名古屋、大阪、京都で柳楽優弥さんとの舞台挨拶もありますよ!

ではまた!!

映画『ターコイズの空の下で』

2021年2月26日(金)より、新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー中

公式サイト:
undertheturquoisesky.com

監督・脚本・プロデューサー:KENTARO
プロデューサー:木滝和幸、 ウラン・サインビレッグ
脚本:アムラ・バルジンヤム
撮影:アイヴァン・コヴァック
音楽:ルル・ゲンスブール、 オキ  他
美術:エルデンビレグ・ビャンバッツォグ
照明:中村晋平
編集:マヌ・ドゥ・ソーザ、 ベルトラン・ブティリエ
テーラード提供:TAKEO KIKUCHI

出演:柳楽優弥、 アムラ・バルジンヤム、 麿赤兒、 ツェツゲ・ビャンバ、 サラントゥーヤ・サンブ、 サヘル・ローズ、 諏訪太朗、 西山潤、 佐藤乃莉、 ガンゾリグ・ツェツゲ、 ウンダルマ・トゥヴシントゥシグ

配給宣伝:マジックアワー、 マグネタイズ

日本・モンゴル・フランス合作/日本語・モンゴル語/DCP/5.1ch/シネマスコープ/カラー/95分

KENTARO 監督

海外で育ち、マルチリンガル俳優として、欧米の映画・テレビドラマで活躍。リュック・ベッソンがプロデュースした『キス・オブ・ザ・ドラゴン』やハリウッドの人気作『ラッシュアワー3』に加え、ヨーロッパのインディペンデント作品に出演する個性派俳優である。俳優業と並行して音楽、アート、ファッション等のPV、ドキュメンタリーを監督・プロデュースするなど、様々な映像テクニックやスタイルを試みてきた。本作が初の長編監督映画となる。

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