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2020.04.09

ファッション界のイノベーターに学ぶ、今だから考えたいこと

LEONでもお世話になっている服飾史家・中野香織さんの著書、『「イノベーター」で読むアパレル全史』を読了。イノベーターたちの偉業や名言に心打たれました。今我々が置かれている状況でも、それはきっと役に立つはず。読書とは心を照らす作業でもあるのだと実感しました。

CREDIT :

文/石井洋(LEON兼LEON.JP編集長)

LEON & LEON.JP編集長の石井です。
外出自粛を余儀なくされている昨今ですが、妄想する心はなくすまい、と、読書に勤しんでいます。ビジネス書からサブカル書まで雑食的に摘んでいるわけですが、今回は『「イノベーター」で読むアパレル全史』を紹介したいと思います。

著者は服飾史家の中野香織さん。LEON本誌、LEON.JPでも寄稿していただいている方で、数々の著作があり、昭和女子大学客員教授も勤めていらっしゃいます。とってもチャーミングな方ですが時に舌鋒鋭い側面も。
本書ではアパレル史を「イノベーター(変革者)」の視点で概観。誰もが知る大御所デザイナーからメンズ界の通なセレクションまで幅広く取り上げ、彼らの姿勢、ポリシー、言葉を通して、変革者たる所以を“中野アイ”で掘り起こしているのですね。

なかでも心に迫ったのが、ブルネロ・クチネリ、ダイアナ・ヴリーランドの項。ブルネロ・クチネリは本サイトでも多出の、イタリアンラグジュアリーの雄。最高級のカシミアを使ったニットで知られ、過度なトレンドに振り回されない独自の表現で人気のブランドです。自然豊かなイタリア・ソロメロ村に本拠を構え、地域に雇用を生み出し、働き方だけでなく行き交う人々の生き方までを考えた在り方は、これからの時代の規範となるべき、と称賛を受けています。CEOのクチネリさんは、「人は大切にされれば、心が自由になり、仕事にも集中できる」という信念を持つそう。相手を慮ることで、心が自由になる、ということでもありますね。沁みる言葉です。

一方、ダイアナ・ヴリーランドは、世界最古の女性向けファッション誌「ハーパーズ バザー」で長らく敏腕編集者として活躍した後、一流モード誌「ヴォーグ」編集長に就任。その後、メトロポリタン美術館衣装研究所顧問に就任した、伝説のファッショニスタ。彼女が秀でていたのは、“ファクション”という考え方なんだそう。要約すれば、同時代人の意識をある“ファクト(事実)”に向かせるためには“フィクション(虚構)”が必要である=ファクション、ということ。恐れ多くも、LEONを製作するうえで似た感覚をボクもチームももっており、常日頃、「リアルに基づいた、夢のある妄想」をカタチにしようと思っています。

移動や活動の制限があれども、国難とされる状況下でも。人に優しく、妄想の翼を羽ばたかせて。

LEON.JPでもドンドン新ネタを投下していきます。お楽しみに!

『「イノベーター」で読むアパレル全史』

中野香織著
本体価格1800円/日本実業出版社

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