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2019.08.14

フーディーってどんな人? 日本に来たフーディーのマルコさんに色々聞いてみた

いま、ガストロノミーの世界では「フーディー」と呼ばれる人たちが注目されています。「食」が旅の主たる目的となった今の時代、ファイン・ダイニング(一流レストラン)を食べ歩く彼らの評価は、観光にも大きな影響を与え始めているのです。あまり知られることのないフーディーの素顔に迫りました。

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文/森本 泉(LEON.JP)

こんにちは、LEON.JPのモリモトです。
皆さんは「フーディー」と呼ばれる人たちをご存知でしょうか。いわゆる美食家、グルメの別称ではあるのですが、その中でも特に、美食を求めて世界中の高級レストランを巡り歩くような一部の裕福な人々を指して言うことが多いようです。

近年日本でも話題になることが多く、例えば著名なレストランアワードである「世界のベストレストラン50」では、ジャーナリストやシェフと並んで一部のフーディーたちにも投票権が与えられています。

そのようなランキングが世界的なニュースとなって多くの旅行者を動かす事態となった今、フーディーの影響力も相応に増していると言えるでしょう。では、そのフーディーとは実のところ、どんな人たちなのか? 今回、そのひとりにお会いすることができましたので、銀座の「FARO」でのランチにお付き合いしながら話を伺ってみました。
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▲マルコさんは盆栽アーティスト。子供の頃、映画『ベスト・キッド』を見て、空手には興味がもてなかったけど、映画に出てきた盆栽に興味をもったのがきっかけとか。
彼の名前はマルコ。ミラノ出身のイタリア人です。歳は43歳。フーディーはミレニアル世代(30~40代)がその中心と言われていますが、まさに彼もそのど真ん中ですね。それではさっそくインタビュー開始!
── こんにちは。マルコさん。今日はよろしくお願いします。

「はい。こんにちは。よろしくね」

マルコさん、実は日本語ができるのです。なので、インタビューはほぼ日本語です。

── マルコさんの仕事はなんですか?

「私は盆栽アーティストです」

── むむ? 

「1997年に日本に来て、5年間、盆栽の神様とも言われる木村正彦先生に弟子入りしました。その後、イタリアに戻って盆栽アーティストとして活動を始めました。今も自分で盆栽を育てたり販売しながら、世界中のお客様のところを回って手入れしたり、盆栽文化を広める活動をしています」

── 今回の来日も仕事ですか?

「はい。上野で盆栽のオークションがあるんですよ。今回は1週間ほど日本にいます」

── 海外へは年間どれくらい行ってるんですか?

「自分の家はミラノにありますが、ミラノにいるのは1年のうち2か月ぐらい。あとはスペインに3か月、アメリカに4か月、日本に2か月ぐらいかな」

── では、レストラン巡りは、その仕事の合間ということ?

「そうですね。ほかにオーストラリアやカナダ、南アフリカ、シンガポールにも行きました。それぞれの場所でいろんなレストランに行って食事をしました」

── レストラン巡りを始めたのはいつごろから?

「5年前です。その頃までは、とにかく仕事が忙しくて。毎朝7時から夕方6時までずっと働いて、それが終わると一人で安い食堂やバルに行ってご飯を食べていました。でもそれはすごく寂しい。そんな時、お客さんからレストランに誘われました。私のお客さんはお金持ちの人が多くて、皆さん、美味しいレストランで食事をして仕事の疲れを癒していました。これはいい! 私もそうすべきだと思いました」
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── いわゆるファイン・ダイニングと呼ばれる一流レストラン巡りですね。

「はい。いまやレストラン巡りは私にとってなくてはならないエナジーチャージなのです」

── でも、けっこうお金もかかりますよね。

「そうですね(笑)。1回の食事で2万~3万円くらい。年間200万円ぐらいかな。僕は他にもダイビングが趣味で、世界の海へ潜りに行ってるけど、そちらも結構お金がかかるんで大変なんです(笑)」

── それでもレストランに行く価値があるんですか?

「はい。レストランに行くと、いろいろな発見があって、それが仕事にも役立ちます。私が大切にしているのは料理の味だけではありません。食器や店の内装、サービスなどすべてが大切です。特に食器やカトラリーなどの材質やデザインは、私も盆栽用の台座や道具をデザインしているので、その参考になります」

── レストラン巡りが仕事にも役立つのですね。

「はい。盆栽は単にそれ自体を売るだけでなく、手入れの仕方や育て方の指導。それに盆栽を部屋の中のどこに、どのように置くのか。そういう空間作りを通じてライフスタイルすべてを提案するのです。だから盆栽作家が職人だとすると、私たちは盆栽アーティストだと思っているのです。そしてそれはレストランも同じかと」

── というと?

「料理においては時間の要素がとても大事です。その料理を作るに至ったシェフの歴史もそうですし、どの料理をどのタイミングで出すかといった時間も大切。私が作る盆栽も時間のアートです。何十年、何百年かけて育てるものもあるし、水やりや剪定など日常的な手入れにしても、すべてに適切なタイミングがあって、それを大切にします。だから料理と盆栽には共通項が多いとも言えます」
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▲マルコさんと能田耕太郎エグゼクティブシェフ。マルコさんはこの日も、出てくるお皿ごとにシェフに詳しく料理の説明を受けていました。そのコミュニケーション能力の高さは素晴らしい!
── なるほど。ところで食事に行くお店はどのように決めているのですか?

「食べることが好きな仲間が30人ぐらいいます。主に彼らからの情報だったり、知り合いのシェフたちのネットワーク。それにミシュランや世界のベストレストラン50も参考にします」

── 食べた感想はどこかで発表しているのですか?

「仲間にはSNSで伝えますよ。写真も撮るし、あそこのあれが美味しいから行ってみろとかね。でも一般の人には発信してません。私はジャーナリストじゃないし、それを仕事にはしたくない。あくまで趣味であり楽しみですから」

── そんなマルコさんにとって、東京はどんな街ですか?

「東京は私にとっては天国のような街です(笑)。いや、東京だけでなく、日本はそれぞれの街に美味しい店がたくさんあります。それはすごい」

── 日本食は好きですか?

「はい。料理が美味しいのはもちろん、食器や店の内装など、食べる『場』についての心遣いがとても繊細で素晴らしい。いろんな料理が少しずつ綺麗に盛られて出てくるのもエクセレント。私は生魚も最初から食べられたし寿司も刺身も大好き。それに日本は安い料理も全部美味しい。ラーメンも大好き。食べられないのは納豆だけです(笑)」

── ちなみに今、1年間にどれくらいの回数、レストランに行くのですか?

「そうですね。私は仕事も忙しいので、限られているけど、それでも今年も半年でこのぐらい行ってますね」

と言ってスマホに入ったリストを見せてくれました。
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「これが一つ星、こっちは三つ星ね。この前、帯広に行った時にも星付きのレストランに行ってきましたよ」

屈託なく笑うマルコさん。お会いする前はフーディーに対して多少グルメオタク的なイメージがあったのですが、少なくとも彼は、仕事も趣味も全力で楽しむ、まさに“リア充”の実にカッコいいオヤジでありました。

「ミラノに来たら連絡してね。美味しいお店、案内しますよ~」とあくまでも明るい笑顔で、さっそうと盆栽オークションへと向かって行ったのでした。
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FARO(ファロ)

昨年10月、銀座の名店「ファロ資生堂」が「FARO」と名前を変えてリニューアルオープンした。店を率いるのはイタリアで20年以上の経験を積み、2店舗にミシュランの星をもたらした能田耕太郎エグゼクティブシェフ。現代イタリア料理の伝統と革新性を保ちつつ、日本の気候や風土、歴史、文化への思いを重ね合わせ、豊かな国産食材を自在に使った独創的な能田ワールドが展開する。世界が注目する驚きの食体験はぜひ経験する価値アリですぞ。
住所/東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル 10F
営業時間/昼 12:00 ~ (L.O.13:30)、夜 18:00 ~ (L.O.20:30)
定休日/月・日・祝、夏季休暇 8/11(日)~8/19(月)、年末年始
URL/https://faro.shiseido.co.jp/
予約・問い合わせ/☎0120-862-150

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