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2018.11.24

【検証】新型レクサスESに試乗。日本のセダンはどこまで進化したのか?

レクサスESは、日本のセダンの優秀さを世界に発信し続けてきたモデルだ。その新型がついに日本に上陸した。カメラを利用したサイドミラーなど、先進技術が話題だが、走りはどう進化したのか、検証する。

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取材・文/小川フミオ

大人が楽しめるクルマ、それがセダン?

そろそろ大人っぽく、セダンに再注目してはどうだろう。SUV全盛のなか、セダンって保守的、とか、そういう声があるかもしれないが、じつは魅力がいろいろある。

LEXUSが2018年11月に発売した新型「レクサスES」はセダンのいいところをいろいろ備えたモデルとして、男女とわず広い層の読者に勧めたくなる出来なのだ。

そもそもESは1989年にレクサスが米国で展開されるようになったときから、LSとともにこのブランドを支えてきた屋台骨である。日本では一時期「トヨタ・ウィンダム」も車名で販売されたこともあったが、今回は堂々と本来の名前を名乗って、日本市場に凱旋(帰国)したといいたい。
山口を走る「version L」
新型レクサスESは全長5メートルの、余裕あるサイズのボディを持つ。大きなスピンドルグリルを持ち、フロントから見るとけっこうアグレッシブだが、側面は均整のとれたプロポーションで、おとなっぽいと言いたくなる。

特徴はいくつもあげられる。まずパワートレインが日本では2.5リッターのガソリンエンジンを使ったハイブリッドに限られること。それともうひとつ、「デジタルアウターミラー」という物理的な鏡に代わりカメラを使ったバックミラーが用意されたのも新しい点だ。
私は今回、このレクサスESに、山口から福岡まで乗る機会を得た。「version L」と「F SPORT」をとっかけひっかえという、なかなか楽しいドライブである。

このとき、これはLEONの読者に勧められるクルマだ、と確信することが出来た。まず走ったのは、山口・美祢市にある秋吉台のワインディングロードである。このときは秋の雨にたたられたが、カーブの連続をこなすのがなんとも楽しく、気分は晴ればれとしていた。
ボディサイズは全長4975ミリ、全幅1865ミリ、全高1445ミリと余裕あるサイズだ
とりわけ「version L」の操縦性は目がさめるようだった。けっしてばかっ速いクルマではないが、反応のいいステアリングと、加速性のいいパワートレインと、しっかりした足まわりがみごとに連けいしているのだ。

クルマというのはバランスがいいと、速度に関係なく、じつに楽しい。その好例である。エンジニアはしなやかな動きを実現するためボディには接着剤など新しい技術を使い、かつ、ブッシュ類をはじめとして、ステアリングシステムやサスペンションシステムは徹底的に見直されている。

いっぽうで市街地や高速ではしなやかだ。その気持ちよい乗り心地は他車を圧倒しているといってもいい。1000万円を超えるセダンでも、「version L」の乗り心地をしのぐものはそう見つからないだろう。

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日本の繊細な技術が活かされたサスペンション

新しい技術がしっとりとし走りを実現!?

「バンブー」と名づけられたオーナメントパネルに「リッチクリーム」の内装色(「version L」)
このクルマがユニークなのは、気持ちよく走る、という事実の背景を説明しようとすると、記述がかなりマニアックになってしまうところにある。端的な例は、標準モデルと「version L」のフロントサスペンションに採用された「スイングバルブショックアブソーバー」だ。

これは肝煎りの技術で、低速時や高速時などサスペンションがゆっくり動くとき、クルマはいまひとつ乗り心地がよくないことが多いところに注目し、その改善をはかったものだ。それもごく簡単にいうと、一円玉の何分の一ぐらいの薄い円形のプレートでだ。

ダンパー(ショックアブソーバー)がスプリングの動きを制御することで乗り心地は影響を受ける。ただしすべての速度域をカバーするのはなかなか大変で、従来は速いスピードのほうに振っていた。

今回のスイングバルブショックアブソーバーは、小さな円盤がスイング(というか可動)してダンパー内部のオイルの動きを制御する。効果は、低い速度域に発揮される。

ダンパー内部のピストン速度がゆっくりのときもしっかり減衰力を発揮して、乗り心地のよさを生み出すのだ。実物をみると”こんなものが”と思ってしまうぐらい小さい部品だが、効果は絶大である。
2487cc4気筒エンジンは131kW(178ps)の最高出力と221Nmの最大トルクを発生し、202Nmの電気モーターの組み合わせ
コーナリング時の操縦応答性を高めるために、「verison L」と「F SPORT」にはフロントとリアに「パフォーマンスダンパー」が備わる。ボディのねじれや微振動をすみやかに吸収するためのものだ。

ステアリングシステムも、ステアリングホイールを切り込んだときになめらかで、かつダイレクトな反応を引き出すため、並行式のラックを採用している。電子制御でどうこうという話ではなくても、十分にいい動きを引き出してくれる。「走りだしたとたんに”いい!”と思っていただくことをめざしました」という開発者の言葉に納得できた。

加えて快適性でいうと、「version L」には「ノイズリダクションホイール」が用意されている。車内騒音の発生源のうち大きな部分を占めているのが路面とタイヤからくるものだ。スポーク内部に空洞を設けて振動と、タイヤの音を吸収する技術を使ったホイールである。

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噂のデジタルミラーの使い心地は?

このように、デジタル技術でなく、既存の技術をていねいに煮詰めて作りあげたのがレクサスESなのだ。いわば名工のような作りをされたクルマといいたい。そこには大きな将来性があるように思われる。私は感心してしまった。

スポーティな「F SPORT」は運転操作や路面状況に合わせて前後のダンパーの減衰力を電子制御する「AI・AVS」(アダプティブバリアブル・ステアリングシステム)が搭載されている。

加えて専用の19インチホイール、メッシュタイプの専用グリル、リアスポイラーをはじめ、細部の専用塗装などで「F SPORT」はほかのモデルと区別がつく。内装でも専用シートや専用ステアリングホイールが備わる。

足まわりがしっかりしており、私にはやや硬いかなという印象だ。いまは一般的に同じエンジンでも足回りがスポーティな設定のほうが好まれる傾向にあるので、実際には「version L」と乗り較べてみるといいだろう。
「デジタルアウターミラー」を選ぶとダッシュボードの端に5インチのモニターがつく
冒頭で触れた「デジタルアウターミラー」は「version L」でのみ選択可能だ。最新のデジタル技術のたまものである。従来の鏡を使ったドアミラーの替わりに、カメラで後方をモニタリングするというシステムだ。

ミラーのあった位置にはカメラがつけられ、ダッシュボードの両端に5インチの小型モニターがつき後方の画像が映しだされる。従来のミラーを確認する感覚で使える。メリットは、映し出す画像の範囲が物理的なミラーより広く、かつ悪天候でも明瞭な画像が得られるところとLEXUSが強調ではする。

まだ画像の解像度や処理速度にやや難がないでもない。新型ESを国内で売るにあたって、なにか強い個性を、と考えた担当者がちょっと生煮えで出してしまった感がある。ここで書いてきたように出来のいいクルマなので、そんなふうに無理することもないだろうと思うが、しかし、意外に使っていると病みつきになるかもしれない。
デジタルアウターミラーに加え、デジタルインナーミラーが「F SPORT」と「version L」にオプション設定される
インテリアはスペースがたっぷりある。後席は広々としている、と言ったほうがいいだろう。レクサスのラインナップにはLSやGSがあるので、ESはミドルクラスと言われたりするが、全長4975ミリ、ホイールベース2870ミリの車体は立派なサイズだ。後席を活用するひとにも無理なく勧められる。

ラインナップは、標準モデル(580万円)、装備が豊富な「version L」(698万円)、それに独自のサスペンションシステムに、独自のインテリアなどを備えたスポーティな「F SPORT」(629万円)からなる。

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新型レクサスESを写真でチェック

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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