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2018.10.28

【試乗記】ランボルギーニ・ウルスで、氷の国アイスランドを800km走破!

スーパーSUVとランボルギーニが謳うLamborghini Urus「ウルス」が走り出した。最初の国際試乗会はサーキットだったが、今回はアイスランドのブラックビーチ。日本では半袖だったのに吹雪に見舞われながら、忘れがたいドライブをさせてくれた。

CREDIT :

文/小川フミオ

ランボルギーニ・ウルス
世界初のスーパー・スポーツ・ユーティリティー・ビークルを謳うウルスで雪のアイスランドを走る図

スーパーSUVでレイキャビクからスタート

ランボルギーニ・ウルスのプロジェクトを最初に聞いた時は驚いたものだ。全高1.2メートルを超えるクルマは作らないと思っていたのに、四輪駆動のSUVだったからだ。

眼の前で見たプロトタイプは、ただし、カッコよくて、ランボルギーニが手がけると、まったく新しいSUVが出来ることに感心したものである。今回アイスランドで、私は初めてウルスを運転できた。

ウルスは4リッターV8エンジンを搭載している。最高出力は478kW(650馬力)で、最大トルクは850Nmだ。全長は5.1メートル、全高は1.6メートルを超える。なにより圧倒的なのは大きさというよりスタイルだ。

ひとことでいうとカッコいい。レイキャビク郊外の洒落たリゾートホテルで、まだ暗い早朝、雨の降りしきる中での対面だったが、シャープなラインと、凝ったディテールで”武装”したウルスはとにかく目をひく。

デルトロ監督の映画「パシフィックリム」のイエーガーに乗り込む気分になったほどだ(わかります?)。ふつふつとヤル気が湧いてくる。これはまだ少年の心を持つ男にはたまらない乗り物だ。
ランボルギーニ・ウルス
側面からみるとウィンドウグラフィクスがリアで上下幅が狭まっておりクーペ的な躍動感を生んでいる
実際にアウトモビリ・ランボルギーニのステファノ・ドメニカーリCEOによると、それでいいんだそうだ。

「ランボルギーニはとにかく若いひとたちの心をつかみたいと考えています。なんだあのクルマ、クールじゃないか、乗ってみたい、と思ってもらえれば最高ですよ」。アイスランドでの旅に同行して、みずからうれしそうに運転していたドメニカーリCEOはそう語ってくれた。

ウルスには少しだが独特の儀式がある。エンジンをかけるときは赤色のフラップをはねあげて、スターターボタンを押す。するとごく短いクランキングの後すばらしい鼓動と排気音で、V8エンジンが始動する。

その横には「アニマ(魂)」と名づけられたドライブモードのセレクターがある。いちばんスポーティなモードは「コルサ(レース)」だが、これは今回はお休み。

ごくたまに「スポーツ」でみごとな加速とびしっとした足回りを確かめられたが、「SABBIA(砂地)」「TERRA(砂利道)」「NEVE(滑りやすい路面)」というモードのほうがありがたいと感じた。

ドライブコースはアイスランド南部。レイキャビクの街から海のほうへ下り海岸線を反時計回りに走る。そしてまた途中から引き返すというルートで800キロぶんウルスを堪能できた。

秋が深まったアイスランドに行くのは私は二度目だが、意外なほど日本からの観光客も、国慶節の中国人観光客に負けずと多く、貪欲なまでの旅への執念には感心した。
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ランボルギーニ・ウルス
火山灰で真っ黒なブラックビーチなどの滑りやすい路面もものともしない
私が体験したアイスランドはマイクロウェザーの見本のような土地で、5キロごとに天候が目まぐるしく変化している。なので運がよければ夜になると満天のオーロラを楽しむことが出来る。これは息を吞む美しさなので、たしかに旅行する価値がある。

ふらりと出かけても9時間でヘルシンキに着き、そこから3時間のフライトなので案外近い。手ぶらで行っても、いたるところでアウトドアのものも買える。氷河の洞窟探検用のブーツチェインだって購入できる。ただし、10月初旬では日本のスキー用のダウンパーカでも震えた。

という土地をウルスで走破するのである。はたしてなんの不安もないクルマだった。天候は晴れていたと思うと雨、ところによってはなんと吹雪である。ピレリのスノー&アイスを履いていたせいで、一般路上は「ストラーダ(ストリート)」モードでなんの不安もない。

ステアリングホイールはサマータイヤだとさぞかしレスポンシブで、ハンドリングはすばらしく気持ちよいのだろう。それはスノー&アイスのタイヤでも充分に運転を楽しめたことからの推測だ。

850Nmもの最大トルクが2250rpmから発生しはじめる設定なので、とにかく力強い。自動車専用道での追い抜きのときに体験した加速感は圧倒的である。室内のリアビューミラーを見ていると、ほぼ瞬時に追い抜いたクルマが点のように小さくなっていく。

比較的高速で走った時の乗り心地も上々だ。繰り返しになるけれど、特殊な冬用タイヤはどちらかというとサイドウォールのたわみも大きくて乗り心地には貢献してくれる傾向にあるものだが、それを差し引いたとして、ふつうのタイヤでもおそらくかなり快適なはずだ。
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SFチック?な内装デザインで童心に戻れるコックピット

ランボルギーニ・ウルス
TFT液晶による操作画面を2つセンターダッシュボードに備えている
運転席の居心地はよい。理由のひとつは、いろいろなコントロールがきちんと機能してくれることである。それはとくにアイスランドのような特殊な土地でよくわかる。TFT液晶によるメーターは切り替え式で、車両の状態を常に把握できる。

実は私の乗った車両は1本タイヤの空気圧が低下しはじめたのだが、それもすぐにわかり、手を打てた。ブラックビーチと呼ばれる火山灰が積もった海岸や、氷河に続く岩がごろごろした道を走ったせいでタイヤが傷ついたのだろうか。でも空気を入れて事なきを得たので、そういうことでもなさそうだ。

なにはともあれモニターがあれば心強い。サーキットでもタイヤの空気圧チェックはなにより大事だ。アイスランドの大自然とサーキットは、クルマを試すという点では、ある部分近いところがあるといえる。

デザインという点からも室内は見るべきところが多い。シートのデザインは外観と同様、かなりサイファイ(SF)チックで楽しい。レザー張りは豪華な雰囲気だが、私だったら、黒色の人工スウェード、アルカンターラ張りを選ぶだろう。アヴェンタドールでもガヤルドでも同じ選択。滑らないし感触はソフトだし、一番好きだ。
ランボルギーニ・ウルス
赤いフラップをはねあげるとエンジンスターターボタンで左に「アニマ〕というドライブモードセレクター
どんな道でもこなしてしまうので、800キロ走ってもほとんど疲労感はなかった(突然の吹雪には精神的に緊張したけれど)。まさに「パシフィックリム」のモバイルスーツのような機能の高さである。

行く先々でアイスランドのひとたちに「わあ、ウルスだ!」と実に好意的に迎え入れられたのもよかった。写真撮ってもいいですか?としょっちゅう訊かれた。ドメニカーリCEOの狙いは当たっているようだ。

ランボルギーニがこのモデルをスーパーSUVと定義していることは先に触れたが、その「スーパ−」のなかにはエモーション(感情)も大事な要素だという。いやあ、そのとおり。ウルスにはちゃんとそれがある。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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