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2018.08.26

【試乗記】700万円以上も安いベントレー ベンテイガV8は買いか?

超高級車メーカー、ベントレーが手がける孤高のSUVとして2016年にデビューしたベントレー ベンテイガ。新たに追加された4リッターV8モデルはいかなる走りを見せるのか?

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文/大谷達也

ベンテイガV8 / W12との外観上の違いはほとんどない
W12との外観上の違いはほとんどない

どんなクルマよりも速く、豪華で、悪路に強いスーパーSUV

ベントレーは100年近くにわたって超高級なグランツーリスモを作り続けてきたイギリスの自動車メーカーだ。

設立直後の1920年代から30年にかけてルマン24時間レースで計5勝を挙げるという衝撃的なデビューを飾った彼らは、そのときどきの最新スポーツカーに匹敵する強力なエンジンを積みながら、低く寝そべった姿勢で着座するスポーツカーとは似て非なる広々として快適なキャビンスペースと強靱な足回りを兼ね備えたグランツーリスモをラインナップ。
ベンテイガV8 / 最高出力550psを誇る4リッターV8ツインターボエンジンを搭載
最高出力550psを誇る4リッターV8ツインターボエンジンを搭載
まだ飛行機が発達していなかった時代に、フランス南部のコートダジュールでバカンスを過ごすイギリスのセレブリティたちがロンドンから大陸を越えて走り抜けるような使い方に重宝したと伝えられるラグジュアリーブランドである。いまもコンチネンタルGTというモデルが用意されているのは、この当時の名残といえる。

とりわけ魅力的なのがそのインテリアで、イギリスのラグジュアリーカーの伝統に従って最高級のレザーやウッドを惜しげもなく使用。それらを顧客の好みにあわせて一台ずつ手作りするという生産方式を現代まで頑なに守り続けてきた希有な自動車メーカーである。これに比べると、俗に言われるプレミアムブランドの高級モデルも形無しで、ホテルにたとえれば4つ星と5つ星ほどの差があると言わざるを得ない。

そんなベントレーが初めて手がけたSUVが2015年にデビューしたベンテイガである。
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ベンテイガV8 / 最高速度は290km/hに達する
最高速度は290km/hに達する
もっとも、超高級車メーカーのベントレーが作るSUVだけに、オフロード四駆に少しだけ乗用車の風味を付け足したような巷のSUVとはまったくの別世界。そもそもラグジュアリーブランドがSUVを手がけるのは実質的にこれが初めてとあって、目標とすべきベンチマークさえ存在しなかったという。

そこで考え出されたのが「コンチネンタルGTスピードのパフォーマンス、ミュルザンヌのラグジュアリー、レンジローバーのオフロード性能を一台で兼ね備えたクルマ」というコンセプトだった。

コンチネンタルGTスピードは、前述したコンチネンタルGTの高性能版。ミュルザンヌはベントレーのフラッグシップサルーン。そしてレンジローバーは圧倒的なオフロード性能を誇る同じイギリスのプレミアムSUVである。つまり、どんなクルマよりも速く、豪華で、悪路に強いスーパーSUVを目指してベンテイガの開発は始まったのである。
ベンテイガV8 / ボディサイズは全長5,150×全幅1,995×全高1,755mm
ボディサイズは全長5,150×全幅1,995×全高1,755mm
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2年で累計生産台数が1万台というヒット作

こうした高い目標を掲げたおかげもあってベンテイガは世界中で優れた評価を獲得。デビューからおよそ2年で累計生産台数が1万台に達したという。これは超高級車を少量生産するベントレーにとって異例のヒット作といえるだろう。

そんなベンテイガに新たに追加されたのは、オリジナルのW12エンジンをV8エンジンに積み替えたモデル。だからといってW12の単なる廉価版にするのではなく、独自のキャラクターを持たせた点がいかにもベントレーらしい。
ベンテイガV8 / 車両重量は2,480kgとW12モデルより50kg軽い
車両重量は2,480kgとW12モデルより50kg軽い
そのキャラクターをひとことで説明すれば、月並みながら“スポーティ”となる。ただし、ベンテイガV8が目指すスポーティは最高速度や発進加速のタイムといった単純な速さ争うものとは趣きが異なる。誤解のないように付け加えれば、ベンテイガV8の最高速度は290km/h、0-100km/h加速は4.5秒なので、どんな基準に照らし合わせても文句なしに速い。

私も今回の試乗会でドイツのアウトバーンを走行した際、有名な速度無制限区間では230km/hまで一気に加速させ、その圧倒的なパフォーマンスを確認した。このとき、装着していたウィンタータイヤの制限速度に到達したことを報せる警告音さえ鳴らなかったら、おそらく250km/hオーバーの世界を体験していただろう。
ベンテイガV8 / 贅を尽くしたラグジュアリーなインテリアもW12モデルとほぼ同じ
贅を尽くしたラグジュアリーなインテリアもW12モデルとほぼ同じ
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価格はW12モデルから700万円以上も下がって1994万6000円

ただし、W12 6.0リッター・エンジンを積むベンテイガW12の絶対的な性能はV8を上回り、最高速度は301km/h、0-100㎞/h加速は4.1秒で走り抜ける。フラッグシップモデルの面目躍如といったところだ。

もっとも、驚くほど静かでスムーズに回るW12に比べると、V8はより素早く、そして軽快に目標とするスピードに達する。別の言い方をすれば、ドライバーの意図をあらかじめ読み取っていたかのような、意のままの走りができるのだ。その爽快感あふれるレスポンスは、まさにスポーティと呼ぶにふさわしい。
ベンテイガV8 / 最先端のトルセン・オールホイールドライブ(AWD)システムにより高いオフロード性能を誇る
最先端のトルセン・オールホイールドライブ(AWD)システムにより高いオフロード性能を誇る
いっぽうでサスペンションの基本設定はW12と同じ。つまり、高速道路では抜群の安定性を誇るのに、ワインディングロードでは俊敏なコーナリングを披露し、滑りやすい雪道でもしっかりと路面を捉えて前進する悪路走破性を備えているのだ。いわば、すべての道で最高の走りはW12ですでに実現していたので、このバランスを敢えて変える必要はなかったともいえるだろう。

しかも、ベントレーらしいゴージャスなインテリアはベンテイガV8でも健在。それでいて、ベンテイガW12で初めて世に出た48V電源使用のアクティブアンチロールバーをオプション設定としたこともあって、価格は700万円以上も下がって1994万6000円となった。
ベンテイガV8 / 0-100km/h加速はわずか4.5秒
0-100km/h加速はわずか4.5秒
前述した印象はアクティブアンチロールバー装着モデルに関するものなので、このオプションを装着しなかった場合の走りをあらかじめ確認する必要があるとはいえ、ベンテイガの魅惑的な世界がこの価格で手に入るとは、バーゲン以外のなにものでもない。

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