• TOP
  • CARS
  • レクサスESがついに日本デビュー!? 新世代セダンはドライバーが主役だ!

2018.06.24

レクサスESがついに日本デビュー!? 新世代セダンはドライバーが主役だ!

SUVがどれだけ人気になろうとも、メーカーのベンチマークとなるのはセダン。ついに日本デビューするレクサスESに、どんなセダンの未来を見たのか? ジャーナリスト小川フミオが検証する。

CREDIT :

取材・文/小川フミオ

日本では2.5リッターハイブリッドシステムを備えて2018年秋に登場の予定
日本では2.5リッターハイブリッドシステムを備えて2018年秋に登場の予定

レクサスの米国デビュー時からラインナップされていたセダンがES

日本ではあまり知られていないが、レクサスのラインナップにあってLSの下に位置するのがES。よりパーソナル感が強いモデルで、2018年5月に新型にフルモデルチェンジした。実はこれ、すごく楽しみな一台。

レクサスのデビューは1989年の米国。日本では当時セルシオと呼ばれたモデルを「LS」として米国仕様に仕立てデビューさせたところ、目論見どおり高い評価を得た。

そのLSとともに当初からラインナップに設定されてきたのが「ES」だ。日本には導入されていなかったが、2018年に満を持しての日本デビューが計画されているという。
ルーフからリアにかけて大きなウィンドウを持ちクーペ的なシルエットが意識されている(写真は大きなスポイラーを備えたFスポーツ)
ルーフからリアにかけて大きなウィンドウをもちクーペ的なシルエットが意識されている(写真は大きなスポイラーを備えたFスポーツ)
いま世の中はSUVばやり。かつて男性諸氏は「オフロードって男のロマン!」といわゆるヨンクを好んだものだが、昨今、選択の理由は「女子ウケがするから」。時代は変わった。

たしかに目線が高いので、どちらかというと小柄な女子にとってSUVは守られ感がある。操縦しやすい面もある。

でもやっぱりセダンなのである。と、あえて言いたい。セダンに“ブーム”はなかった。常にセダンは好まれてきたからだ。

理由はいろいろあげられる。理由として最大のものは、乗り心地がいいこと。サスペンションのアーム長をフルに使えるなど機構的なものなのだが、セダンをベースに無理に車高を上げたSUVと較べると断然勝っている。

もうひとつの理由は、やっぱりスタイリッシュではないですか。すっとしている。と、どうも感覚的な評価になってしまうが、ずんぐりしたSUVはどうしても美的に感じられないという意見に、ぼくも賛成である。

そんななか、いいセダンを作ろうと、コツコツと地道な努力を続けてくれているメーカーがぼくは好きだ。そのひとつがレクサスである。
PAGE 2
全長4.9メートルなので小さくないけれどエレガントで軽快感すらあるスタイルだ
全長4.9メートルなので小さくないけれどエレガントで軽快感すらあるスタイルだ

レクサスでも人気はSUV。そこにセダンが初上陸する意味とは?

東京などで見るレクサスはRXが多い(気がする)。ときどきNXやでかいLX。やっぱりSUVが人気なのだ。近いうちにUXというコンパクトSUVの導入も予定されている。鉄壁のラインナップだ。

それはそれでいいのだけれど、最近うれしくなるクルマに乗った。それがフルモデルチェンジを受けたばかりのレクサスES。まだ日本には入ってきていない。しかし入ってくる。
モデルチェンジを繰り返して、最新型は7代目。このあいだ米国はナッシュビルで試乗させてもらったが、これがヨイのである。ぼくはいっぺんに好きになった。

まずあげたいのはサスペンションの出来のよさだ。日本には2.5リッター4気筒エンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッド「300h」(のみ)が導入されるというが、大きくふたつのモデルが設定されている。

ひとつは米国で「ウルトララグジュリー」と名づけられているモデル。日本でいうとLパッケージに相当するらしい。もうひとつはスポーティな「Fスポーツ」だ。
居心地のいいインテリア(写真はFスポーツ)
居心地のいいインテリア(写真はFスポーツ)
この2台、パワートレインは同じでも走らせた感覚がだいぶ違う。ぼくが感心したのはウルトララグジュリーである。このクルマのために専用開発されたダンパーを備えているからだ。

ダンパーは筒内に油が封入してあり、そこでピストンが上下することでショックを吸収する。と書くと簡単なのだが、実はいまでも各社、このパーツの改良に絶え間ない努力を重ねている。

レクサスESウルトララグジュアリーのダンパーは新設計のオリフィスといった油の流路に工夫が凝らしてある。それによって、路面からの入力がゆったりしている時も、高速などで速い時も、しっかり効果を発揮させようとしている。

「走り出して最初の曲がり角で効果がわかりますよ」、ナッシュビルまで試乗会のために足を運んだというレクサスの開発担当者は、試乗の前日にそう胸を張っていた。

それでわからなかったらどうしよう、とこちらがドキドキしたが、実際はその言葉どおりだった。みごとな乗り心地。曲がり角だけでなく、フリーウェイだろうが、ワインディングロードだろうが、しっとり、かつ、びしっとしている。

開発を総指揮した主査に、どうですか?と訊かれたので、「LSより感動しました」とすなおに答えたら、複雑な顔をされてしまった。でも事実である。
PAGE 3
ファストバックスタイルがいまも魅力的なアウディA7スポーツバック
ファストバックスタイルがいまも魅力的なアウディA7スポーツバック

高級セダンが抱えるある悩みを解決するカタチ

昨今自動車メーカーはサスペンションの電子制御に凝っているが、ほんとに小さな部品をしっかり設計することで、ここまで上等なものが出来るという事実が印象ぶかかった。

で、もうひとつ、ぼくがいいなと思ったのがスタイリングだ。少しセダンばなれしている。自動車の側面をプロファイルというが(ちなみに上面から見たのはプラン)、この姿が見目麗しい。

ルーフラインがすっと長くて、ゆっくりとリアにかけて落ちていく。トランクリッドの前後長は短くされていて、「雰囲気的にはクーペの要素を取り込んでいる」というデザイン担当者の目論見どおりの仕上がりだ。
ぼくの持論なのだけれど、高級車には往々にして「セダンパラドクス」なるものが存在する。クルマが高級になり高価格になると、運転者の存在が消えてしまいがちだ。

せっかく大枚はたいて購入したのに、ホテルのクルマ寄せで「運転者さんこちらに」などという扱いを受けたりする。つまりこれがセダンにつきまとうパラドクス。

それを払拭するにはどうしたらいいか。答えが4ドアクーペなのだ。
3代目になったメルセデス・ベンスCLS
3代目になったメルセデス・ベンスCLS
2004年にメルセデス・ベンツが発表した初代CLSが先鞭をつけ、アウディがA7スポーツバックで市場を拡大した。BMWも6シリーズ(ラインナップが整理されて8シリーズになったばかり)で続いた。

プロファイルでみたキャビンの形状を工夫して後席の存在感を前席に対してあえて薄めているのが、4ドアクーペの特徴。

ドライバーが自分で運転するために購入したのが一目瞭然だし、かといってゴルフや家族旅行で後席に人とを乗せるときに不便はない。
BMW6シリーズ・グランクーペも美しい
BMW6シリーズ・グランクーペも美しい
PAGE 4
レクサスで言うとLSが大型化(現行モデルは全長が5235ミリ)するなか、ぼくは4ドアクーペ的なモデルが求められているはずと思ってきた。

全長を4975ミリに抑えた新型ESはきっとマーケットの需要に合って、鉱脈を掘り当てるような気がする。ちなみに後席はかなり広い。

300hは電気モーターの大きなトルクを利用して走り出しは力強いし、高速での伸びも悪くない。ただし中間加速でもっとパワーが欲しくなる場面があったのは事実だ。

米国には3.5リッターV6搭載モデルもあって、試しに運転したら(案の定)よかった。回転マナーがよい2リッターエンジンなどが向いているかもしれない。

シャシーなど多くの部品を新型カムリと共用するが、さきに触れたサスペンションなど、このクルマにしかないものを備え、しかもそれが魅力の核となっている。

そんなわけで、これを機に男子諸君は、いままできっと好きだった(はずの)セダンを楽しむ、ということに再注目してもらいたいと思うのである。
● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        レクサスESがついに日本デビュー!? 新世代セダンはドライバーが主役だ! | 自動車 | LEON レオン オフィシャルWebサイト