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2021.06.01

【短期集中連載】
モータージャーナリスト・大谷達也の「自動車メーカーのブランディング」【Vol.1】

メルセデス AMGとルイ・ヴィトンの意外な関係

高級自動車におけるブランディングとは何か? それは世界の名だたるラグジュアリーブランドの戦略とどう違うのか? モータージャーナリストの大谷達也さんと、LEON編集部員が両者の意外な関係に迫る連載です。第1回は『メルセデス AMG GT 4ドア×ルイ・ヴィトン』。

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文/大谷達也 構成/近藤高史(LEON)

高級自動車と呼ばれるクルマほど、顧客のマーケティングを行い、自社ブランドを見つめ直し、デザインからスペックまで作り込む傾向にあります。それをモータージャーナリストの大谷達也さんと、LEON編集部の堀川副編集長とクルマ担当デスク近藤が一緒に考えてみたら、世界の名だたるラグジュアリーブランドと自動車ブランドの共通点を発見! 連載第1回は『メルセデス AMG GT 4ドア×ルイ・ヴィトン』──。
【対談参加者】
大谷達也
 自動車ライター。自動車専門誌を経てフリーランスに。語学力を生かした取材力で自動車ブランド本国エンジニアの信頼も厚い。LEON本誌の連載等でもおなじみの評論家。

堀川正毅 LEON副編集長。主にファッションを担当。例年、イタリアのファッションウィークを現地取材するなど、国内外のブランドに精通。食と酒にも詳しく、趣味は週末のオートキャンプ。

近藤高史 LEON編集デスク。主にクルマ、宿、ゴルフなどライフスタイルを担当。LEON、LEON.jpのクルマに関するすべての記事を統括。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員としても活動。
▲ Mercedes-AMG GT 43 4MATIC+(ISG搭載モデル)。
大谷 今日はメルセデスのAMG GT 4ドアについてお話しましょう。

堀川 AMGって、全部メルセデスをベースにしてAMGがオフィシャルにチューニングしたモデルだと思っていたんですが、これってAMG専用のボディじゃないですか?

近藤 鋭い! もともとメルセデスAMGといえば、ベースとなるメルセデス・ベンツのモデルがあるんですが、2ドアのAMG GTと、このAMG GT 4ドアだけはAMG専用のボディでできてるんですよね。

大谷 さらに言うと、なんでAMG GTに4ドアが作られたかというと、メルセデスAMGのCクラスとかEクラスとかに乗るお客さんが、何年後かに買い換える時、SクラスのAMGじゃなくてポルシェ・パナメーラを買っちゃうケースが少なくなかった。そこでメルセデスAMGが、パナメーラを研究し尽くして開発したのがAMG GT 4ドアといわれています。
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▲ AMG GT 4ドア心地よいシティドライブから、爽快感溢れるサーキット走行まで。
堀川 へぇ! そうなんですね。ところで、AMGってどういう会社なんですか?

近藤 当時、ダイムラー・ベンツ社でレーシングエンジンの開発を行なっていたハンス・ヴェルナー・アウフレヒトとエアハルト・メルヒャーは、ダイムラーがレース活動をやめたことをきっかけに独立し、1966年に自分たちの会社を設立、これがAMGの始まりでした。

ちなみにAMGの最初のAはアウフレヒト、2番目のMはメルヒャーの頭文字で、Gはアウフレヒトが生まれ育ったグローザスバッハという土地の名前に由来しています。なので、もともとは別会社でしたが、2005年に当時のダイムラー・クライスラーが株式を買い取って完全子会社になりました。

いずれにしても、メルセデスを母体としてスポーツモデルの開発・製造を行うのがAMGの役割。ちなみに“アーマーゲー”と発音する人がいますが、あれはドイツ語の発音的にも違っていて、AMG自身は自分たちのことを“エー・エム・ジー”と呼んでいます。
大谷 はい、そこでファション担当の堀川さんにお伺いしたいのですが、そんなメルセデス AMGをファッションブランドで例えると、どんなブランドなのでしょうか?

堀川 そうですね、あくまでも個人的な考えで述べさせてもらうと、いまのルイ・ヴィトンにすごく似ているかもしれません。

大谷 どういう意味ですか?

堀川 まず、メルセデスといえばクルマのブランドとして王様ですよね。ルイ・ヴィトンもラグジュアリーブランド界の王様と言って、間違いのないブランドです。しかも、メルセデスもルイ・ヴィトンも正統派の代表みたいな立ち位置ですよね。

大谷 なるほど、そういう視点で見ると、よく似ていますね。
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▲ ルイ・ヴィトンのメンズ アーティスティック・ディレクター、ヴァージル・アブロー氏。
堀川 ところが、そのルイ・ヴィトンは3年ほど前にヴァージル・アブローをメンズ アーティスティック・ディレクターに起用したんです。ヴァージルはアフリカ系アメリカ人なんですが、ヨーロッパのブランドで黒人がデザインのチーフを務めるというのは、僕が知る限り、史上初めてのことでした。

大谷 へぇ! それはさぞかし派手に報道されたんでしょうね?

堀川 もう、大変なビッグニュースでしたよ。しかも、彼はものすごく優秀で、ルイ・ヴィトンというブランドが持っている財産をいまという時代に合わせてアップデイトしてみせたんです。

大谷 具体的には、どうしたんですか?
近藤 大谷さんも見たことがあると思いますが、たとえば、「ダミエ」とか「モノグラム」のルイ・ヴィトンに、いきなり蛍光色を使ったりとか。さらにはブランドアイデンティティーであるロゴを黒で塗りつぶしたりとか、アンバランスなくらい大きくしたり、反対に小さくしたり、みたいなことをやってみせたんです。みんながよく知っている、つまり、既存のルイ・ヴィトンをストリート風にアレンジし直したんですよね。

堀川 そう。これもあくまでも私見ですが、AMG GT 4ドアに乗る人って、経済的にも精神的にもかなり余裕がある人だと思うし、と同時に自己主張の強いタイプでもあると思うんですね。何しろ実用性からいえば普通のメルセデス、そしてSUVやセダンで十分なのに、あえてAMGのクーペボディを選んでいる。

そこに明確な意思を感じます。ヴァージルが作るルイ・ヴィトンもそれと似ていて、どこの作品かよくわからないものではなく、ひと目でルイ・ヴィトンとわかる。つまり、強印象を放っています。そういう部分に価値を感じる人がヴァージルの作るルイ・ヴィトンだったり、メルセデスのなかでもAMGだったりを購入するんじゃないでしょうか。
大谷 なるほど。それも、ただ派手でブランドの主張が強いだけでなく、AMGもルイ・ヴィトンもしっかりした技術なり伝統なりをベースにしている点も重要な共通ポイントといえそうですね。

近藤 それは絶対にそうですね。メルセデスほどの技術力、長年蓄積してきたノウハウがあるからこそ、AMGというある種の“アレンジ”が生きる。ルイ・ヴィトンの場合も、いくらヴァージルが蛍光塗料を使いたいといっても、しっかりした耐久性なりクォリティを確保できなければ実現できなかったわけで、そういう意味では長い伝統を持つブランドだからできたといえますね。

大谷 とはいえ、ルイ・ヴィトンにとってもヴァージルの起用はかなりのギャンブルだったんじゃないですか?

堀川 相当のギャンブルだったとは思います。ただし、アメリカで台頭する若いニューリッチと呼ばれる層を間近で見て「あ、こっちだ!」という判断がされたんだと思います。

近藤 かつての、スーツを着たら足元は必ず革靴というスタイルから、同じスーツでもインナーにTシャツを着たり、足元はスニーカーもOKというふうに変化している。なんだったらジョガーパンツで出社だってあり得るご時世が背景にあって、こういうデザイナーが受け入れられたんでしょうね。

大谷 では、そんなAMG GT 4ドアに乗るとしたら、どんなファッションが似合いそうですか?

堀川 先ほども申し上げましたが、AMGを選ぶ方はきっと、強印象なファッションに関心があると思われます。そこで同じルイ・ヴィトンでもLVイニシャルが大きかったり、無数だったり、目立つように入っているスウェットとかフリースなんかが似合いそうな気がします。
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▲ FW21 RUNWAYのアイテム。日本ではこれからローンチ予定。
近藤 かなりカジュアルでスポーティだけど、ハイブランドであることもしっかり主張しているスタイル、という感じですね。

堀川 そうですね。カジュアル気味でいいと思います。とはいえ、ちゃんとハイブランドであることがわかるポイントを備えている。そんなスタイルがいいと思います。

近藤 足元はスニーカーだけど、よくあるスポーツ・ブランドが作ったものではなく、1足15万円くらいするルイ・ヴィトンのスニーカーを履いているとか。一見したところラフなんだけれど、全身で数十万円かけている、みたいなファッションですね。

大谷 それはメチャクチャ高価ですが、きっとルイ・ヴィトンだったら、同じスウェットやフリースでもひと目で素材の良さ、仕立ての良さがわかるんでしょうね。

堀川 そこは最低限、担保されているところです。同じことはメルセデス AMGについてもいえるんじゃないでしょうか。

大谷 いやぁ、今日はメルセデス AMGとルイ・ヴィトンの意外な共通点を知ることができました。どうもありがとうございました!
※すべて税込価格です

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ルイ・ヴィトン クライアントサービス 0120-00-1854

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